はぶ談戯 昭和歌謡短編集其の三 にじゅう 感想メモ
はじめに
・タイトル通りな感想メモです。
・全員に触れる保証は出来ません。
・というか加藤靖久さん過多です。
・褒めてばっかりじゃないかもしれません。
・4回見に行きましたが諸々うろ覚えなところがあり、正確な情報では無い可能性の方が高いです。
・ネタバレはガンガンに書いていきます。
以上、予めご了承ください。
きっかけ
加藤靖久さんご出演なのはもちろんなのですが、加藤さんが過去にはぶ談戯さんで演じられたキャラクターが、軒並み加藤さんの引き出しに無いキャラクターということだった(らしい)ことで興味しかありませんでした。
しかもイヌコママは、はぶ談戯さんの本公演「柔らかい扉」で演じられたキャラクターだということで、次ご出演が決まったら絶対に行こうと心に決めておりました。本当にありがとうございます。
多方面からオススメされてその「柔らかい扉」も、最初にご出演された「刺毛」もDVD買いましたしこの公演中に取り急ぎ1回ずつは見たので、今週はなんか一気に5演目見た気分になってます。
「刺毛」の加藤さんがすごいやばいぱねぇしか言えないくらいセクシーでクソ野郎でかわいそうで最高だったので興味がある人はとりあえずくれいさんに言ってくれまずはDVD貸すというか押し付けるから……。
感想
改めて「にじゅう」の感想をば。
せっかくなので各短編ごとに思い出しつつ書きます。
ミニ歌謡ショー
お芝居前に歌謡ショーがあって、皆さん最高に歌が上手いし聞き惚れるんだけど、濃い男性ファンに全部持ってかれて歌が何も入らないのほんとどうにかしないといけなかったというかその中に加藤さんいるだけでもう笑っちゃうからだめです勘弁してください(平伏)
はぶ談戯雅さんの使い方が!!勿体なさすぎる!!!でも!!!美味しいと言えば美味しいし!!!他に誰が出来たのかと聞かれても!!思い浮かばない!!!って初日に呟いてたんですけど、この歌謡ショーの司会及び各話の間で入る歌パートでの前フリだったり、黒子的なポジションなわけだったんですね。良い声。歌の前フリのセリフを覚えたい。でも司会者さんのお名前覚えられなかった悔しい。マイクを握る手に力が入りすぎてるのか、ぷるぷる震えてたのをガン見してました(だいたい最前とかいう意味のわからない席でしたありがとうございます!!)
アシスタントの歌子さんがかわいい。かわいいがかわいいでかわいい。そしてまさかの流しの女でびっくりしました。歌子さんも勿体無い!!!物語をはじめて、締める役割とはいえ……しっかりお歌聞きたかったーー!!機会を作ってお歌聞きに行きたいなって思いました……。
OP
歌子さんと少女が歓楽街の裏路地で出会い、交流を持つ場面。タロットカードを用いつつもタロットらしくない占い方をする歌子さん。少女が引いたのは審判のカード。
「温度、感触、言葉が蘇る曲…あなたにもあるでしょう?」(あらすじより抜粋)
……私、流しの女が、その少女に約束の物語を語って聞かせる(約束の物語は短編の3話)みたいな構成だと思ってた(あらすじ読んでそうとった)んですけど、結果そんなことはありませんでしたね。
からの、表題曲「にじゅう」と共にノリノリの演者さんたちと各話のタイトル・キャラクター紹介的なパート。shaoさんパートで寄りかかられてる増田さんのポーズが面白かったのと、キレっとポーズ決めてる加藤さん(細い)をガン見するのがめちゃくちゃ楽しかったです。
壱話「島巡りからアナタへ」
婚約、両家のご両親への挨拶。順風満帆なリカとタカヒロ。リカの誕生日を祝おうと、誕生日ケーキを抱えてリカの家を訪れた2人の目の前に現れたのは、10年前にリカにプロポーズをした後、突如失踪したミチオだった。しわくちゃになった婚姻届を取り出して一言「リカちゃん!結婚しよう!」
