【掲載記事】広報みなみそうま 市民記者コラム (2020年8月号、9月号、11月号)
120号線を走りながら
小高から原町に向かって120号線を車で走る。土砂降りの雨上がり、夕暮れ時。家にいたら、そろそろカーテンをしめようかなという時間帯。雨に濡れた木々たちは、水の重さで少し項垂れているようだった。
太陽は沈みながら、たしかに赤橙色で天から地を照らしているのに、車で走るその道は淡い紅色に染まっていた。ため池にキラキラと反射する光がまぶしい。これ、マジックアワーってやつなんだろうか。夢みたいな空気の中を車で走り抜けて原町の街中に出ると、建物や車が目に入って生活を感じた。
南相馬の好きなところを聞かれたら、120号線からみる、夕暮れと夜のはざまの時間を私は推したい。生活の中に夢の時間があって…、なんて伝えてみたい。
(広報みなみそうま 2020年8月号掲載)
思い出の場所
ある日、仕事の帰り道。ふらりと立ち寄った海にて、浜辺で制服姿の高校生3人組はしゃいでいるのを見ながら「彼女たちにとって、この海は思い出の場所になるのかな」と思った。何度もセルフィーを繰り返す姿は青春ど真ん中という感じで、キラキラしてみえた。
私にとって、青春時代の思い出の場所といえば地下鉄だ。駅の名前をみると懐かしい気持ちになる。少し大人ぶって1人で通学路の路線で途中下車し、見たことある名前のチェーン店で勉強をした。
育つ場所によって、青春の思い出の風景は異なる。当たり前のようなことだけど、改めてそう感じたのは、私が育った場所から離れたからかもしれない。身近な人と思い出の場所の話をしてみたいと思った。
(広報みなみそうま 2020年9月号掲載)
レファレンスサービス
図書館で何気なく手に取ったマンガで「レファレンスサービス」というものを知った。例えば「この花の名前を知りたい」「ロケットが出てくる絵本を探したい」といった疑問から、図書館にいる司書さんが一緒に本を探してくれるサービスだ。
インターネットでなんでも見つけられそうなこの時代に、人と一緒に探しものをするなんて少し手間に感じられるだろうか。本のプロフェッショナルである司書さんとであれば、一人では読むに至らなかった本や気づかなかった興味にも出会えるのではと少し期待したくなる。
南相馬市図書館の司書さんたちの手も借りて、より深い「読書の秋」を過ごしたい。
(広報みなみそうま 2020年11月号掲載)