オルギア視聴覚室vol.6 の感想
11/18~19(会場:蒲田温泉)
2016年に始まったオルギア視聴覚室は、女優のhocotenが主宰となり無名の劇団や芸人を呼んだ闇鍋演劇祭だった。しかし、この無名劇団たちが新時代の劇団として注目を浴びはじめ演劇業界に新たな潮流を生み出し今や彼らは人気劇団。
また、当時ポピンジという名前で出演していた春とヒコーキがメディアの人気者になるなどお笑い芸からもスターが登場。
第4回以降は演劇以外のジャンルも登場し、映画上映・音楽・SMアイドル等、まさに闇鍋なサブカルイベントとなった。
vol.4の感想
vol.5の感想
そしてコロナの冬を経ていよいよ、4年ぶりに復活したvol.6
すべてのカルチャーが融合したオールジャンルサブカル闇鍋フェスとなった。過去最多の出演者、2日間で合計18時間という大ボリュームのすべての出演者の感想を書く。
ニュークレープ
おもしろ荘優勝歴のある3人組。ナターシャの脱退発表後の最後の3人でのネタ。自虐ネタ交えた自己紹介からの面接漫才。抜群のチームワークで実力派トリオの最後のネタを満喫。
ネタが終わると主宰のhocotenさんが登場し、MCへ突入。ニュークレープはこのままオルギアのMCとして最後まで続投。
町あかり
前回出演の時点でフジテレビの歌のお姉さんとして人気だったが、今回はミュージックマガジン年間ベスト(J-pop/歌謡曲部門)受賞として凱旋。受賞アルバム『総天然色痛快音楽』のナンバーを披露。いきなり、リード曲「ラーメンは軽犯罪」からの軽快なポップソング連打。「いい加減気づけよ」「さっぱり橋」「医者に止められてます」「下手くそなのは味がある」「廉価版小唄」といったユニークな題材を高い歌唱力で唄い上げる。
ネジマキトカゲ『ボックスティッシュの科学』
哀愁のあるコントを旗印にしているコメディ劇団。ものすごい速さでティッシュを抜いたら摩擦熱で燃えるのではないか。バカみたいなアイデアを妄想する3人の姿からやがて彼らの正体が明らかになり、そこから大人の男たちの哀愁がにじみ出るコント。
野野 「はじめてのおつかい」「存在感」
劇団「地蔵中毒」を始めとして様々な作品に出演し、その存在感で注目の俳優とも紹介される怪優2人。東野良平と小野カズマによる新ユニット。2人の俳優によって作られたコント。
「はじめてのおつかい」は破壊力満点の天丼、力技の中に展開を詰め込みB.B.クイーンズの見事な使い方。
一転して「存在感」は存在感の薄い男をめぐる会話主体のコントで雰囲気がガラッと変わっているのに笑いの手数が止まらず。俳優としての実力だけでなくコント作家としての才能もあるとは。
日本のラジオ『ナキゴエ』
vol.2以来の登場となる人気劇団。当初はコント「交番にて」を上演する予定だったが出演者急病につき、主宰の屋代秀樹に交代しホラー朗読劇に変更。ホラーをやりますとの宣言で一笑い。
地域開発のため廃屋同然の住居を訪れた不動産会社社員がそこに住まう何者かに遭遇する怪奇。日本のラジオらしい重苦しいモードでオルギアの空間を異世界にする。
ふらぐめんつ「エキストラ」「名探偵」
Youtubeでの活動から劇場での公演に進出し始めたコントユニット。今回はオルギア常連俳優たちを使ったアナーキーコント。立川がじらの周囲に振り回される苦労人に対し、尾形悟(マグネットホテル)のウザったいアクの強さが炸裂。
「エキストラ」では尾形の勘違いエキストラが撮影現場で大暴れ。ソナチネパロディで大爆笑。
「名探偵」はそこにオルギアの首魁hocotenが登場。ポンコツ探偵をお得意の妙な色気をまとった演技で俳優としての実力発揮。
ダダルズ『不安』
今年の7月に上演した傑作一人芝居の再演。不安が溜まると体の中におっさんが現れる想像をしてしまう女。彼女は不安を取り除くために占いへ行くが。自身から始まり世界あらゆるものに毒を吐き続ける オフビート。生きづらさを不安定な語りに乗せるが次第に怒涛の連射砲トークへと変貌。それを不可思議な言語センスでナンセンスなユーモアに包み込む。蒲田温泉ごとを脳内世界へとダイブさせる。異質な一人芝居で会場は大盛り上がり。
