空想工事読本 計画してみた「大阪万博」強行開催 “飯場” 造成論
Yahoo ニュースに
という記事が出ていたので、実際にやってみるとしたらどうなるかを検証してみる。
住環境
2万人の労働者を収容する施設を考える。
前提条件
一部屋一人暮らし
流石に一部屋に6~8人詰め込むのは現代の日本ではアウトか
トイレ・風呂は共同
一部屋 4.5畳
参考にするのは アパホテル
アパホテルの横浜ベイタワー は施工が大林組。在阪スーパーゼネコンで今回のEXPO でも一翼を担っているので最適。
https://www.obayashi.co.jp/works/detail/work_2390.html
2,311室という設定だが、ホテル&リゾートということで、一人用の部屋は比較的少ないと思われる。しかし、EXPO後にIR誘致ということを考えると、このタイミングでホテルを作ってしまっておくのに越したことはない。
また、多種多様な部屋を作っておくことで、実施委員会のトップからゼネコン所員はたまた 労働者までの多種多様な層に対応できる(= みんなここに住む)と言うことにしておく。
2,311室を相部屋やら何やらが発生するとして、適当に部屋数の1.5倍の人を収容できるものとしよう。
そうすると、 20,000 / (2,311*1.5) = 5.77 棟
途中で増員やら何やらあるとすると、6棟建てるのが現実的(?)なはず。
この時点で前提条件はすべて崩れた。
高さ 135 m の高層ビルが6棟。
これで大阪湾岸も一気に 豊洲状態に近づくはず。
6棟建てるのに必要な敷地面積は本家の敷地面積を参考にして
8,329 m2 * 6 棟 = 49,972 m2 = 5 ヘクタール
会場面積が 155 ヘクタール であることを考えると その僅か 3%強。
会場自体も 夢洲全体を使用しないことから、十分に ホテルの敷地を確保できるとしよう。
夢洲が390ヘクタールあるのであればいける。
ホテル施工期間
ここで懸念されるのがホテルの施工期間。
本家のアパホテルの横浜ベイでは
◆ 着工-2017年4月07日(起工式)
◆ 竣工-2019年08月31日予定
と、2年5ヶ月 を要している。
2023年8月現在だと、これから計画を立て、設計し、申請し。
神の一手を使って、、2024年1月に着工できたとして、2年5ヶ月だと
■ 着工 - 2024年1月
■ 竣工 - 2026年5月
めでたく EXPO 開催の一年後に竣工を迎え、どうにもならない。
どうにかしろと言われるのが世の常なので、EXPO 本工事の方は 開催の1年前からの着工で頑張ってもらうとして、それまでに完成させるには
■ 着工 - 2024年1月
■ 竣工 - 2024年5月
とするしかない。5ヶ月で??? やるしかない。
では、単純計算でどうするか。
高層ビルは諦める
2年5ヶ月 = 29 ヶ月 かかったところを 5ヶ月で = 29 / 5 = 6 分の1の物量にするしかない。つまり、6棟予定だったホテルを 6x6=36 棟にする。
これで高層ビルの律速になる揚重などなども少しは解決するはず。
敷地面積も6倍になり 30 ヘクタール = 会場面積の 20% 程度になるが、敷地は十分にあるはず。
建物の高さも 1/6 になるので、135 m / 6 = 22.5 m 程度となり、6階建て程度となるので高圧コンクリートポンプや高層クレーンが不要となり、ホテル建設の作業員の移動も軽減されるので作業性も向上するはず。
また、ホテルの設備も高圧揚水ポンプや高速エレベーターなどなど不要になるので汎用品が使えるようになり突貫工事でネックになる調達の期間もマイルドになるはず。
大阪湾岸のベイフロントの象徴としての高層ビル群を夢描いていたが、現実を見つめ直すしかない。
前向きに考えると更に作業性だけではなく、利便性も向上する。高層ビルでなくなることで朝晩の通勤時間帯のエレベーター渋滞や火災の際の避難などを考えても低層であることに分がある。
ホテルの仕様
ただ、本来の目的(?)である、IRに再利用する。ことを考えると、あまりにも団地団地した作りではいまいち感が出てしまう。日本中で団地の高齢化が進んでいる中、時代の先端を謳うEXPOが団地を作るわけにはいくまい。
やはり、高級ホテル仕様で作っていただきたい。
こちらは鹿島建設が請負った ヒルトン沖縄宮古島リゾートだが、ここは頭を下げて(下げたところでどうにかなるかは分からないが)設計図をそのまま頂こう。
329室 の作りということで、上述の 計算で行くと 40棟程が必要になるが、ヒルトンのスウィートルームの広さなどを考えると、36棟で同じような収容力は出せると思われる。
内装などなどはあとから改修するとして、まずは5ヶ月で(5ヶ月で!!??)とりあえず住める物を作ろう。
本家ヒルトン沖縄宮古島リゾートは施工期間2年を要しているが、離島に作ること、ヒルトン仕様の内装にすることなどなど悪条件の結果だとここでは参考とは出来ないとしておく。
と、ここまで適当な計画が進んだところで、問題になるのが、「このホテル(仮)を建設するのに必要な作業員数は??」である。
