2019第21節 京都サンガ×Vファーレン長崎
7月7日(日)
明治安田生命J2リーグ 第21節
@西京極
京都サンガ 1-0 Vファーレン長崎
得点者:オウンゴール(10分)
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1)試合前プレビュー
2)試合展開
3)雑感
4)最後に
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1)試合前プレビュー
自動昇格圏を目指す京都とPO圏内へ食い込みたい長崎の上位対決。そして前半戦最後、リーグ戦の折り返し地点となるこの試合。
手倉森長崎はヴィヴィくんがかわi…ではなく、シンプルに442で守って、シンプルにカウンター・サイドアタックをしてくるチーム。強いていうなれば、手倉森監督は選手の個性が生きるポジションにそれぞれ配置するのがうまく、モチベーターとしても評価が高い。
ボールを持てばMF大竹やDF香川、亀川らサイドで違いを作れる選手がチャンスを生み、大ブレイク中のFW呉屋がフィニッシュする。センターラインには角田や徳永、玉田といったベテランがチームを支えており、攻守で非常にバランスが取れている。
メンバーを見ても献身性のある選手が多いので、堅守を崩せるか以上に最後まで走り負けないことが大切になってきたりする。
いかにも手倉森っていう感じだ。
キープレイヤーはSB香川だ。昨季は東京Vでロティーナ監督の下、特にシーズン終盤に頭角を現した。持ち味のドリブルやクロスはもちろん、今季は得点力も兼ね備えている。走力も十分で、FW呉屋とともに注意しなければならない。
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2)試合展開
◇スタメン
スタメンと基本陣形は以下の通り。
京都はミッドウィークの天皇杯で好プレーを見せたGK加藤が初スタメン。
●京都ボール保持、長崎ボール非保持(京都の攻撃)
●長崎ボール保持、京都ボール非保持(長崎の攻撃)
◇長崎の守備の狙いと京都の打開
長崎は自陣に引いて442でブロックを作り(リトリート)、ボールを基準点にそれぞれが持ち場を守るゾーンディフェンス。ファーストディフェンダーとなる2トップはセンターサークル付近で構え、主に京都のCBにボールを運ばれないように動く。
※呉屋はカウンターターゲットの役割があり守備参加は少ない。そのため京都は2トップの脇からCBが運んだり、中央の庄司経由でボールを容易に前進させることができた。
2CHがIHをケアして中央にボールを通されないようにし、サイドに誘導する。サイドでは下図のように、SBが縦、CHが中のコースを切る。もう一人のCHが中央のバイタルエリアを管理する。
中央からの突破が困難なため、京都は片方のサイドに人を集め、庄司を経由して手薄になった逆サイドから攻撃する(下図)。
●長崎のカウンター
右SB石櫃が高い位置をとるため、呉屋がその裏のスペースに流れてカウンターの起点を作る(下図)。それに合わせてサイドの選手が前に飛び出していく。
呉屋はサイドに張りながら味方のあがりを促し、サイドにボールが入るタイミングで中に入る。ギリギリまでSBを引き付ける(ピン留めする)ことで、味方がフリーでクロスを上げやすくなる。さらに中に侵入する動きで相手のマークの受け渡しミスを狙うこともできる。
◇前半
リトリートする長崎に対し、立ち上がりから京都が積極的にボールを動かしていく。上記の狙いから一美がビッグチャンス(6:15~)を迎えると、その後も庄司のサイドチェンジやボールを失った後のカウンタープレスからシュートまでもっていく。
9:20~ 京都はいつも通りゴールキックからボールをつなぎ、運ぶドリブルとパスでプレスに来た相手をはがしていく。長崎の陣形が間延びしSBの裏に大きなスペースが生まれたところを石櫃→仙頭で一気にゴール前まで運ぶ。仙頭のクロスをクリアしようとした徳永がオウンゴールしてしまい、京都が幸先よく先制。
戦い方を変えない長崎に対し、京都がボールを握る展開が続く。
長崎にボールを持たれてもしっかりと呉屋へのコースを消してブロックの外でボールを回させ、パスミスを誘ってはカウンターを仕掛ける。ロングボールには京都DFがしっかり競り、庄司を中心にセカンドボールを回収してボールポゼッションにつなげた。
立ち上がりで畳みかけて得点し、その後は危なげない立ち回りで前半を終えた。
◇後半
ゴールの欲しい長崎は前半より積極的になる。2トップと中盤4枚が高めの位置をとり、京都の2CBとDH庄司、両SBに連動してプレスをかけるシーンが見られた。
しかし最終ラインがついてこず結果として間延びしがちになる。
京都はGK加藤が積極的にビルドアップに関与することで長崎のプレスをかわし、逆に間延びしてできたDF・MFのライン間のスペースへと楔のボール(縦パス)を打ち込んでいく。さらにDFラインの裏を狙うロングボールも織り交ぜ、コンパクトにする隙を与えない。
PKをゲットしたのも、加藤→庄司→石櫃とつないでプレスをいなし、そこから縦に速く送った流れからだった。
結局戦況は変わらず、後半も京都が優位に試合を進めた。
京都が下畠投入により5バックにしたことで532の3センターの脇から攻められる回数が増えてしまう(下図)。
532の変更で長崎のサイドのストロングポイントが出てきたため80分あたりから押し込まれるも、GK加藤を中心に無失点で切り抜けた京都が勝利。
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3)雑感
PK失敗など追加点を奪うことはできなかったものの最後まで粘り強く守り完封勝利。決定力という意味ではあとについて2点ほど欲しかったが、それを差し引いても素晴らしい試合運びだった。
特に光ったのが中田監督の積極的なベンチワークだ。
この試合では前半からかなり走っていたため、特に前線に疲れが見えるのが早かった。またそのタイミングで長崎が攻勢を強め、ボールを持たれる時間が出てきた。そこでまずはCB下畠を投入し5バックにしてゴール前を固め安定させた。次に大野を入れて前線の走力を回復しプレスに行けるようにする。締めは運動量の落ちた中盤に重廣。
監督に聞いたわけではないのであくまで推測だが、選手投入のタイミングと順番はこのような感じだろう。
このベンチワークを含む全体的な試合運びは今シーズンベストに近いのではないだろうか。
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4)最後に
大混戦とはいえ前半戦を首位と勝ち点3差の2位ターン。結果に内容が伴っているだけでなく、京都の戦いぶりはJリーグ全体から注目を浴びている。
素晴らしいシーズンにするために、まずは後半戦の初戦(奇しくも首位の山形)に勝利し、魔境・真夏のJ2に殴りこんでいきたい。
昇格争い・残留争いする各クラブが積極的に補強を行い、いつになくカオスなJ2になってきた。
かくいう京都もJ1・ガンバ大阪からMF藤本淳吾を期限付き移籍で獲得。
ポジションはIH、WGの計算だろうか。前線のレギュラークラスにレフティーが不在なので、セットプレーのキッカーもできる藤本選手は切り札になりうるだろう。
顔は本多選手に似ているよ。
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