この10年何をしていたのか。怒りに身を震わせながら質問する(ミチオとの件でファンタジックなダメ男としか恋愛出来なくなってしまった)リカとそれを気遣う(実家の貿易商を継ぐことが決まっている経済的に安定した)タカヒロ。リカを守るために冒険王になったと宣い、けれど10年は長すぎた。加減を間違えたから、イイ感じな冒険王としてリカの傍に居たいと語るミチオ。
失踪したことではなく、ケーキを食べなくて勿体ないことをしたという点で謝ったミチオに、ツッコミを入れた後で仲睦まじく笑うリカの姿を見て、ミチオを超えられそうにないとその場を出ていこうとするタカヒロ。それを引き止めようとするものの、結果2人のどちらを選ぶのかを迫られることに。
「「リカちゃん!」」
「無理……」
「え……?」
「どちらかなんて選べません!」
始まる男ふたり、女ひとりの歌謡曲。
曲名:10年目の横恋慕
選べなくて困るリカと、ミチオに幸せにしてあげてくれ、リカを安心させてやってくれと頭を下げるタカヒロ。
ミチオは僕なりに幸せにはするけど冒険王だしなにより働きたくないと宣い頭を抱えるタカヒロ。
「でもさぁ、結婚なんて紙切れだけのことじゃん。」
「え?籍、いれなくていいの……?」
「僕は別に」
「でも、色んな責任とか発生するかもしれないんですよ?」
「めんどくさいよね。そういうの、誰かが肩代わりしてくれないかなー?」
ミチオの顔を見て固まる2人。
怪訝そうに聞き返すミチオ。
「……合格」
「へ?」
「……合格だよ、みっちゃん!」
「へ?」
「ミチオさん!僕、リカさんと結婚します!」
「あ、うん。…え?」
「でも、みっちゃんとはずーっと一緒にいられるよ!」
「うん……え??」
「やったね!リカちゃん!」
恋人、婚約者というより、友達か?というレベルでいちゃいちゃきゃっきゃうふふしだすリカとタカヒロ。
「僕、ダメなんですよ。女の人」
だけど家は継がないといけない。そんな中でフラットに付き合える意気投合した女性であるリカと出会えたから、結婚することにしたと。タカヒロは長い付き合いの彼氏に説明済みだが、リカのほうのダメ男たちは話を聞いてくれない。と、いうところで玄関に入ったらいたミチオに、2人は内心「最っ高!」という状況だったと語る。
ミチオはしばらく黙っていたが、それを快諾。3人で改めて、リカのバースデイを祝うことにしましたとさ。めでたしめでたし。
いやーーーーーーーーーー推しがホモ(役)だったという事実に初見時全部持っていかれました。それ以降はどっち(役)なの!?ということを考えてばっかりでしたどっちなのかはあたりをつけましたけど定かじゃありませんすみませんすみません根っから腐っててほんと申し訳ない。
でも流石加藤靖久(?)流石穂科エミ(?)どこからどこまでがどちらの采配なのかわかりませんが細かくやってくれてました。その事実を知った上で2回目3回目と見てると、リカちゃんとは必要最低限しか触れ合ってないなー男女の付き合いって感じなら抱きついたりリカちゃんがむしろしなだれかかったりしててもおかしくないのになーとか思っていたことが氷塊しました。
リカちゃんが10年前のプロポーズ直後のことを語り出す時に、公演回を重ねる事にどんどん泣きそうになってるタカヒロさんのお芝居がめちゃくちゃ好きで。リカちゃんの境遇が悲しすぎて辛すぎてむしろタカヒロさんが感情移入して泣きそうになってるのかと思うと、こっちがしんどくなります。
あと後半からかな、長く付き合ってた彼氏のくだりでちゃんと人型手で作ってるのが好き。土曜日マチネだと、その人型相手に一瞬目が優しくなってるように見えたのが個人的にはめちゃくちゃ好きです。