盛夏火『Dystopian Virtual AVR20023』
初日は私、出演者の名前を表示させる仕事をしていた。出演者が出るたびにPCを操作して、名前を出していたが舞台に全然出てこない。なんでだろうと思ったら客席で突如始まった。
遥か未来、シスターアリスという女性を救出しに二人の兵士が送り込まれた。温泉の宴会場に模された空間で任務にあたる二人だが、その裏で巨大な陰謀が進行していた。こじんまりとした空間が壮大な設定で飾り付けハードSFの舞台にしてしまう空間力。この会場でド派手なアクションサブカル演劇をするとは。
尚、初日は三葉虫マーチさんがセリフを飛ばしてしまうハプニングがありどうするんだと思ったら、金内さんと新山さんは “アクションゲームで一定時間操作しない時にプレイキャラクターがするポーズのモノマネ”をしていた。あのままセリフを思い出せてなかったらいつまでも無言のモノマネをやるつもりだったのだろうか。
Dreamcast
2MCのHIP -HOPユニット。ポップなラップから『焚べる薪』で会場ぶち上がり 。個性の違う2マイクロフォンが会場の心を掴む。私は聞いていてリトル・バード・ネイション(90年代にスチャダラパーが中心になりできたヒップホップクラン)のラッパーたちがとても好きなのだが、勿論彼らとそっくりというわけではないが本格志向よりも日本語RAPの遊び方を実践していた彼らの遺伝子を感じる部分がある。(私が感じるって話ね。似てねーじゃんって言われてもそうなんですねとしか言えないから)
それまで、ネジマキトカゲから始まった演劇ムードをあっという間に音楽ライブに塗り替えてしまった。素晴らしき盛り上げ上手
めっちゃ最高ズ『授業参観』
M1グランプリ2023で準々決勝進出した実力派①。女性版インディアンスのようなハイテンションでボケまくる漫才だが、軸がしっかりしていて一つ一つのボケを丁寧に叩き込む。パワー頼りではないボケをダンクシュートで観客にぶち込む。後日準々決勝ではこのネタで勝負するも敗退。面白かったけどなぁ。
ムラムラタムラ 『もっこりからのりーもこちゃん』
もっこりからのりーもこちゃんというギャグ一つだけで勝負する漢。ギャグは一個なのに魅せ方が多彩。ありとあらゆる引き出しからりーもこちゃんを叩き出す。
Toshishi
俺の裏メイン。最高だった。
「Rusty Nail」のイントロと共にX時代のToshiの格好で登場。お腹が気になるなぁと見ていたら、歌い出した瞬間会場が沸いた。周囲から漏れる“うっま”、“本物じゃん”の声。大いに盛り上げた後椅子に座るToshishi。その瞬間一部のお客さんがざわめく。座った状態で流れるのは「紅」のイントロ、歌い出すToshihi。実はこれ実際のライブ演出を再現したものである。ってことはあのお客さんXのファンだな。紅だー!の叫び会場最高潮。雪崩れ込むAメロ。そして名物長いギターソロ一体何をやるかというと、ひたすらこちらを見つめるToshishi、ステージを歩くToshishi、そして紅に染まったこの俺を!。蒲田温泉がXのライブ会場になった。
顔田顔彦(大人計画) マジックショー
熱狂のフロアに現れたのはベテラン俳優、今日はマジシャンとして登場。大人計画仕込みの軽快なおしゃべりで、あっという間に空間を自分の味方に。愉快なおちゃらけマジックと思わせて本格派マジックでオチをつける。喋りが上手いからこその見事なショーの構成。ラストは蒲田温泉に鳩(本物)が飛び回るド派手なエンディング。
優しい劇団 『不眠症中学生 VS ヤクルトレ◯ィ 哀切の乳酸鬼 篇』
