答えはいらない。
「しんでもいいですか」
数ヶ月前、自分で匿名のSNSに投稿した文章だった。
そのひとつ以外にも似たような内容のものがあったけれど、
なぜかその九文字が目に止まった。
命を絶ちたいという願いの言葉であるが、
何故か他社に許可を得るような疑問文だ。
「だめだよ」
と言ってほしいのか。
「どうぞ」
と背中を押してほしいのか。
どちらにしたって、自分の命を他人に選択させようとしているのだ。
身勝手でありながら、切実な言葉は身近な人には届かず、
けれど、しかし、自分の中では留めておけないその哀しみ。
敬語であることから何処か事務的で、
ひらがなであることから疲れや空虚感。
誰に許可を求めたのだろう、
誰に返答を求めたのだろう、
実際に音に出してみたそれは
刺さる音から止まって戻って広がった。
誰にも聞こえない。
誰にも言えない。
しんでもいいですか
しんでもいいですか