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はじめまして、レントゲンのサブスクサービス、krix(クリックス)です。

はじめまして、歯科用レントゲン装置のサブスクサービスを運営しています株式会社クリックス代表の勝部です。

最初に自己紹介をかねて、どうしてこのサービスを思いつくに至ったかをお話させてください。私は1984年生まれで、この記事を書いているときには40歳になっています。もとをたどると私の祖父がレントゲン装置の会社を起業したところから物語ははじまるかもしれません。私の祖父は島津製作所に勤めておりました。島津製作所は今現在も京都、いや日本を代表する企業ですが、私の祖父が在籍していた1940年代も日本を代表するトップ企業でした。特に日本で初めてレントゲン・X線装置を製品化したことで業界では良く知られています。そんな島津製作所から戦後まもない1946年に独立起業したのが私の祖父でした。起業後しばらくは医療用のレントゲン装置のメンテナンス事業を行っていたようですが、しばらくして自社のオリジナル製品を作ろうと発起し、1972年から歯科用のパノラマレントゲン装置を製造販売するようになりました。
大手の歯科機械メーカーのOEM製品として採用されたこともあり、歯科用レントゲン装置の事業は順調に推移し、2007年には累計のパノラマレントゲン装置の販売台数は4,200台となりました。だいたい日本の歯科医院の10件に1件は納品されていた計算になります。
しかし、このころからレントゲン装置は徐々にデジタル化が進んでいきます。つまり、これまでのフイルムを現像してレントゲン写真を確認していた時代からパソコン上でレントゲン画像を確認する時代へと変わっていきました。歯科の分野でもCTと言われる3D診断ができる装置が登場し、インプラントなど最新の手術や歯科診療に使われていきました。
レントゲン装置のデジタル化は機器のコモディティ化を促進し、各社性能的には横並びになっていき、また、韓国などの低価格製品も登場したことで業界の価格破壊が一気に進んでいきました。
機器のトラブルについても、これまで多かったハードウェアの不具合というよりもソフトウェアやパソコンに関する不具合が目立つようになりました。古参の企業にとっては今まで求められてきたスキルや人材が大きく転換することになりました。従来であれば、フイルムなどの消耗品を毎月コンスタントに納品販売することによって定期的に歯科医院様とコンタクトがとれていたのが、デジタル化によってタッチポイントが不足するようになりました。
私はそんな家業に2010年に入社をしましたが、今振り返ってみると、景気が悪い時代しか見てこなかったかもしれません。

サブスクとの出会い

そんな私が家業の取締役として歯科用のレントゲン装置事業に取り組んでいたとき、ふと目にしたインターネットの記事に衝撃を受けました。ケーザー・コンプレッサーというドイツのコンプレッサーのメーカーです。この会社が取り組んだのは空気のコンプレッサーという「装置」を売るのではなく、圧縮した「空気」を売るという発想の転換でした。確かにこの発想はとても理にかなっています。顧客が本当に必要なのは装置ではなく圧縮空気だからです。古くからマーケティング理論で言われている、「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」に通ずるものがあります。

これをレントゲン装置に当てはめるとどうでしょうか?歯科医師の先生方が本当に必要なものはレントゲンの装置ではなく、患者さんを診察するためのレントゲン画像のはずです!この発想の転換ができたことが、このサブスクサービス実現の大きな一歩になりました。コロナ禍の2020年はちょうど”サブスク”が大きく注目を集めだした時代。Amazon PrimeやNetflixといった動画配信サービスはもちろん、トヨタ自動車がクルマのサブスクkintoを展開していました。
もう一点、レントゲン装置ならではの特徴がありました。それは画像を1枚,2枚とカウントできること。この、撮影枚数を数えられるという当たり前の特徴によって、どれくらい撮影をしたかを定量的に測ることができました。
まさにコピー機のカウンタ料金と同じような仕組みがレントゲン装置でもできるのではないか?という発想の転換でした。
①レントゲン装置ではなく画像を販売する
②画像の撮影枚数に応じて料金が確定する
という2つの特徴をもった新たなレントゲン装置の販売方法のコンセプトが固まりました。
さらにこのサービスを特徴づける医療業界特有の後押しがあります。それが診療報酬制度です。病院でレントゲン撮影をすると、帰りに点数表のようなものが書かれた領収書を受け取ると思います。たとえば歯科のパノラマ撮影では402点となっています。1点は10円で換算されますので、パノラマ撮影料金は1枚4,020円と国によって決まっています。患者さんは、一般的にそのうちの3割の金額を負担しています。残りの7割は国から歯科医院さんに支払われています。つまり、パノラマを1枚撮影すると歯科医院さんは国から4,020円を受け取っているわけです。とすると、その一部をお支払い頂くような料金システムにすれば差額は歯科医院様のプラスになるわけですが、ノーリスクでレントゲン装置を導入いただけるシステムにできます。
この、診療報酬に応じて料金を設定するシステムについて弊社では特許を取得しています。

ようやく、この新しいレントゲン装置のサブスクサービス事業の骨子が固まりました。
この事業は京都府の補助金や経営革新計画の採択を受け、2021年5月についに最初のお客様である歯科医院様に納品するに至ることができました。


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