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演劇感想(~2023)

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#小劇場

TeXi’s『夢のナカのもくもく』 の感想

TeXi’s『夢のナカのもくもく』 の感想

作・演出/テヅカアヤノ
12/26〜31 (会場:北千住 BUoY 2F)

とある学校で、盲目の少女に惹かれる。応援するのは彼女が推しだから。
同じ学校の二組も友達の関係で軋轢を抱えていて。
と、同時に『春琴抄』の物語が重ねられていく。

せんがわ劇場演劇コンクールで上演した短編を長編化。元々はそういう説明だったが全くの別物。3姉妹の話は学園を舞台にした物語となっており、モチーフは共通するものの

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ダダルズ『袋破裂』 の感想

ダダルズ『袋破裂』 の感想

作・演出/大石恵美(会場:SCOOL)

辛い日常の中、良かった日々を飴玉にしている大石恵美。しかし舐めていると口から出血をする。
小学生時代、彼女はここが漫画の世界と気づいてしまう。その優越感に浸りながら日々を過ごすが。

とんでもない面白さ。 大石恵美という袋が破裂するまでの物語を全身火だるまになって演じる。タックルされるようなエネルギー。 彼女の脳内をそのまま見せつけられる特異な言語感覚。

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太郎物語『太郎物語の準備体操』

太郎物語『太郎物語の準備体操』

太郎物語(杏優、果音)
脚本:杏優

東京音頭という会社による人生のコンセプトをめぐるバスツアー。
キャバ嬢を夢見る少女と女性サンタクロースの交流。
こたつで駄弁る太郎物語の雑談。
三つのパートによって緩やかに人生が浮かび上がる

女優二人による演劇ユニット。
先月観劇した佐藤瑛子を調べてる時に親交のある団体として知り、宣伝美術が非常に素晴らしかったので見に行った。
この団体が行なっている準備体

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オルギア視聴覚室vol.6 の感想

オルギア視聴覚室vol.6 の感想

11/18~19(会場:蒲田温泉)

2016年に始まったオルギア視聴覚室は、女優のhocotenが主宰となり無名の劇団や芸人を呼んだ闇鍋演劇祭だった。しかし、この無名劇団たちが新時代の劇団として注目を浴びはじめ演劇業界に新たな潮流を生み出し今や彼らは人気劇団。
また、当時ポピンジという名前で出演していた春とヒコーキがメディアの人気者になるなどお笑い芸からもスターが登場。
第4回以降は演劇以外のジ

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宇宙論☆講座 『発狂!鏡球地獄 ほか6編』の感想

宇宙論☆講座 『発狂!鏡球地獄 ほか6編』の感想

作・演出/ 五十部祐明(会場:現代座ホール)

グダグダミュージカルで一部から熱狂的な評価を得る音楽劇団。今回は江戸川乱歩アレンジの表題作含めた短編集。

どんなグダグダがくるかと期待をしていると、

冒頭は、新成亜子演じるくたびれたシングルマザーから始まる。息子と娘とは関係が冷え切っている。いつ歌い出すかと思いきや、宇宙論らしいギャグもなくギスギスした展開。しかし、実は頑張る母親に温泉旅行をあげ

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令和座 『SEVEN』 の感想

令和座 『SEVEN』 の感想

作・演出/浅間伸一郎
倦怠期のカップル。そこに、女の親戚を名乗る男が現れる。男はとあることを伝えに来たそうだが。

たっぷり間を使う独自の劇団。今年上演した、長編・短編がどちらも傑作だった。2023年最後の作品は、同じあらすじで異なる展開の二つの演劇。

 (ASTRAY version)
(BETRAY version)

と名付けられた物語は、それぞれ独立しているが一つのあらすじでも如何様にも

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7度『胎内』

7度『胎内』

演出/伊藤全記 、 作/三好十郎

舞台は戦後の日本。戦時中に作戦で掘った横穴を訪れる男。そこに男女が駆け込んでくる。彼らは逮捕を恐れて逃げてきたのだが、突如地震によって三人は横穴に閉じ込められる。

古典や近現代の作品を大胆な編集とをイマジネーションで見たことない形へ作り上げる劇団。
今回は、利賀演劇人コンクールで優秀賞演出家賞・優秀演劇人賞を受賞した代表作の上演。三好十郎が1949年に発表した

