心理学検定キーワード第4章【社会・感情・性格】4.4(対人認知)★★
第一印象の重要さ
その反応は一瞬。
人が人、人がモノに対して何かを判断するのは
直感や固定概念を方法として頼る傾向があります。
そして、初めて見るものに対しての
一番最初の印象が第一印象で
瞬時にその人、モノを判断することです。
それ以上の時間を見ても判断は変わりません。
そして、特に悪い印象はめったにその後は変わらず。
一方で、良い印象はちょっとしたことで悪く変わってしまいます。
第一印象はコミュニケーションの上で非常に重要な役割を果たします。
顔を見ただけで、その人がどのように思っているのか
例えば、イライラしている→あまり関わらない方がいいな
にこにこしている→この人は話しかけやすそうだな
とか、それで判断できるからです。
ここでは顔について話しましたが
外見やボディランゲージなどでも判断できますね。
外見でいうと
・髭面、長髪、服が汚い→印象は悪い
・肌奇麗、短髪、スポーツマンっぽい、スーツが似合っている→印象は良い
ボディランゲージ(所作など)
・ものを丁寧に扱う人→印象がいい
・ものを乱暴に扱う人→印象が悪い
などですね。
本日は対人認知という事で
人に対して自分をどのように理解してもらうか
印象形成についてまとめていきたいとおもいます。
→印象形成と順序効果について
対人認知の一種で
限定的、断片的、間接的な情報から他者の特徴を推測する事を
印象形成といいます。
ポイントは、間接的で限られた情報から判断するという事です。
アッシュ(Asch,S.E.)という人が提唱したこの考え方は
「印象は個々の特性を積み上げて形成されるのではなく、取得した情報全体から特に重要な部分に着目し、それをもとに印象を形成する」と結論付けたものです。
一つ一つの積み上げではなく、全体の印象の中の一部分に注目するという点がポイントです。
そして、情報の順番によって印象が変わる(順序効果)こともわかっています。
まずは初頭効果
これは、一般的に最初に呈示される情報がその後に続く情報に方向付けして、大きな影響を与える効果です。
実験の例では
・グループ1に「知的な、勤勉な、衝動的な、批判的な、嫉妬深い」
・グループ2に「嫉妬深い、批判的な、衝動的な、勤勉な、知的な」
というように嫉妬深いというネガティブな情報を最後に持ってきた場合と、最初に持ってきた場合にどのように印象が変わるのかという実験が行われました。
その結果は
グループ1は、「欠点はあるけど、能力のある人」というポジティブな印象を持ち、グループ2は「能力はあるけど、欠点のせいで能力が発揮できない人」
という印象を持った人が多いという事になりました。
最初にネガティブな情報を持ってきたグループ2は初頭効果で、印象がわるくなってしまいました。
もう一つが親近効果です
これは認知の仕方が単純な人はむしろ後(最新)に示された情報に強く影響されるという効果です。
以前の情報を保持しがたい為、新しい情報に印象が向くからと考えられています。
→パーソナリティの判断と認知の正確さ
他人のパーソナリティを判断する基準として
・社会的な活動性
・信頼性
・魅力性
という基本次元があります。
また、認知の正確性については個人差があるといわれていて
ダイモンド(Dymond.R.F.)によると
・共感性の高い人→自発性高い、他人に関心がある、外交的で他人との感情関係が柔軟なため、認知が正確
・権威主義的傾向を持つ人→権威に左右されやすい、型にはまったカテゴリー的な見方をするので、認知が不正確
・情緒安定性や認知的複雑性などが正確性に影響する
・性差については何ともいえないということ
などを挙げています。
一般的には親交があって、パーソナリティが類似している者同士の認知は正確だといわれています。
良く似た考え方や性格が近いと分かり合える、あの感じですw
ただし、注意しなければならないのが
自分が好意を抱く人に対しては一定の心理的距離が喪失され
実際よりも相手を自分と類似した特徴を持つように思いこむ傾向があります。
これを仮定された類似性といいます。
この他に認知の歪みとして
・光背(ハロー)効果:ある側面で善し悪しの印象を受けると、他の面までその印象を適用してしまう現象。
・論理的錯誤:ある特徴について、それと論理的に関係のある特徴をも持っているとみなす傾向
・基本的帰属の錯誤:他者の行動に対する帰属の際に、行為者の態度などの内的容認を過大視する傾向
・行為者‐観察者バイアス:好ましくない他人の行為は本人の内的要因に、自己の行為は環境に帰属するという傾向
・コントロール幻想:偶然を自分の意図と能力によって統制可能と勘違いすること
特にハロー効果が有名ですのでしっかりこれは覚えておくことです。
→対人認知に関するその他の理論
人物の特徴に仮定して持っている素朴な信念体系の事を
暗黙のパーソナリティ観(IPT)といいます。
ブルーナーが提唱したもので
自分自身の経験に基づく信念のため、簡単には変わらないといいわれています。
近い考え方で
特定の集団成員に共有される、過度に単純化して固定的な概念やイメージである
ステレオタイプというものがあります。
こちらも、好意や善悪の感情を伴い、なかなか変わることがありません。
→本日の内容‐箇条書きまとめ
・印象形成はアッシュが提唱
・順序効果として初頭効果(最初の情報)と、親近効果(後の情報)
・認知の正確さについて個人差があると考えたのがダイモンド
・共感性が高い人は認知が正確である
・権威主義的傾向を持つ人は認知が不正確である
・パーソナリティが類似していると認知は正確になる
・自分が好意を抱く相手には仮定された類似性をもつ傾向にある
・人物特徴に対する素朴な信念を暗黙のパーソナリティ観(IPT)という
以上、本日は対人認知についてでした。
次回は帰属の過程になります。
4章もコツコツと毎日積み重ねていきましょう!!
それではまた次回!