心理学検定キーワード第2章【学習・認知・知覚】2.12(再生と再認の規定要因)★★
突然お会いしたあの人の名前が全く思い出せないとき
どうも、クローンです
私は人の名前を覚えるのは比較的早い方なのですが
一方で、思い出すことができず、誰やったかなー・・
ってことが非常に多いです。
はじめましての方と別のシチュエーションで2回目にたまたま会った時とかは結構な割合で誰やったっけってなりますw
おそらく脳の中にはストックとして名前は保存されてるはずなのですがw
はい、本日のテーマは
再生と再認の規定要因ということで
やっていきたいと思います。
それでは、まとめの方はじめていくぅー
→まずは再生と再認の復習からやっていきます。
2.8「自由再生の基本現象」にて
再生と再認の説明は軽くしているのですが、復習もかねてもう一度。
再生→経験や覚えたことをそのまま思い出すこと
再認→問われたものが経験したこと、覚えた物であるかどうかを確認をすること
を言います。
例としては
「昨日の夜ごはん何食べた?」と聞くのが再生
「昨日の夜ごはん味噌汁食べた?」と聞くのが再認です。
「空欄の英単語テスト」が再生
「選択肢の中から適切な英単語を選ぶテスト」が再認です。
どっちのほうが簡単かはわかりますね?
再認の方が当然簡単です。
再認はヒントがあるので再生よりも簡単なのです。
しかし、こんなことが起こることがあります。
再生ができるのに、再認ができないという現象です。
これを
再認失敗といいます。
タルヴィング(Tulving,E.)とトムソン(Thomson,D.M.)
が報告しました。
難しいことができるのに、簡単な方はできない。
この原因は一体何なのでしょうか?
結論から言うと
「情報を覚える際の符号化文脈と、情報を想起する際の検索文脈」が違うからということになります。
要は、覚える時と思い出す時の状況や環境が異なる場合に
再生よりも、再認の方が失敗しやすくなるということです。
簡単な実験例で確認してみましょう。
3段階の実験を行います。(言葉の内容は私がオリジナルで考えました)
1段階目:ターゲット語「赤毛サル」「テナガザル」「テングザル」「キンシコウ」、手がかり語「バナナ」として4匹のサルを覚えてもらう
2段階目:ターゲットのみ提示(上記4匹以外にもサルの名前を沢山提示したとして) それがあったかなかったかの確認を行う。
例えば、「赤毛サル」→あった。「テナガザル」→なかったとか。
3段階目:手がかり語「バナナ」を提示してターゲットを再生するように求める。
その結果(%はキーワード集のものを使用)
ターゲットの再認率24%よりも再生率の方が64%と再生率の方が高いということになりました。
このように再認失敗が生じるのは
覚える時は手がかり語があったのに、再認時には手がかり語が表示されないことが原因であると分かりました。
つまり、記憶は覚える際の状況(符号化)と思い出す時の状況(検索)の一致の程度によって規定されるということです。
一致の程度というのが非常に重要ですね。
そしてこれを符号化特定性原理と呼びます。
再生と再認を規定する原理ですね。
→処理水準という考え方について
処理水準というのは
クレイク(Craik,F.I.K)とロックハート(Lockhart,R.S.)が提唱した概念です。
情報に対する処理の深さが記憶の成績を規定するという考え方で
浅い水準を形態的処理
中間水準を音韻的処理(現在は浅い水準として分類)
深い水準を意味的処理
の3つにわけました。
現在では
意味的処理以外の処理を浅い処理として理解されています。
→処理水準から精緻化という概念へ
クレイク(Craik,F.I.K)とタルヴィング(Tulving,E.)は
適合性効果という現象から精緻化という概念を提唱しました。
クレイクとタルヴィングは
処理水準の方向付け質問という実験で
各処理水準(形態→音韻→意味)で
単語に関する質問を行いました。
例(キーワード集より)
形態:この単語は大文字で書かれていますか?
「はい」TABLE 「いいえ」table
音韻、意味でも質問してから
再生と再認のテストを行ったところ
「はい」と判断した語が、「いいえ」と判断した語よりも
再生と再認の成績が良かったという結果が出ました。
この現象が適合性効果と呼ばれています。
単純に処理水準だけでは説明できない成績の結果になったので
精緻化という考え方を提唱するようになりました。
上記の実験で
「はい」と答えた場合にTABLEという言葉が認知構造に統合されて多くの情報が付加されると考えられており
「いいえ」の場合は統合されないので付加される情報が少なくなる。
肯定と否定で脳に対しての認知の差が生まれているのではないかとイメージしています。
精緻化は記銘語に情報を付加することであり
付加される情報の量と質によって精緻化の有効性が変わってくるということです。
→本日の内容‐箇条書きまとめ
・再認失敗はタルヴィングとトムソンが報告した
・符号化特定性原理は符号化と検索が一致すればするほど記憶の成績が良くなるという原理である。
・符号化特定性原理もタルヴィングとトムソン
・処理水準はクレイクとロックハートが提唱
・処理水準は形態的処理、音韻的処理、意味的処理の3つある
・クレイクとタルヴィングが精緻化という概念を提唱した
・精緻化という概念を生み出すきっかけになったのが適合性効果である
・精緻化とは記銘語に情報を付加すること
以上。本日は再生と再認についての規定要因でした。
明日も記憶の分野が続きます。
ネットワークのモデルを紹介します。
それでは、また次回!