【小劇場演劇入門に最適!】今年の夏はショーケースが熱い!
演劇業界は盛り上がっていない。それはそうだ、劇団一つ一つのお客様は多くてもそのお客様が他の劇団を見なければ業界の盛り上がりに繋がらない。でもそれは難しいよと。演劇は見てみなければ面白いかどうか分からない殿様商売。名前だけで信用して数千円と約2時間を捧げなければいけないジャケ買いの化身みたいなジャンルだ。そりゃ知り合いの芝居やファンの劇団だけ見るようになるし、演劇を見たことない人はどれを見ていいか分からないから結局見ないのよ。
じゃあ、どうするか。ショーケースだよ。私は前々から演劇界にはフジロック的夏フェスが必要だと語っていたが今のご時世難しいのでショーケースにスケールダウンしました。ようは、一回金を払えばたくさんの劇団を一気見できる。それによってお目当て以外の劇団を見て新しい発見だったり、見た方がいい劇団を一気見してなるほど小劇場はこんな感じかと入門編になって、どんどん盛り上げる。
でもね、演劇界では少ないんだよね。(ダンスはショーケース多いのにね)
ところが今年、夏の東京では注目のショーケース企画が多数行われる。今こそ演劇ファンや演劇に興味あるけど何見ればいいかわからん人は行くのだ。(コロナには気を付けないといけないって言うのは忘れないでね。演劇より命が大事だし。)
1 芸劇eyes番外編 vol.3 『もしもし、こちら弱いい派 ─かそけき声を聴くために─』
(会場:東京芸術劇場) 7月22日~7月25日
次世代の劇団を紹介する芸劇eyesよりも更に若い劇団を紹介する番外編シリーズ8年ぶりの復活。ここでは、弱さを肯定する演劇を実践する3劇団をピックをアップする。
シアターグリーン学生芸術祭で優秀賞を獲得した【いいへんじ】、北海道戯曲賞を受賞した【ウンゲツィーファ】、OMS戯曲賞大賞受賞した【コトリ会議】と充実のラインナップである。
注目はウンゲツィーファ。出演者が池田亮(ゆうめい)、金内健樹(盛夏火)、金子鈴幸(コンプソンズ)、黒澤多生(青年団)、中澤陽(スペースノットブランク)、本橋龍(ウンゲツィーファの主宰)そして音楽は額田大志(ヌトミック)。
初期から出演している常連の黒澤を除くと、メンバー全員が劇団の主宰・演出家でありそして皆演劇ファンに熱い注目を浴びている人気者ばかりである。このメンツだけ覚えてればあなた演劇通だねぇと感心されるようなメンバーである。誰が言ったか小劇場アベンジャーズ。
一回でいいへんじとコトリ会議とアベンジャーズが見れるんだから安い。
2 名前のない演劇祭7
(会場:新生館シアター) 8月11日~18日
名前はない劇団が主宰し行っている演劇祭名前のない演劇祭。今回で7回目である。まだ旗揚げ3年目の若手ながら7回も演劇祭を行うバイタリティだが、今回は何んと一般公募で集まった20団体を上演する。上演1回ごとにチケットを払わないといけないが1回につき2団体見れる。これもまぁショーケースって言っていいんじゃない?