圧倒的パッションで注目度上昇の名古屋の新星劇団。安眠を求めて最新のヤクルトを求める男。ついに見つけたと思いきや謎女に飲まれてしまう。そこから、睡眠とヤクルトをめぐる青春激闘演劇が始まる。馬鹿馬鹿しい設定を熱量で突っ走るとやがて爽やかな後味がやってくる。正しい小劇場演劇で流石のクオリティなのだが、前二組がとんでもない盛り上げ方をした影響で空気と噛み合わず、本来もっと盛り上がるべきなんだけどなぁと思った。
回黙天 『漫才』
出だしビッグシールドガードナーからの、たぬき疑惑。ゆるふわシュールなボケを連発して独自の空気。トボけた味わいでツッコミを振り回すボケ。天丼の面白さを味わうが、もう少し濃縮した味わいも楽しみたい。
トリコロールケーキ・ポトフ
ナンセンス劇団のラジオ企画、公開収録。要はトークライブだが不可思議なおかしみは変わらず。出番のスタンバイ中にとある大事件が起きていた。タイムテーブルの奇跡によって生み出された事件とは。
8月22日の彼女『亡き妻へ』
母を亡くした娘。父と共に手を合わせるが、何故か写真はなし。娘が登校した後、こっそり妻の生前の写真を出すが・・・。
いやぁ、とんでもないネタ出してきたな。到底TVではできないような放送禁止ネタ。 タブーや不謹慎ネタは色々あるけれど、父がロリコン誘拐犯で亡き母が被害者の行方不明幼女というバラシは、笑えるか笑えないかかなり際どい。正直この設定だけならば結構ドン引き。所が、天丼だったり笑いどころのずらし。母の幽霊などのギミックでこの際どいネタをコントに仕立て上げ、会場を笑いに包む。私も笑った。際どさだけでなく確かな技術を持ったネタ。
中村ナツ子の深淵『幸せな結末』
女優、中村ナツ子の単独企画。こちらもラジオの公開収録。中村がアシスタントと共に、中村の前職であるAV製作者時代の面白エピソードトークする企画なのだが、変な反応するアシスタント。収録は何事もなくそのまま進むが。
奇妙な公開収録が一つの独白をきっかけに意外な展開をする。アシスタントの正体が明かされた後は、丁寧な伏線を回収し予想通りの展開。しかし、何故この展開をするのか。何故この曲なのか。それが明かされた時、落涙するラスト。まじで泣いた、まさかオルギアでここまでの感動作が上演されるとは。ラジオ愛、大瀧詠一愛溢れる愛すべき短編
馬肉かなめ『ちいかわ』
ちいかわの音源を流し『ちいかわ』再現。ただし、透明なシートにちいかわの絵だけ。白がないので口にドライアイス含んで吐いた白い煙で着色します。馬鹿大道芸、さっきの感動の涙が引っ込む力技。この落差、まさにオルギア。
不条理コントユニットMELT『通夜にワンチャン』
作り込まれたコントで話題を呼び旗揚げ2年目にして佐藤佐吉演劇祭選出の実力派。お葬式に来た女性。彼女はAEDを使って生き返らせようとするも無理だと言われる。しかし彼女は言う「ワンチャンあるかも知れない」。静かに始まり、笑いの波状攻撃でボルテージを上げていく。丁寧に作り込んだ笑いは若くして既に手練
猫化粧『世界一臭い人』
男女お笑いトリオ。出会った女は世界一臭い人が兄だったことで悩んでいた。その告白を傍で聞いていた男が立ち上がる。ゆるゆるナンセンスで立ち上がるくだらなさ。バカだなぁと笑える安心感。
the kusamura mad rat
アート集団は会場のインスタレーションも手がけているが、出演者としてスリーピースバンドで登場。 サトシ、カスミ、タケシの格好で登場し笑いを誘うも演奏はゴリゴリのガレージロック。パワフルな演奏に合わせるは、軽快な男性ボーカルと揺蕩うような女性ボーカル。タイプの異なるボーカルで駆け抜ける。真っ向勝負のロック。
xiangyu
独特な存在感をケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネルラ)に認められ、彼プロデュースで注目を浴びたアーティスト。ノリノリのポップソングだが、生活感がたっぷり塗り込まれていて日常も踊らせる。個人的に「プーパッポンカリー」が好きなので聴きたかったが、しかし代表曲なくともフロアを踊らせる。惣菜でコールアンドレスポンス
