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単独ライブという幸せ。
単独ライブ。
【ワンマンライブ】や【ソロライブ】などと同義であるこの言葉は、ひと組のアーティストだけで行うライブという意味です。中でも【単独ライブ】という言い方は、主にお笑いのライブで使われることが多いかと思います。
単独ライブの醍醐味は、一組のコンビないしグループの世界へどっぷり浸れることにあります。たくさんのネタを準備して構成やOPなどの演出に個性を出し、丁寧に時間をかけて作られる、各芸人さんの色々な想いが詰まった濃厚な時間。
今まで色々観てきましたが、中でも特に私が大好きな単独ライブたちについてのお話です。
※ネタバレにならないようにしていますが、気になる方は自衛してください。※
空気階段 第4回単独ライブ【anna】
2021年、世界はコロナ禍の真っ只中。緊急事態宣言は、出ては消えの繰り返し。ワクチン接種にPCR検査…未知のものに戸惑い、日々振り回されていました。
コロナ禍以前は頻繁に劇場へ足を運んでいた私でしたが、職場や家庭に感染を持ち込むリスクを考えて自粛。そんな中、なんとかお笑いを摂取するべく配信を購入したのがこのライブでした。
【anna】の中で私が一番お気に入りなのがこのコントです。空気階段にはやっぱり“エロ”が不可欠。
【anna】はひとつひとつのコントに散りばめられた要素を最後の長尺コントで大回収していくという構成です。単品で楽しむの良いですが、やはりこのライブの大ファンとしては、通しで観てほしいなと思います。
かたまりさんももぐらさんも一個人としてかなり癖が強い人達のはずなのに、コントではそのパーソナルな部分を忘れて、シナリオに没頭させてくれます。これはひとえに高い演技力と素敵な演出がなせる技であり、大好きなところです。
彼らの単独は一本通して見ることにより、「面白い!」というシンプルな感情に加え、各キャラクターへの愛を感じることで味が濃くなって満足度が高まります。
2021年当時、コロナ禍でストレスを抱え色々と気が滅入っていた私でしたが、とても救われ、前向きな気持ちになれました。
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ロングコートダディ 単独ライブツアー【あらコズミック】
ロングコートダディ、通称ロコディ。お笑い好きなら当然知っているコンビです。数少ない、M-1グランプリ・キングオブコントの両方で最終決戦まで勝ち残った経験を持つ超実力派コンビです。
(この実績を持つのは他にサンドウィッチマン・かまいたち・ジャルジャルの3組のみ。改めて考えると本当に凄い)
こちらの単独、構成としては6本のコントと幕間にVTR。一部お話が繋がっているものもありましたが、基本的にひとつひとつのコントは独立しています。
一本の映画を観た後のような感覚になり、大満足でした。
映画のようだったとは言いましたが、決して全てのコントがドラマティックで見るのにある程度の集中力と気合いを要するものだったという訳ではなく、 頭を空っぽにして楽しめるものも多くあります。そのバランスが、結果的に終盤の感動をマシマシにしているのかなと感じました。(これがわざとであれば策士すぎる)
ロコディのコントはとにかくストーリーが魅力的です。短い時間でも一気にその世界観へ引き込まれます。どんなに突飛な設定でもいつの間にかそれを当たり前に受け入れて楽しんでいる自分がいる、そんな不思議さがあります。
現状、【あらコズミック】を観る方法はもうないので、ロコディの魅力が存分に伝わるであろう私が一番大好きなコントの動画を載せておきます。
bananaman live【Cutie funny】
今から遡ること12年前。私が「コントって凄い!面白い!」と感じた全ての始まりが、この【Cutie funny】でした。
バナナマンは、私をお笑いに深くのめり込ませてくれた大好きな芸人さんです。彼らに出会わなければ今の私はいなかったと言い切れるほど、思い入れのある方々です。
テレビタレントとしてお茶の間に愛され親しまれている彼らですが、その真髄はコントにあります。
こちらの単独は6本のコントと幕間のVTRというシンプルなもの。よくあるスタンダードな構成ですが長いものは30分近くになっているのが大きな特徴で、それはもはやコントというより短編ドラマといった方がしっくり来るボリュームです。
お笑いの舞台の基礎みたいなものが詰まっていて、今の世の中にあるコントのいろんな全部を先にやっていた人たち、というような凄みを感じます。
とにかく、“コント師のバナナマン”をまだ知らないという人は絶対に観てほしいです。ありがたいことに一部の単独ライブはNetflixで配信されていますし、もちろん円盤もいっぱい出ています。
個人的に特に好きなバナナマンのコント
・先輩とオマエ(【good Hi】2005年)
・ルスデン(傑作選ライブ【bananaman Kick】2008年)
・a scary story(傑作選ライブ【bananaman Kick】2008年)
・日村がゾンビになっちゃった(【Cutie funny】2013年)
男性ブランコのコントライブ【やってみたいことがあるのだけれど】
最後は2023年の男性ブランコ単独【やってみたいことがあるのだけれど】です。
これまで色々な単独ライブを見ましたが、今のところ一番好きなライブです。
会場内の飾り付けから楽しませてくれるのが男性ブランコの単独の特徴の一つなのですが、展示物が始まる前と終わった後で変わっているなどの細かな演出も見どころです。
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舞台上にこれから着用する衣装を並べ、幕間でそのまま着替えて次のコントへ移るという演出のインパクトは今でも忘れません。すごく面白い試みだったと思います。
音楽もトニーフランクさんによるギターの生演奏という贅沢仕様。来てくれた人の全身どっぷり自分たちの世界に浸らせてやるぞ!という気合いを感じて、足を運んで良かったなあという満足感がありました。
冒頭にリンクを貼った通り、期間限定で映像を販売しています。ぜひです。
最後に
振り返ってみると、漫才のみの単独はあまり見たことが無いと気付きました。今年は積極的に挑戦していきたいと思います。
いろんな単独に出会えますように。