リカこと、くどうりほさん。ほんと素晴らしくて最高でした。リカちゃんのミチオへの怒りにはめちゃくちゃ共感した。内心首縦に振りすぎてヘドバンみたいになる勢いでした。「(ダメ男好きになっちゃう原因って)彼のこと、だよね?」って聞かれた時に、こくり、って頷くリカちゃんかわいいしそこからの「おめーーーのことだよ!!!!あ、タカヒロさんすみません私時々口や態度が悪くなるかもしれませんが流してください幻です」ってくだりのテンションのメリハリが最高でした。心臓抑えて素直に「わかりました」っていうタカヒロさん可愛かったですありがとうございます。ネタばらしした後に、タカヒロさんからタカちゃんに呼び方が変わるのもとてもいいですよね……関係性わかりやすいし、普段からそういう癖付けしていたってことでもあるし。
ミチオさんこと増田さん。めっっっっっっっっっっっっっっっちゃくちゃ、イラっとした。話通じないタイプほんと嫌いなんで、私がイラっとしたってことは、それだけそう思わせてくれたということ。むしろ好演だったと思います。無邪気で、憎めないところも含めて素晴らしかった。ふふふってお茶?コーヒー?3杯目?飲んでるのがかわいい。私は恋愛的な好き嫌いはわからない人ですが、それでもこういう人と結婚は出来ないってのはわかるーリカちゃんわかるわーとなってました。
リカちゃんがミチオさんに抱きついた時の、重くて抱き上げられないみたいなシーンでのミチオさんの驚きっぷりが千秋楽に向かうにつれてどんどん増していってるのが好きでした。千秋楽なんかケーキの箱開けるまでずっと目をかっぴらいてたし、それをとりなすタカヒロさんのセリフも……多分アドリブ入ってたりして、少しずつ違ってたからより好きでした。
弐話「生きないガールと死ねないボーイ」
突然余命キッカリ1ヶ月を宣告されたセイコは親友ヨッちゃんからの重たい友情による(毎日毎晩酒を飲もうという誘いや通知が来る)LINEとメールをブロック(心配させ続けたく無かったとのこと)し、とはいえ自分から命を絶とうとするわけでもなく、吉祥寺のタピオカ屋へ向かうために電車のホームにいた。満面の笑顔で飛び降りようとしたカナタを助けたセイコ。だが、感謝されるどころか恨み言を言われる始末。死にたくてありとあらゆる方法を試し、セイコと言葉を交わしてるときですらネクタイで首を絞めて自殺を試みる死にたがりのカナタは、セイコの余命きっかり1ヶ月(出会った時点では残り23日)という状況と、それなのに悲観していないその考え方に目をつけ、自身が通っている「チョウチョウせ先生の死生観ファクトリー」というセミナーにセイコを連れ出す。そこで三等米で作ったお粥しか胃が受け付けない超有名妄想美食ブロガーのナルト君と、死にたくない妄想が1周回って死ぬことばかりを考えるようになった美大生キョンちゃん、セミを小さな虫かごに50匹ぎゅっと詰めて夕方のチャイムと共に放つという遊びを夏休み期間30日続けていたがセミの寿命が7日しか無いことをあとから知り、その大事なセミの命を無駄にした報いを自ら受けるために1500回死にかける思いをすることを自らに課したチョウチョウ先生と出会い、死に行く人間(セイコ)からLINEとメールをブロックされて存在を全否定され、生きる価値が無いと思ってしまったヨッちゃんとの再会を果たす。入会するとは一言も言って無いが、そのポジティブさを死生観のニュータイプと見なされ、彼らと共に過ごすことになるセイコ。彼女は奥歯が一気に6本抜けたり、片手がもげたりと、着実に死に向かっているものの、そのポジティブさは変わらない。そんな彼女を死にたがりのカナタはずるいと言う。
「ったまきた!!!決めた!あたしの残りの時間、あんたを生かすために使ってやんよ!!」
「はあ!?!?」