FURI RIOT
アメリカ式ダイナマイトボディのバーレスクダンサー。バーレスクというエンターテイメントが持つ楽しさを初体験の観客に感じさせる圧巻のパフォーマンス。おひねりタイムで大盛り上がり。みんなおひねりしたくて手を上げる。
NINA GALAXY
同じくバーレスクダンサーだが、一転して妖艶でミステリアスな夜のバーレスクショー。あちらがエンタメなら、こちらはアートだ。雰囲気たっぷりのパフォーマンスのあとは、おひねりタイム。最後に手を挙げた最前列のお客さんを素通り。かと思いきや、仰向けにさせお金を口に咥えさせ、自ら口で取りに行く超接近の口渡しおひねり。いやー、流石のパフォーマンス。
ぼく能 『たけしワイン』
バーレスクの後で本人困惑、お笑いとバーレスクの中間と一笑い。名前は知ってるがいろんなとこで見かけるので、結局なにしてる人なのか。今回披露したのはタケシのモノマネで肩につけたブドウを顔にぶつけて潰してワインを作る。馬鹿馬鹿しさを突き詰めた果てのシュール?それともただの馬鹿か。パワ一勝負で会場の空気を笑いに引き寄せる。
大仰天『遊園地』
Mー1準々決勝進出の実力者②。ボケの木場事変は結成前に木場智徳として出演していたが、実力派コンビとして帰還。閉園する遊園地を舞台に畳み掛けるボケ。ボケの一つ一つの完成度とひねりが素晴らしくヤケクソになった人間の面白さ。そして見事に決まったオチ。その後の準々決勝では『結婚の挨拶』で勝負。ひねった設定のいいネタだったが敗退。面白いのにやっぱ厳しいね。
コンプソンズ 『喫茶店』
喫茶店で会話する男女。しかし、隣の席でその会話が耳に入った男はサブカルくささに辟易してブチギレる。コンプソンズらしいサブカルネタを交えているが、かなり真っ当なコントで珍しい と思いきやそんな単純なネタをやるわけがない。気づけばあの作品に飛ばされるし、喋るとんでもないのが登場。大暴れしたあとはちゅっ、可愛くてごめん。コンプソンズここにありと叫ぶ破天荒演劇 。タイトル喫茶店で合ってる?
ニッキューナナ『合気道』
カオスの後には真っ当な合気道コント。と思いきやまさかの二組連続してチンポネタ 。セクハラしようとする師範に対して弟子(女性)必死の拒絶で生まれる笑い。下ネタ真っ向勝負。
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サツマカワRPG『ショートコント』
流れに乗って冒頭チンポネタ。Rー1ファイナリストの実力派ギャガー。vol.5の怪奇での登場に続きピンで登場。ショートコント詰め合わせ。だが、どれも捻った設定のコントで大喜利的発想の豊かさに驚く。記者の取材ネタが酷くて好き、これもある意味チンポネタ。ラストに、NINA GALAXYさんに口渡しおひねりをされたお客さんを仰向けに。懐から出したお金を口に咥えさせ、これさっき見たぞ!から取り出した拳銃で「馬鹿め!騙されたな!」銃撃。
町ルダさん『鳩』
鳩に餌をあげる人を見かけてから始まるとんでも展開。なんだそりゃというお願いを聞く姿にお人好しな人格が垣間見える、大ツッコミ炸裂でピン芸人一人コントでもサツマカワから自分の空気に会場を引き込む。
春とヒコーキ「離婚」「席」
今回のマスコットキャラにして、オルギアの常連。「離婚」ぐんぴぃ演じる離婚調停中の夫のヤバさが炸裂するコント。キャラの魅力から見事なオチへ着陸。「席」は一転して土岡の狂気炸裂。異常な理由で他人の家に上がり込む、マジっぽい土岡に翻弄されるぐんぴぃ。このコンビの器用さが炸裂
田島ハルコ
ミュージックマガジンの日本のヒップホップはここまで来た!2023ディスクガイドにて現代ヒップホップを代表する一枚として『kawaiirest』が選出されたアーティスト。ノートPCから飛び出るゴキゲンなトラックに乗るパワフルなボーカル、ビートに合わせて会場を熱気をぶち上げていく。
VOQ
