![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125293507/rectangle_large_type_2_838b85dcc7a11ea27efa823768f02115.jpeg?width=1200)
7度『胎内』
演出/伊藤全記 、 作/三好十郎
舞台は戦後の日本。戦時中に作戦で掘った横穴を訪れる男。そこに男女が駆け込んでくる。彼らは逮捕を恐れて逃げてきたのだが、突如地震によって三人は横穴に閉じ込められる。
古典や近現代の作品を大胆な編集とをイマジネーションで見たことない形へ作り上げる劇団。
今回は、利賀演劇人コンクールで優秀賞演出家賞・優秀演劇人賞を受賞した代表作の上演。三好十郎が1949年に発表した戯曲は、戦後に横穴で生き埋めになった男女を描いているが、
それを現代のワンルームを穴に見立て、一人芝居として再構成。
大きくテキストを変えてるわけではないのに、その言葉一つ一つが現代的な男女の愛憎劇のテキストとして成立している。横穴が見事にワンルームマンションへと変化。違和感がないどころか、横穴の閉塞感を現代社会という大きな横穴に閉じ込められた人々としてうまく接続されている。
しかし物語の閉塞感に反し、演出は自由なイマジネーションで空間も姿も次々移り変わる。ワンルームに置いてある小道具をうまく使う。特に、開場中の時点で目立ってるハンドパペット。え、三好十郎どうに使うの?という疑問。まぁ普通に会話のシーンで使ったのだがここの勢いとハンドパペットによる一人二役の噛み合わせでちょっとナンセンスの味で使い切る。
そして、もう一つ特筆すべきことは山口真由の見事な演技。
前説では朗らかに観劇前の体操をレクチャー。アーティスティックな前評判に反してフレンドリー。しかしいざ本編に入ると、追い詰められた男女の物騒さや絶望で堕ちていく感じを迫力ある演技で。しかし、あのハンドパペットの場面では愉快。服を着替え続け幾つも姿を変えていき、そしてラストの佇まい。 佇んでいるだけで恐ろしい。
ここに見事な照明の力も加わり、絶望のラスト。
頑張って文章にしてみたが、真の面白ポイントは言語化しにくい所であり
これこそまさに空間芸術だね。