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公社が一月に見たい演劇

公社が一月に見たい演劇

梅田哲也『wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ』
12/1〜1/16(第1期)1/16〜1/28(第2期)(会場:ワタリウム美術館)
ツアー形式のパフォーマンスを行う芸術家。彼の新作個展は、私設美術館として始まったワタリウムの歴史にスポットライトを当て、美術館そのものをを主人公にしたツアー形式のパフォーマンス。1期2期で内容が変わるというが、異色の

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PSYCHOSIS 「HOKUSAI and the Dr.Caligari」 の感想

PSYCHOSIS 「HOKUSAI and the Dr.Caligari」 の感想

作/高取英 演出/森永理科 (会場:BUoY)
11/1~5

ナチスドイツは、ドイツを代表する映画監督フリッツ・ラングの代表作『メトロポリス』に登場するロボットを実際に作る計画を立て、カリガリ博士に依頼する。そのフリッツ・ラングは北斎の春画を映画化しようと計画する。ナチスドイツが暗躍する時代よりはるか昔、娘のお栄と共に暮らす葛飾北斎は呑気に風呂に入っていた。

月蝕歌劇団の流れを汲む団体が、高取

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オルギア視聴覚室vol.5(2019年) の感想

オルギア視聴覚室vol.5(2019年) の感想

現代東京小劇場業界、最重要イベントの感想をTwitterよりサルベージ。
2018年のvol.4を前編、2019年のvol.5を後編としてお送りする。の、後編。
cinra主催のロックフェスのサブカル版、NEWTOWN内のイベントとして開催。10月19日、20日の2日間に渡り開催。下は、CINRAによるNEWTOWN全体の記録映像。オルギアからは劇団ジェット花子、天ぷら銀河の映像が使われている。

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オルギア視聴覚室Vol.4(2018年) の感想

オルギア視聴覚室Vol.4(2018年) の感想

 オルギア視聴覚室をご存じだろうか。女優のhocotenにより、やばい劇団・芸人・パフォーマーetc.etcを集めた闇鍋演劇祭。
 2016年に始まったこのイベントは、まだ無名だったアンダーグラウンドシーンの劇団が多数出演。今では彼らは現在の演劇業界を代表する人気者となっている。現代演劇業界で重要なイベントだけどコロナ以降休止で、話題にするのも私くらいしかいなくなったので、noteにあげていなかっ

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ハカランダの犬『暴力(仮)』 の感想

ハカランダの犬『暴力(仮)』 の感想

構成/森田諒一、ドラマトゥルク/大塩誠(会場:おんがくのじかん)
レストランでのライブ。演奏と友人達との食卓が交互に描かれる。が、そこに暴力を語る謎の存在が現れて。

おお、やったぞ変な演劇だ。
食事とライブと暴力論が断片化されランダムに配置されている。
楽しい食事風景や絵しりとりなど男女四人が戯れる。カップルになる前の男女の友人二組のような姿が描かれる、カレーがぬるいと文句を言ったりハンバーグを

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ザジ・ズー『ZAZI・ZOO JAPAN TOURE 2023 FINAL 』 の感想

ザジ・ズー『ZAZI・ZOO JAPAN TOURE 2023 FINAL 』 の感想

作・演出/アガリクスティ・パイソン(会場:BUoY)
フットボールの試合と同時刻に起きた悲劇、謎の連続殺人、文豪へのラブロマンス、古典アレンジ珍道中。オムニバスで描かれるカオス。

ザジ・ズーは過去にショーケース劇的で短編二本見た。作品ごとに主導するメンバーが変わる集団創作なのでテイストが違った。じゃあ、本公演はどうかというと、意外と真っ当に演劇やっている。
 今回はメンバーの故郷を巡りその地で新

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即席麺企画『メシア』 の感想

即席麺企画『メシア』 の感想

脚本・演出/山口夏寧(会場:明治大学猿楽町第2校舎1階アートスタジオ)

猟奇殺人で死刑の男。彼の支持者と批判者はドキュメンタリー監督に呼ばれる。男を取材している内に見えた男の正体とは。

過激な内容で血糊も使うので苦手な人は気をつけてください。Rー15指定、という注意書きに興味惹かれて見に行った。
 確かに、後半の男に監禁されている空間の血生臭さは良い。不快な音が響きカニバリズムが充満する。パン

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