バンド、オルガノラウンジのヴォーカル。トリップしそうなエレクトロミュージックと幻想的な映像。夜から浮かび上がるヴォーカルで、熱気のフロアから深淵の奥底へ連れていく。
金富烈
ムーディーなサックスソロ演奏。大袈裟な演出はなくスポットライトのみのシンプルさ。闇夜に浮かぶサックスは、それだけで強い存在感を放つ。
ディスク百合おん
90‘sポップスの連打をする8cm CD専門DJでボルテージMAX。もしかしたら今日イチ会場の心が一つになったかも。興奮したkusamura mad rat のお二人が人間跳び箱をして、飛ぶ人いないかと叫んだので私が飛んだ。ブギーバックをみんなで熱唱し、「月灯りふんわり落ちてくる夜」で踊って、私が好きな杏子「星のかけらを探しに行こう」で私のボルテージマックス(まぁ、好きなのは福耳のカバー版だけど)。
Akira Arasawa(ヘンタイカメラ)
音楽に音声を組み込んでゴリゴリのビートで踊らせる。しかし大盛り上がりのフロアを的確に操作し、流れるようにクロージングへの導いていく。1日目トリの役割をきっちり果たす見事なDJ。
2日目
OpeningDJ
Akira Arasawa(ヘンタイカメラ)
昨日トリで会場をぶち上げたDJが今日は開場中にプレイ。昨夜と異なりお経のような怪しげな音楽で空間をタダモノではない感じで埋め尽くす。
ムラムラタムラ 『もっこりからのりーもこちゃん漫談』
2日目の登場は、まさかの漫談。出オチ、と思いきやギャグだけではない巧みな話術。おバカな光景を喋りと動きで描き出す。シンプルに漫談として面白いがもちろん内容はもっこりからのりーもこちゃん一本。これでよく成立してるなぁ。しかし、クラッシュバンディクーのモノマネのような関係ないネタも面白。
りーもこちゃんの瞬間をサーモグラフィーで撮ると、りーもこちゃんしてるムラムラタムラの形をした熱気が発射される。
どくさいスイッチ企画『どくさいスイッチ企画です』
Rー1グランプリ準々決勝進出した大阪の実力派アマチュア芸人。過去のオルギアで、落語家の銀杏亭魚折として出演していたが、今回はコント時の名義で初登場。どくさいスイッチ企画ですと挨拶しタイトルを言ってコントに入る普通の形。電車での不審者にあったどくさいスイッチ、なのだが「どくさいスイッチ企画です」の挨拶が何度も挿入されコントタイトルで徐々にどくさいスイッチ企画が巻き込まれている状況が明らかになっていくという凝ったコント。オチをタイトルで明かすという構成は既存のものだが、その捻り方が面白い。拍手笑いした。
ザ・パーフェクト『やりたいこと』
自己紹介からやりたいことへのスムーズな展開。手数の多い軽快な王道漫才。手堅く笑いをとり続け、客入れから始まった捻った空気を正常に戻すサビ抜き好き。
B子 『冬夏』短縮版
宝くじ売り場の上司を殺害し、隠蔽のため宝くじ売り場に住む男女。倫理観の壊れたオフビートな日々。今年上演された一人芝居の後半部分のみ上演。一切SNSをやらず、webでの情報も少なく正体不明にも関わらず佐藤佐吉演劇祭に選出された孤高のオルタナティブ演劇。初演時より、音声が新しくなってる?相変わらずの奇妙な世界で客席はちょっと戸惑いの感。昨日の日本のラジオと同じくオルギアの特色を伝える異分子。
尚、本来はシオザキの後だったがシオザキ行方不明につき急遽出番が繰り上がる。
シオザキ
遅刻による土下座から開始。vol.4でシオちゃんハセちゃんとして参加し、今回は解散後のピン芸人として登場。マイペースな一人コントからのフリップ芸。独特の雰囲気でゆるさと造り込みの中間のような存在感。フリップは作り込まれていたが袖から見てたのでフリップを捲るシオザキさんしか見れず。でもそのテンポ感で十分面白かった。
尚、のちに本人から聞いたがシオザキさんは参加決定が後になったため出番順が錯綜し、その影響で後の出番と勘違いしたそう。外でネタのチェックをしてたら血相変えたスタッフが走って呼んできたため何事と思ったと。
