漢方仙人による漢方逸話『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。当帰芍薬散のおまけ話じゃ~』
前回は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)に使われておる当帰について、ネーミングの由来などについて説明させてもらったのじゃが、
今回は芍薬(しゃくやく)について触れみるとしようかのう。
有名な『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』という言葉を聞いたことがあるかのう。
これは姿が艶やかで魅力的な女性を形容しておる。
七七七五の都々逸(どどいつ)の形式を備えており、実際に唄われておった言葉じゃ。
これは江戸時代の書物に原型がみられるのじゃが、今のところは作者は判明しておらんようじゃ。
実はこの言葉なんじゃが、もともとは生薬の作用を例えたものと言われておる。
「立てば芍薬」の「立てば」はイライラして興奮している女性をさすのじゃ。
「座れば牡丹」の「座れば」はペタンと座ってばかりいる女性。これは血行不良によって起こっている状態をさしておる。
そして、「歩く姿は百合の花」は百合の花のようにナヨナヨしている女性でのう。これは鬱などのこころの病を患っておる状況じゃ。
芍薬はボタン科の植物で、園芸用としてよく栽培されておるのう。
生薬としての作用は造血作用、鎮痛鎮痙作用、精神安定作用などが有名じゃ。
当帰芍薬散は体力虚弱で、顔色は青白く、貧血傾向があり、冷え症の女性の婦人科疾患、めまい、頭痛、むくみ、しもやけなどの幅広く使われておる。
もちろん、今回説明に挙げたイライラしている状態にも最適といえる処方じゃ。
今回はここまでじゃ。
読者の方に少しでも興味が生まれ、漢方に触れるきっかけになれたなら嬉しく思うのう。