一般公募の演劇フェスというのは過去にも例があるがこういう若手劇団が行う規模としては最大級じゃなかろうか(知らんけど)。
さて、一般公募は未知の劇団を知れる一方で玉石混交になるリスクもある。実際今回で旗揚げの【演劇ユニットラナンキュラス】だったり今年旗揚げの【好きでもないのにキスはできない】や【天神幕劇】(岡山の劇団!)だったりと未知数が出演する。
今回意欲的なのはこの未知とクオリティの安定を両立する企画がある。それが『名前のない役者たち』。
これは一般公募で集まった役者を二人一組に分け同じ演出家の下で公演をする。この演出家は主催者が選出するため、一定のクオリティは担保されているのである。それでいて未知の役者たちが集まっているのでワクワクはある。
今回は【Willow's】の木川流氏が演出を務める。木川氏はシェイクスピアプロジェクト出身で、シェイクスピア作品を多数上演している。東京学生演劇祭ではインプロ風の現代口語演劇で『ジュリアス・シーザー』を描いた気鋭。今回は『ロミオとジュリエット』を未知の俳優たちとともに作る。
(尚、参加者の河浦あやみはウチの劇団の関係者だからよろしくね、とダイレクトマーケティングしときます)
3 池袋ポップアップ劇場
(会場:ミクサライブ東京Hall Mixa)11月24日まで毎週水曜日開催
演劇配信サービスの観劇三昧とミクサライブ東京との共同開催となる期間限定イベントは毎週水曜日に厳選された4劇団が短編を行うショーケース。
記念すべき第1回は【たすいち】【なかないで、毒きのこちゃん】【日本のラジオ】【柿喰う客】、第2回が【第27班】【たすいち】【COROBUCHICA】【柿喰う客】というラインナップ。そして、まだまだラインナップは増えていき豪華なメンツばかりである。
毎週、名前は知っているが見たことない劇団を一気に見れるのだ。
正直柿喰う客は今や東京小劇場のトップで主宰の中屋敷法仁は『ハイキュー!!』や『文豪ストレイドッグス』等の2.5次元演劇で商業にも進出している売れっ子である。それに加えて毒きのこちゃんや日本のラジオがいるんだから恐ろしい企画だよ。
配信だけでも見れるし、直接観に行けば配信のアーカイブもついてくると流石配信サービス主催企画だなと。
そんなにお金のない演劇界において中々バブリーな企画は企業努力!
4 テアトロコントVol.52
(会場:ユーロライブ)8月27~28日
レギュラーのショーケースが少ない中で気を吐いているのがテアトロコントの月例企画である。毎回、劇団とお笑い芸人を合計4組(現在はコロナの影響で3組)が上演を行うイベントである。コントは既存の概念を破壊する短い演劇であるというのを旗印に演劇である、芸人であるという境界線を破壊するイベントである。
地蔵中毒やテニスコートのようなコメディ劇団が参加する一方で関田育子やウンゲツィーファのようなコントのイメージが全くない劇団が参加しており、演劇の実験場としてのコントを実践しているイベントである。
このイベントの特色は毎回批評が掲載されており、主催者に忖度しない時には酷評も飛び出るような内容であり今の若手がこういう批評を受ける貴重な機会である。
52回目となった8月のテアトロコントは京都の劇団【努力クラブ】が再び参加する。今年で結成10年目の節目だ。その他はまだ未定。
5 東京若手演劇祭2021
(会場:王子小劇場)9月2~5日
夏も終わる9月の頭に始まるのがこの演劇祭。毎年東京学生演劇祭として行われていたがコロナ化における若手劇団応援のためU-25の劇団も募集し若手演劇祭として行う。
ここも1回で2団体を見れる形式である。
一般公募における玉成混交封じとしてはやはり全団体優勝を目指しているところがあるだろう。過去にはここで旗揚げしたシラカンがあっという間に人気劇団に登り詰めたり、昨年参加した複合創作ユニットwakkaが佐藤佐吉演劇祭に選出されるなど新時代のスターが飛びでる。
今回は多数のショーケースに参加している【街の星座】以外は未知の劇団ばかりである。なんと10団体中6団体が旗揚げ公演というフレッシュさ。劇団名だけでどんなことをやるか想像するしかないが【年下の義母】って何よ。まぁそんなこんなで皆で未来の東京演劇界を背負う新世代を見よう。
という5企画。不定期企画、突然の新企画、定期公演、毎年の恒例。
これらが3か月の間に集中する。見れば一気に最新演劇シーンが知れるし見れなくてもここら辺の名前覚えれば最近の劇団知らないと言わなくても済む。
もっと雨後の筍のようににょきにょきショーケースをやろうよ皆。