公社流体力学 『わるいへんじ』
私です。
オカルトライター飯田さんのお手伝いに行ったら目隠しした女性を連れてきて車に乗せてきたので何事と思った話。温泉なので温泉旅館にまつわる怪談話を。タイトルは勿論いいへんじのパロディだけどあの劇団が描く生きづらさに対するオカルト側からの真面目な返事。どうしてもしっとりしてしまうので、布袋「スリル」の物まねをぶち込んだがそこまで盛り上がらなかった。作中の小道具でサーモグラフィーが登場するので、ムラムラタムラさんからセリフをちょっと拝借。心霊現象に襲われるシーンからの小ボケで笑いが起きたので良かった。
立川がじら『うどん屋』
昨日のふらぐめんつに続き今日は本業の落語家で登場。
小噺で客席をあっためてからのうどん屋。古典落語を軽快な話術と時折混じるカオスでオルギアの空気にチューンナップ。酔っ払いの酩酊感もうどん屋の対応も流石で惚れ惚れ。
salmo mama2
歌手だが、シュールで短い歌にゆるゆるな一発ギャグ。で、ヘンテコな人が出てきたなぁと、こういうのがオルギアだぁと脱力的させてからしっとりバラードで締める。完全に死角からの一撃。ちゃんとしたアーティストじゃん、やられたぁ。
田島ハルコ
2日めの登場。今回は選曲を変えて、お風呂に入ってるおばあちゃんが驚く選曲。今回もバイブスぶち上げ。
ミームを考える 『感想を決めているイントロクイズ』
芸人によるYoutubeチャンネル。リスナーの感想を想定して作られるポップソングをイントロで当てよう。音楽を感想という視点から見る新しさ。WANIMA「やってみよう」の答えは“やってみよう”。企画の面白さもそうだが、一曲目での誤答だった「百万回のi love you」がまさかの最終問題の答えだったのに誰一人(誤答した本人ですら)分からなかったミラクル。
電王『ネフェルピトー』
ポックルの脳みそを操作するネフェルピトー、でも変なところ押したみたいで次々おかしな反応ばっかり起きる。HxHネタ好きで笑ったが会場は今ひとつウケず。えっ、こって全日本人知ってる知識ちゃうの?ちゃうのか。このネタ好きだけどなぁ。
かきあげ団
『団長さんの犯罪撲滅コンテンポラリーダンスと団員の厚紙配り』
団長の手紙を自らコンテンポラリーダンスで表現。その団長がしたためた、財布を盗まれた経験を読む団員。淡々と語られる内容はまともなはずなのにワードチョイスなんかヘン。ダンスが合ってんだか合ってないんだか、ズレた笑いどころに団員が島崎和歌子愛を広げて名刺を配る。東京小劇場演劇界のナンセンス裏番長、これだけシュールなことやっていて会場爆笑
盛夏火
二日目は登場の仕方を知っていたので、なるほどこういう登場をしていたのかと思ってみていた。小道具を多く使うので大変そうだなぁ
めしのくに『虹の麓』
虹の麓へ行こうという戯言に対して、本当に行ってみようとするファンタジックなホッコリする漫才。可愛らしい設定、だがファンシーに行くことなく強いツッコミによって漫才として地に足をつかせる。
コンプソンズ大宮企画『フリップコント』
コンプソンズの大宮二郎による客演招いての単独企画。何故、昨日のコンプソンズと演目が違うのかの事情説明から雪崩れるようにカオス。本隊に負けず劣らずのコンプソンズらしい芸能ネタ交えての毒舌。そこに、フリップという要素を加えての新しいテンポ感。無茶苦茶と完成度の高さを合わせる。
十九人『ツチノコ』
Mー1準々決勝進出の実力派③。にちようチャップリンで見て以来大好きな漫才師(オススメは「幸せななる方法」)。ついに生で見れた。披露するのは鉄板ネタ。ツチノコ獲りのアルバイトからアクセルの入ったゆッちゃんwが大暴走。翻弄される松永の静かで必死な抵抗が良い。走り回った先にあったのは、コンプソンズ大宮企画の置き土産・生首で二人揃って驚いてぶっ飛ぶ。冒頭では、大宮企画に触れて、芸人さんじゃないってことなの?と驚いていた。数日後の準々決勝では、これを披露するも敗退、面白いのに。
