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2019第19節 愛媛FC×京都サンガ

初の愛媛遠征・ニンスタでした。
上段での応援だったのでめちゃくちゃ試合見やすかったです。
喉カスカスイガイガで声があんまり出なかったので代わりに旗ブンブン振り回してやりました。
パイフラ振るの楽しいからそろそろ自作旗検討しなければ…

それではスタート。

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6月22日(土)

明治安田生命J2リーグ 第19節
@ニンスタ

愛媛FC 0-2 京都サンガ
得点者:黒木恭平(57分・京都)、一美和成(60分・京都)

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1)試合前プレビュー
2)試合展開と雑感
3)今節のピックアッププレー
4)京都の541崩し
5)最後に

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1)試合前プレビュー

柏戦と金沢戦をさらっとしか見てないので簡単に。

愛媛は今季も苦戦を強いられているものの粘り強さがあり、ハマったしあいでは複数得点やクリーンシート(無失点)での勝利などスカッと勝つ印象が強い。

ドリブルや裏への抜け出しやスピードなど各々の特長をうまく出し合いながらゴール前に迫っていくダイナミックさは見応え十分でそう簡単には止められない。

昨季途中から指揮を執る川井監督の下、ショートパス主体でボールを繋いでゴールを目指すサッカーをしていたが、ビルドアップ(自陣から相手陣内へパスを繋いで侵入していく)の段階で上手くいかないと見るや、割り切ってロングボールを使う方法にシフトする。
これが功を奏し、柏戦、金沢戦と良いサッカーをしている。

ピッチを広く使って、サイドチェンジや対角線のロングボールを駆使してくるので、守る側は単に跳ね返すだけでなく、横のスライドやセカンドボールへの対応が求められる。

京都は前々節で大宮に完敗、続く琉球でも2度のリードを守りきれずドローに終わった嫌な流れを断ち切れるか。
守備の時に間延びしがちになっていたところを修正できるかがポイントになってくる。コンパクトさが失われるとロングボールを跳ね返してもセカンドボールが拾いにくくなる。
またセットプレーの守備もせめて最後のところで体を張るなどとにかく失点がないようにしたい。

12節から7試合連続得点、そのうち6試合で複数得点の絶好調な攻撃陣に死角はない。どれだけ守備が固くても、一瞬のスキを突いてゴールできる実力がある。

強いて言うならば苦手とする541の守備ブロックの崩し方を持ち合わせているかどうかだ。
11節以降、戦い方にバリエーションが出てきてからは541で守る相手との対戦がないだけに、後半戦の山形・甲府戦など6ポイントゲームの良い指標となるだろう。

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2)試合展開と雑感

◇両チームのスタメン

●基本フォーメーション
愛媛:3421
京都:4123

※HV(ハルプフェアティガー)・・・3バックまたは5バックにおける左右のCBを意味するドイツ語

愛媛ボール保持:325
京都ボール非保持:451

愛媛ボール非保持:541
京都ボール保持:235

互いにポジショナルプレーとしては基本的な配置。

◇前半

●両チームの狙い

京都は守備の時に、琉球戦のように間延びすることなく、セカンドボール回収を意識しつつ相手にロングボールを蹴らせるように仕向けていた。ディフェンスラインの高さと、中盤がむやみにプレスに行ってないことからそれがうかがえる。


ボール保持時は、愛媛のプレス開始位置がそこまで高くないので、SBが高い位置に出ていつもの235を基本にボールポゼッションする。
ブロックの外でボールを回しながらIHのポジショニングやWGの動きでハーフレーンを使った攻撃を試みた。

①仙頭や小屋松が上下動で愛媛のWBを下げてスペースを作り、SBからハーフレーンへ斜めのパスを入れやすくする(下図)

②2CHの間にIHを配置してCHを真ん中に引き付けることでハーフレーンのパスコースを作る(下図)

主に重廣が担っていた役割だが、前半35分以降には小屋松が中央にいるケースもあった。

愛媛はリトリート(引いてブロックを形成)し541で迎え撃つ。
特に中盤は4枚で中央をしっかりと固めつつ、京都が後ろに下げるタイミングでCHが前に出て、大宮の532を参考にしたプレスで京都を陥れようとしてきた。DH庄司は1トップと2CHが常に牽制していた。

攻撃に転じれば3トップにロングボールを入れて、そこにCHやWBの押し上げでチャンスを作ろうとする。神谷や下川、近藤らのドリブルでのサイド攻撃がメインになってくる。
ボールを握られることは仕方ないと割り切って、カウンターで攻めていくプランだ。

●強固な541ブロック

立ち上がりからボールを握ったのはアウェイの京都だが、愛媛の541ブロックの隙をうかがうような慎重な感じだった。

裏を狙うボールを使ったり、片方のサイドに金久保と重廣が同時に入って密集を作って(オーバーロード)パスを回したり、スローインなどのリスタートから愛媛の中盤のスライドが間に合わない状態でハーフレーンを突いたりといくつかのパターンは見せた京都。

