心理学検定キーワード第6章【神経・生理】6.14(感情の機能)★★★
本日は★×3の超重要項目
本日は感情の機能という事で
3つの説が出てきます。
これは確実に抑えないといけない項目です。
また、それ以外では脳の回路についてと
近年の感情制御の仮説が出てきますので順に抑えていきましょう。
それでは本編へ
→悲しいから泣くのではない、泣くから悲しいのだ
感情には身体的反応である「感情の表出」と
意識に上る「感情の経験」という側面があります。
例でいうと
涙が出る→感情の表出
悲しい→感情の経験
という事になります。
ここからは感情の機能について3つの有名な説の紹介になります。
19世紀末に、身体的反応が主観的感情(感情の経験)に先行する
というジェームス=ランゲ説が提唱されました。
これは抹消説ともいいます。
これがタイトルにもある「涙が出る→悲しい」という時系列順序を支持する説です。
それに対して
1930年頃に身体反応が無くても感情が生起するという
キャノン=バード説が提案されました。
これはジェームスランゲの抹消説に対抗する説で
中枢説と呼ばれます。
「かなしい→涙が出る」という時系列順序です
その後、身体的反応とその反応が生じた文脈に対する認知が主観的感情を生じさせるという
シャクター=シンガー説が登場します。
これは情動の2要因説とも呼ばれます。
→パペッツの回路とマクリー
米国の神経細胞学者であるパペッツは
ブローカによって辺縁葉として解剖学的に分類された脳領域を参考にして
帯状回と強い神経連絡を持つ海馬、そして脳弓と呼ばれる太い繊維で海馬とつながる乳頭体、さらに乳頭体からの投射を受ける視床前核をまとめた一つの循環回路が感情の制御に関わっている
と考えました。
これがパペッツの回路と呼ばれるもので、現在は否定されています。
マクリーンはパペッツの回路に
偏桃体、視床下部、中隔を加えた大脳辺縁系という概念を提唱しました。
そして、それが感情の制御に関わっていると説明しています。
特に偏桃体の役割が感情の制御に対して大きく
この部位を含む
両側側頭葉除去
をアカゲザルで試みたところ
・恐怖反応や攻撃性が劇的に低下すること
・目新しいものをすぐ口に入れること
・相手がサルでなくてもマウントしたりするといった性行動の亢進がみられる
といった症状をクリューバーとビューシーが報告しました
これをクリューバー=ビューシー症候群と呼ばれています。
→ソマティックマーカー仮説
近年では、感情制御に関する前頭葉腹内側部の役割について
ソマティックマーカー仮説が提唱されています。
この仮説は神経学者ダマシオが主張する説で
感情喚起(しゅき)に伴う身体反応(ドキドキ)が前頭葉の腹内側部に影響を与えて
感情の価値づけ(よい・わるい)をおこない、その後の意思決定を効率的にするという説明です。
ソマティックマーカー仮説については
フィアネス・ゲージの事故による感情の価値づけ機能の破綻が有名です。
以上、本日は感情の機能についてでした
次回は学習・記憶の神経機構についてです。
それではまた次回