牛女『兄弟』
病院から兄危篤で駆けつけるも面会謝絶であえず、ところが後から来た人は面会を許された。彼は兄の穴兄弟だった。単なる出オチ、と思いきやぞ福していくカオスの嵐。出演者集合。キングオブコント準々決勝の実力派、くだらなさを貫く強さ。
サツマカワRPG 『向上委員会でウケるギャグ』
着替えギャグからの向上委員会で受けるギャグ連発。オルギア視聴覚室だからゲームのマニアックなネタが受けて激怒。こんな知識さんまさんが知ってるわけないだろ。見事なギャグとキレ芸の華麗な融合。
東京にこにこちゃん『クライマックス・イズ・ベリーグッド』
クライマックス嫌いの女性、それは少女時代に出会った少年が理由。転校してきた少年はクライマックスを引き寄せる体質だった。東京一のウェルメイドナンセンスコメディ劇団は直球の演劇。
男女の出会いと別れ、そして再会までを描いたドラマにイかれた連中による倫理観のぶっ壊れたボケの連発。立川がじらが今回三団体目の出演。余命いくばくもない優しい祖父を演じる。近年にこにこちゃんのミューズ髙畑遊(ナカゴー)が母親役で今回も破壊的なボケ連発。特に、余命わずかな祖父に相撲対決を挑んで投げ飛ばす瞬間の破壊力。がじらの困惑もまたイイ。だが、やはり西出結とてっぺい右利きの純愛に泣く。てっぺいさんの情けなさと哀愁と愛嬌が混ざり合った存在感に西出さんの鮮やかさが、怒涛のラストに光となる。狭い舞台に凝縮されたエネルギー。
元劇団ジェット花子 『現アース・ウィンド&ファイア』
東京フレンドパークを見てたらモーリス・ホワイトが出演していた。しかし関口宏もモーリスもなんだかおかしい。脱臼したナンセンス、スローテンポで昼寝の時の悪夢みたいなコント。その果てにたどり着くのはBoogie Wonderlandでファンキーに染め上げる。
解散した劇団の一夜限りの再結成だが、何故わざわざ元をつけてるのか不思議だったが、全力のアース・ウィンド&ファイアモノマネで理解、タイトル最高。
カラオケ大会
読んで字の如く、宴会場備え付けのカラオケマッシーンを使っての余興。
ミス iD2022グランプリの金井球は 相対性理論をかわいく歌う
地蔵中毒俳優の栗原三葉虫が「フレンド・ライク・ミー」をジーニーが取り憑いたような圧とマジックを駆使してエンターテイメントとして歌い
おぎはらせいこまんじゅうが暴れ回った果てに自作の謎ソングを歌い上げようとして、それを司会が止めようとするもボロ負けし結果会場は焼け野原。
焼け野原に立ったのは、東京にこにこちゃん主宰萩田頌豊与。桑田佳祐をキッチリ歌い上げて締める 。
FURI RIOT
二日目も会場大盛り上がりのバーレスク。
宇宙論☆講座 『脳みそをほぐす合唱団』
コロナ以前の代名詞だった飲酒公演が復活。長丁場で疲れたみなさんを癒す合唱団のはずが、一人の尻が破けていたせいで、大慌て。久しぶりの飲酒公演で五十部さん泥酔につき大惨事、小道具の大玉も袖で膨らませたせいで舞台に上げることはできず。私含めて何人かが全力で舞台に球を押し出す。
宇宙論の武器であるトホホな物語パワフルな合唱とオルギアらしいカオスが味わえる。ただ、泥酔に関しては本公演と比べて舞台が狭い分面白よりも危険が上回った。ここは五十部さんの目測(と、飲む量)が誤ったかなと。
マーライオン
着実な評価を積み重ね10周年のシンガーソングライター。今回で2度目の登場。優しい歌声が荒れた場を癒していく。とんかつで盛り上げてから春を待ち続ける。
下町ノ夏
夏をテーマにするシンガーソングライター。聞いていて懐かしさを感じる、この感じ。ビーイング系最後の全盛期に少年時代を過ごしたものにとって、あの頃のポップソングの遺伝子を感じる(動画を見ると、あまりビーイング度が高くないがこの時のライブはビーイング魂を感じた)。思わず、近くにいた盛夏火の金内さんに話しかけたくらい(同じビーイング直撃世代だと思ったから)。それでいて、ただ懐かしさを感じるだけでなく、極上のメロディと力強い歌声。