しかしテンポが上がりきらず最終ラインの5枚を崩しきることは出来なかった。

愛媛にしてもボールを奪ったところで前線に人がおらず、繋ごうとしても中盤の形が良くないので京都の即時奪回を狙ったプレスの前に撃沈。
ロングボールを送ってもコンパクトな陣形で対応した京都に尽くセカンドボールを拾われた。

セットプレーからチャンスを作るも、京都のディフェンスが体を張って止めたためゴールを脅かすことができず。幾度か京都のビルドアップのところでボール奪取してカウンターに繋げたが、決定機を逸してしまった。
神谷や下川が左サイドから積極的に仕掛けるも、福岡や仙頭の粘り強い守備の前にビッグチャンスを演出するに至らず。

互いに守備の部分での良さが色濃く出た前半だった。

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◇後半

●仙頭と金久保のジャブから先制へ

後半の立ち上がり、
・47:20〜 庄司→仙頭
・ 金久保→仙頭
・52:03〜 本多→仙頭

とDFラインの裏のスペースに立て続けにロングボールを入れて仙頭を走らせる。

ロングスプリントを厭わない仙頭の献身性から京都が敵陣へと押し込む。ビルドアップミスから山瀬に奪われてピンチを迎えるなど2,3度カウンターを食らったものの、小屋松や重廣を軸に逆にカウンターを浴びせる。

ブロックを敷かれてもテンポを上げたショートパスや運ぶドリブル(ドライブ)で中盤を剥がすシーンを増やした。ここは前半との大きな違いだろう。

さらにそこに前半から金久保が再三かけたオーバーロードでサイドの密集地帯に数的優位を確保してボールをキープしつつ、失ったらプレスで即時奪回orクリアボールを回収し波状攻撃に繋げた。

50:45〜 中盤をうまく釣り出したところ、前に人数をかけて金久保の横パスと安藤の縦パスでチャンスを演出
53:20〜 クリアボールを本多が素早く反応してマイボールにし、京都が愛媛を押し込める。このクリアボールの切り替えで愛媛が後手を踏んだため中盤のブロックが崩れ、京都が敵陣深くまで侵入することに成功。

この流れの中で、金久保が田中に倒されてFKを獲得。黒木が芸術的なシュートで沈めて京都が待望の先制。

今節のベストゴールにも選出された。

焦れずに攻め続けた結果がセットプレーからの得点という最高の結果に繋がった。

●秒殺の追加点

愛媛が攻勢に出たのも束の間。

58:52〜 京都が前線からのプレスでGKにロングボールを蹴らせると安藤が回収。
愛媛が間延びしてるのを見逃さず本多が小屋松に縦パスを入れる。鋭いターンで3対2の数的優位を作り左でフリーになった金久保へ。
切り返しからのシュートは1度防がれるも一美が押し込んだ。

全体をコンパクトに保ちながらもプレスで牽制し、セカンドボールを拾って攻撃に繋げる前半からの形が身を結んだと言えよう。

本多の縦を狙う意識や小屋松の素晴らしいターン、金久保のゴール前での冷静さと一美の嗅覚。
個々の良さが凝縮された追加点。

●The 試合巧者

1点を失った後から次々と交代カードをきり、守備陣形も541から532、そして523へ変更して京都のビルドアップを妨害しつつカウンターを狙ってきた愛媛。

しかし京都はGK清水が参加してテンポ良いパスでプレスをいなしたり、ボールを失ったあともブロックを作って奪い返してカウンターを浴びせる。

愛媛の3124のビルドアップも京都が3トップを軸に粉砕。
ろくにボールを運べず前線に良い形でボールが供給できない愛媛はほとんどチャンスを作れなかった。

試合終盤、愛媛の運動量が落ちてプレスに連動性がなくなり再びボールポゼッションで押し込む。
愛媛がボールの取りどころが定まらない上に、中盤にスペースが多くできていたのでそれ上手く利用して3点目を狙いながら試合を優位に運んだ。

ピンチも片手で数えるほどしかなくGK清水を中心に守りきり、試合巧者とも言うべき試合運びで見事勝ち点3をゲット。

前節までの2試合5失点という嫌な空気を振り払うクリーンシート(無失点)での完全勝利を収めた。

◇雑感

前半の愛媛の出来を考えると意外な結果であった。
たしかに前半から京都が541を崩すヒントになるシーンをいくつか作ったものの、後半ここまで変わると思っていなかったからだ。

京都の修正力とギアの上げかたが素晴らしかったのは言うまでもないが、同時に愛媛の脆さも目立った。
なんとか持ちこたえていたもののセットプレーから失点すると一気に崩壊。試合終盤は完全に運動量が落ちて京都のパスミス以外でボールを奪えず。チーム力の差以上のものが出たような印象だ。