ホテル建設に必要な作業員
経験則から この程度の建物を建てるとして、150~200名程度がピークタイムになると思われる。
36棟を同時進行できるのか、材料の輸送はできるのか、建機は確保できるのか、などなど列挙するときりがないので、今回はそこまでは考えない。
200名 とすると、36棟同時進行で、ピーク時に 7,200 名
あれ? 本工事の1/3 もの作業員する。これらの作業員の輸送問題は、、、といたちごっこになるので、通勤で解決できるものとする。
通勤手段
さて、これで2万人の作業員を寝泊まりさせる場所は確保できた。次に問題になるのが、労働時間の規制。
そもそもの根源はこれなので、できるだけ効率よく働く必要がある。
通勤時間
通勤時間が労働時間となるのかというのはさておき、ホテルから 工事現場まで 直線で700m ほどある。
不動産の目安が 徒歩 80 m/分 であるので、片道10分程度
パビリオンが入り組んでいることを考えると片道15分は優にかかると考えて良いと思われる。
しかし、これは朝夕に通勤することだけを考えるとこうなるが、実際には2万人の昼食も考えないといけない。
2万人の作業員が島に暮らしているので、お弁当を支給するだけでも結構な労力とコストになる。お弁当を食べる休憩所も2万人分。
分散させて時間をずらしても 一度に3~4,000人分の休憩所が必要になる。
3,000 名 x 1.5 m2 = 4,500 m2 の休憩所になる。
これを各所に分散させて作るという手もあるが、それらの休憩所の設営・運営でまた工数とコストがかかってくる。
そうなると、一番良いのは海外の大型工事現場である手法で「昼食時は飯場に戻る」となる。
こうすることで、
厨房などの設備を朝昼晩で一元化できる
現場へのゴミの持込みを軽減できる
設営費・運営費が浮く
といったことが期待できる。
ただ、そうなると、お昼ごはんのためにまた 片道15分を歩いて帰らないといけない。つまりお昼に30分の徒歩移動が発生する。これは作業員からすると結構な問題で、単純にお昼休みの時間が減ることになる。
そうなると、不満も溜まる、疲労も溜まる。パフォーマンスは悪くなるし、安全管理の面からもよろしくない。
と、言うわけで、朝昼晩に通勤用のバスを運行することになる。
必要なバス
2万人の作業員を輸送するのに必要なバスの台数は、
を参考にすると、連節バスで113人乗れる。
20,000 / 113 = 177 台
定員乗車だけで考えると心もとないので、1.3倍は見込みたい。
そうなると
177 台 x 1.3 = 230 台
価格は1台・約8800万円 と超高いので、流石に購入するのではなく、リースにしたいが、そもそもこんなバスが 日本に何台あるのか。。。
バスの乗降場は複数台駐車できるとして、片道 1km 往復 2km にどれだけのバスを運行することができるのか。
バスの長さが 18m
安全な車間距離の目安は 速度40km で 22.2m 以上
参考:https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-drive/subcategory-technique/faq138
加速時間など考えると 40m ほどの車間距離になると思われる。
そうすると、一台のバスに必要な 空間は 58 m
片道 1,000 m として、17台が1車線で同時に走ることが出来る。往路も合わせると 34 台
一台のバスが
乗車+降車 =5分+5分 =10分
往路+復路 = 2分+2分 = 4分
グルグル走らせるとして、1台が1時間に 4往復出来る。
この1時間で 運行するとして、 34 台 が4往復して 136台分
延べ230台 が必要なので、2車線道路で 2グループ 68 台 があれば運用出来るかもしれない。
運行状況の変化やバスのメンテナンスを考えると 結局100台は確保することになると思われる。
8,800万円の バスを 100 台 なので、 これだけで少なくとも 88億円の経済効果が期待できる。
週末はどうするか
労働時間が厳格に規制されるということは、労働時間外の活用も考えないといけない。
週末になると、陸地が恋しくなる人も出てくるだろう。なんたって島にはおそらく居酒屋などない。(普通これだけの大人数を収容する場合 トラブルを避けるためにお酒はご法度)娯楽施設を設営して運営していく余裕もない。(IRを先に作れば大きな収入源になるのに。もったいない)
そうなると、皆週末は 陸地を目指すことになる。
その際の輸送手段は心配するなかれ、100台のバスが待機している。
100台に113人ずつ乗って、一度に1万人は輸送できる。しかし、ゼネコンの所員なども別途移動するだろう。
そして、橋とトンネルは シンガポールやバーレンの橋よろしく大渋滞になる。税関と入国審査がないのだけがせめてもの救いか。。
ここまでの結論
36棟の簡易ホテルを5ヶ月間で工事し、2万人の食事を朝昼晩確保し、100台のバスを毎日朝昼晩 運行することで 何とかなるんじゃないかと楽観的になれる。
今後の検討内容
To be continued…