財閥
カジカ哲平(ソンソン弁当箱)と荒井ばる(元劇団ジェット花子)によるユニット。中堅実力派バンドのヴォーカルと、独特な存在感を放つ女優。どういう組み合わせ?ソンソンの曲「こたつ」をアレンジして披露パワフルな音楽に、そこにエセセレブのような格好した荒威ばるが佇むパフォーマンス。この強い存在感、不思議なステージングの音楽ライブ
テンテンコ
羽のような声に毒のようなエレクトロ。BiSとしての活動後ソロシンガーとしてデビューしエレクトロニカミュージシャンとして活動。どうやら今回、エレクトロ主体の現在では珍しいヴォーカルメインのライブだったそう。しかし、夜闇の中で体を踊らせるのにふさわしいビートを更に奥地まで連れていくパフォーマンス。踊りながら聴きたかったので、隅に移動して踊ってた。
ディスク百合おん
2日目の今日は、ナードコアDJ。偏愛する柳沢慎吾のひとり警察24時等の芸能ネタを音楽としてサンプリング。無線機で踊れるダンスフロア。今日はパフォーマンスも大暴れで、頭にパトランプを付けたディスク百合おんが会場を飛び出し外に走り出していく。
TOMMY(BOY)
フジロックにも出演する肉体派DJ。名曲を連発。それだけでなく自身も大いに暴れ回り、やっぱりDJって肉体芸なんだろと言わんばかり。『BE MY BABY』や『新宝島』で踊らせる。それでいて「リンダリンダ」でドブネズミを永遠ループでフロアを焦らし芸。あそこまで会場が みたいに を求めまくった。TOMMYさんはCDのケースから取り出してからかけるのだが、一枚のCDを取り出すとジャケットを見た盛夏火の金内さんがウオオオと興奮した。勿論私も滅茶苦茶見たジャケットで、なるほどあの曲か。そしてかかる「天体観測」でフロア全員で見えないものを見ようとした。
でも流石に疲れたので、途中で離脱し出演者控室で死んだように座っていた。最初でもう体力使い果たしたのに新宝島とかかけられ体力の限界を突破したため立つ気力もない。
水を飲んでラストまでずっと休憩しようと休んでいた
その時、
すごい聞き覚えのあるイントロが
まさか
これは
もしや
スリルだー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
数時間前に同じ会場でスリル布袋の物まねをした人間として、これはもう踊るしかないじゃん。休憩室を飛び出し踊りに行った。ステージに立ってスリルの物まねをかました。楽しかった。
ラストはTOMMYの大好きな曲として『オドループ』。この曲は好きでも嫌いでもない曲だったが今日初めてこの曲を好きになれた。
4ngel kidz
姉妹DJユニット。この時は完全にスポーツドリンク飲みながらフロアを眺めることしかできず踊りに行けなかった。これ以上踊ったら死んじゃう。
でも、冷静に眺めて感心したのは、あれだけ熱狂してフロアというより戦場だった空間をディスコへ戻していく。しかし、勢いを失わせることなく、夜に踊るに相応しいノリノリのビートをひたすら送り込む。見事な空間把握能力。それでいて姉妹だからこその抜群のコンビネーションで聞きごたえのあるDJ。
zzzpeaker
大トリはアコギライブ。
ステージではなく出入り口に立つ。電気を消すと出入り口に電球一つ。この灯り一つだけの世界、クセある歌声でどこか別の場所へ飛ばされそう。彼の歌声は、繊細だが強固な個性を持っている。それでいてリズムはとても細やかだ。zzzpeakerはシルエットになり、立っている出口の向こうは何処なのだろう。
音楽ライブでここまで、演出の醍醐味を味わえるとは思わなかった。どのような場所でどのような照明で演奏するか。このアイデア一つでzzzpeakerというアーティストの持つ世界観がより立体的に、深く現れる。この瞬間、蒲田温泉は彼の世界の中にいる。チルい
という2日間。