京都としては主に攻撃面で541対策でやろうとしたことが試合に出ており、それがチャンスに繋がっていたことはプラス材料だ。
541の堅守を打ち破ったのは自信に繋がる(でも過信しちゃダメ)。
今後山形や甲府、大宮といった5バックを軸に戦う相手との6ポイントゲームが待っている。そこへの前哨戦として、良い弾みになったのではないだろうか。

それにしても、これに負けた柏って一体…(小声)

3)今節のピックアッププレー

50:56~50:57 絶好機を生み出した金久保→安藤の横パス

50:40~ ロングボールのこぼれ球を拾われるも素早いプレスで相手にクリアさせ、そのボールを庄司が回収。

50:50~50:54 前方がふさがれたので後ろの安藤へ、さらに安藤→黒木→金久保へワンタッチでつなぐ。

庄司から安藤へのバックパスで中盤が食いついたのでスペースができる。また一美と小屋松が2人で3人を引き付けている。局所的だが数的優位を作ることに成功。

50:54~50:56 前を向いた金久保に対し山﨑が対応。近藤、西岡、前野が中にスライドして前に出た山﨑のスペースを埋める(この動きをディアゴナーレという)とともに、裏へ飛び出した小屋松のパスコースを消す。

一瞬だけ局地的に数的同数となったが山﨑の対応と山瀬の戻りで前方にパスを出せず。しかしボールキープ。

50:56~50:58 前の選択肢がなくなった金久保は90度のターンで相手の足を止める。右に反転した金久保はオーバーラップしてくる安藤への横パスを選択。

京都の左サイドに注意を寄せられていた愛媛守備陣は慌てて京都の右サイドへ。下川のポジションが曖昧なうえに山﨑が釣り出されてしまったので、一時は5人そろっていた最終ラインが3人に。

少しドリブルを入れることで下川を完全にピン留め。仙頭がドフリーになので前野や西岡が対応に行くも、一美が空いた瞬間を見逃さなかった安藤がフリーになった一美へ縦パス。

見事なショートカウンターで、一美がトラップできていれば追加点かというチャンスであった。

私がこれを選んだ理由は

・セカンドボール回収

・相手を誘い出すバックパス

・最終ラインの枚数を削るボールキープとスライドでずれを生じさせる横パス

という流れで、相手がバランスを崩した瞬間を見逃さず、畳みかけるように最終ラインまで一気に崩し切ったからである。

最後の5バックのところを完璧に崩せたことは非常に大きな経験値となったはずだ。

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4)京都の541崩し

541の守備ブロックはピッチの横幅を十分カバー出来るように選手が配置されているため、横パスで揺さぶって相手をスライドさせてズレたところを狙うという攻撃が通用しにくい。

現代サッカーではハーフレーンを利用した攻撃が軸となっているが、大宮のようにハーフレーンの選手をHV(3バックまたは5バックにおける左右のCB)が対応することで潰すことができるため、ポジショナルプレーの天敵とも言えるだろう。

イングランド・プレミアリーグでも、ポジショナルプレーで猛威を振るうグアルディオラ監督率いるマンチェスターシティが老将ベニテスのニューカッスルに抑え込まれ敗北を喫した試合があった。

その中でグアルディオラ監督が見いだした解決策を、今回中田監督が採用していた。

興味のある方、余力のある方は是非読んでほしい。

ここに「京都の狙い」として書いたことが詰まっている。というか京都のプレーがまさしくこれなのだ。

偉そうに書いてみようと思ったが、この記事を頭に入れて試合を観ると「なるほど!」と思えるのでそちらを推奨する。

ほかにもオーバーロードというワードを出したが、めちゃくちゃわかりやすい記事があるのでこちらも読んでもらいたい。恐らく一発で、金久保が起用された理由と、金久保と重廣の流動的な動きが理解できるようになる。

実はサイドでのオーバーロードが肝で、金久保・重廣が二人とも片方のサイドによることで相手の守備のマークをあいまいにさせ混乱させることができる。さらにこの二人、狭いスペースでのプレーが得意なので密集地帯を突破するのに最適な組み合わせなのだ。

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5)最後に

毎試合何かにつけて「○○な一戦」というのはあまり好きじゃないが、この試合は確実に「今後の京都の命運を握る一戦」であっただろう。

一段階進歩した状態での541で守る相手との対戦、さらにピッチ上での選手の判断力が問われる試合、6ポイントゲームを前に上位戦線に踏みとどまれるか、いろんな意味で重要だったこの試合を勝てたのは大きい。

そして何より結果に内容が伴っていたことだ。過信はダメとはいえ、山場を前に複数得点&無失点で自信を取り戻すことは重要だ。

ここから水戸、長崎、山形、大宮、岐阜、金沢と優勝争いするには落とせない相手や北野監督に代わった最下位岐阜など難敵ばかりの連戦になる。

トータル勝ち点18の6試合、スタイルを貫きつつも、劣勢時にはなりふり構わず貪欲にゴールを狙えるか。

たとえ勝ち点3が取れなくとも、なんとしても1をもぎ取るんだという試合を期待したい。

今季最大の山場。狙うは全勝での首位浮上だ。

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