六道慧の花暦 2022年6月(2)
本日、『新・御算用日記 断金の交わり』。徳間書店から発売です!
またまた、数之進と一角のよもやま話(2)です。
数「『新・御算用日記 断金の交わり』。本日、徳間書店から発売されましてございまする」
一「告知らしいが、それだけではつまらぬ。こたびはなにを話題にするのじゃ?」
数「江戸時代の感染症について、ちと話そうと思うておる。われらが生きた時代にも、すでに給付金があった。籾倉町会所へ裏店の町人を呼び、一人につき御米五升が渡されたとか」
一「なれど、それは男一人への給付米であろう」
数「さよう。女子は四升、三歳以上のお子には三升ずつ下された由。現金にせなんだのは、飲んでしまうからであろうな。まあ、江戸っ子は呆れるほど酒を飲むゆえ」
一「薬などの助けはなかったのか?」
数「いい質問だ。安政六年(一八五九)、コレラが大流行し、江戸だけで十万人を超える死者が出た」
一「別名『ころり』と呼ばれる所以じゃ」
数「うむ。大坂もひどい有様だったらしいが、薬種問屋が軒を連ねる道修町(どしょうまち)の商人たちは、薬を配ったと」
一「儲けるだけではのうて、出すときには出すのが、まことの商人よ。自分よし、相手よし、世間よしの三方よしこそが、己をも救うという好例であろうな」
数「かような時には、手厚い助けを求めたいものだ。というわけでござりまするが、『新・御算用日記 断金の交わり』。発売でございまする」
一「よろしくお引き立てのほど」
数「御願いたてまつりまする!」
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