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KRYラジオ「大人の音楽堂」:ボズ・スキャッグス(2022.10.8 OA)

1970年代始めから中頃まではブルースをベースにしたハードロックが主流で、そこにプログレ、グラム、サザンロックにウエストコーストのアコースティックなサウンド…などが人気でしたが、1976年頃からにわかに「なんかおしゃれな…」サウンドがラジオから頻繁に流れてくるようになります。スティーリー・ダン辺りが流行るのです。「なんかテクニック的にもすごい…」そんな感じです。AOR、アダルトオリエンテッドロックです。AORはどちらかといえば大人向け、初期はやはりブルース的なアプローチが多かったのですが、そこへあの名盤「シルク・ディグリーズ」が登場。ソウルやジャズの要素が加わった洗練されたサウンドは新しいロックファンを獲得。ボズ・スキャッグスの満塁ホームランです。

1976年3月リリースの「シルク・ディグリーズ」、50年くらい経った今でも売れている定番中の定番と言われる「名盤」です。「What Can I Say」「Lowdown」「Lido Shuffle」「We're All Alone」等名曲がずらり収録されています。ハーバー沿いに置かれたベンチに座るボズ・スキャッグスと女性の手の先が移るカバーデザインも何か都会的でインパクトを与えました。このアルバムに大きく貢献するミュージシャンに、後にTOTOを結成する「デヴィッド・ぺイチ」「ジェフ・ポーカロ」「デヴィッド・ハンゲイト」が話題になります。スタジオミュージシャンという言葉もこの頃からよく聞くようになります。次作「ダウン・トゥー・ゼン・レフト」からは「スティーブ・ルカサー」「ジェイ・グレイドン」が参加。そして1980年のアルバム「ミドル・マン」あたりで完全なトップミュージシャンとして人気を博します。

当時ロックシーンはハードロックやプログレッシブロックが衰退。ニューウエイブやパンク、ディスコ・サウンドが人気になった頃でしたが、新たにAORというジャンルも多くのファンを作りましたね。「カッコイイ」「おしゃれ」「上手い…」そんな感じでしょう。イーグルスやドゥービー・ブラザーズとは違ったベイエリアの風です。音楽シーンも充実してきます。ボズ・スキャッグスのギターテクも凄いのですが、彼のなんともいえない歌声も大きな魅力です。幅広いソングライティングとミュージシャンの特性を引き出す編曲もとてもかっこいいです。スティーリー・ダンと共に「センスのよい」ロックとでも言いましょうか、感動的なのであります。お薦めです。

次回はこの流れで個人的によく聴いている「マイケル・フランクス」さんをセレクト。秋の夜にしっとりと楽しんでいただければと思います。お楽しみに。

今回オンエア
LOWDOWN
LID SHUFFLE
JOJO
BREAKDOWN DEAD AHEAD
WE’RE ALL ALONE
HARD TIMES


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