カナタに生きる希望を見出させるためにナルト君やキョンちゃんにも協力してもらってあれこれとあちこちと連れ回すセイコ。素直じゃないもののカナタは前向きになっていくが、セイコの身体的な症状が反比例して悪くなっていくのを見て、また死にたがりに戻ろうとしてしまう。追いかけようとするセイコは体がついていかず、とうとう目まで不調をきたすようになる。助けに現れたチョウチョウ先生は、カナタがセイコと共に生きることを目標にしてしまったことや、カナタだけじゃなくナルト君やキョンちゃんもセイコのポジティブさに影響されて新たに死生観をファクトリったことを語る。
「人生は階段のようなものである。ある哲学者の言葉です。階段を上り、疲れたら踊り場で休む。最後に見える景色が素晴らしいものなら、人生は素晴らしかったと言えるのではないか。」
最後は自分は死なないあと2億年は生きると宣い場を茶化したチョウチョウ先生。死生観ファクトリーのメンバー達も笑いが起こる。そこにヨッちゃんが知らせてきたのはカナタが救急車で運ばれたことだった。
病室(ICU的なところかな。本当は入れないだろうけど)のカナタが死にそうになっているところを見てようやく自分の死をイメージ出来たセイコ。
「あたしは、カナタを生かすことが生きがいになってたんだ!」
カナタを死なせてたまるかと奮起するセイコ。
セイコが汗水垂らしてカナタを助ける様を歌い上げる歌謡曲
曲名:生きてりゃさりげにいいことあるさ
死生観ファクトリーのメンバーが思い思いに呼びかける中響くスリッパで頭をひっぱたく音。
目を覚まし、生きていることを実感したカナタ。
先に死ぬなと憎まれ口を叩くセイコ。
抱き合い、互いの想いを確かめあった2人だが、セイコの余命宣告の日は迫っていた。
覚束無い体を支え、見晴らしのいい場所へとセイコを連れていくカナタ。綺麗な景色だと、景色の綺麗さを知ることができて良かったとセイコはカナタに伝える。
「もう降りなよ」
「……うん」
「ゆっっっくり、登ってこいよ。駆け上がってきたら、突き落としてやるからな!」
「わかってるよ」
「「……ありがとう」」
ふもとに降り、カナタの「死んでたまるかー!」という叫びを最後に、セイコはふわりと、その生涯を終えた。
チョウチョウ先生こと橋本さんがやばすぎた。4回見に行ってセミのくだり全部違うし大体笑かしにかかってくるしほんと最高でしたね……すごいっす……千秋楽の殴ろうとして殴らずに揺れるくだりが1番笑ったし演者笑かしに行くのほんとずるい。ずるすぎて逆に多くは語れない……。
セイコさんこと佐河さんほんと長回し長ゼリフ早口お疲れ様でした……初日のナルト君の紹介部分で1回止まったけどそれも応援したくなるくらいお疲れ様でしたという気持ち……めちゃくちゃエネルギッシュ!!!冒険王の血筋はすごいな。あと、カナタさんがずるいって言うくだりで両頬を片手でわしいって掴むのはリカさんの血かなとか思いましたよね。
あと、カナタさんとのお別れの部分は、チョウチョウ先生の人生は階段みたいな話とも重なってるのかなと思うと、すごくグッとくるものがありました。駆け上がってきた(早く死んだ)ら、突き落としてやる(現世に戻してやる)からな!みたいな。
参話「荷重なオンナはよく食べる」
女5人が黙々とフライドチキンなのかなんなのか、骨付き肉を食べている。しゃぶりつくした骨を床下のスペースに放り投げている。
鬼怒川に家を買おうと提案するキャリアウーマンのアヤコ。骨付き肉より、魚肉ソーセージのほうが最近好きになったらしいアヤコに甘えるのが好きなマイ。骨付き肉を食べさしだろうと気にしないで貰って食べる生理痛が悩みの種で父親から虐待を受けて逃げ続けているニイナ。彼氏からのDVで左耳が聞こえなくなってしまった床下のスペースに骨を投げることを躊躇していたナツミ。彼女らを気遣い、残った骨を出汁を取るように冷凍保存するフミエ。彼女らは男にうんざりした者同士、家を買って女だけで生活するために、日々節約しつつ共同生活を送っていた。出社するアヤコを見送り、寝ることにする彼女たち。夜中、ひっそり起き出してきたマイ、ニイナ、ナツミ。床下のスペースを開けて、マイは過去の彼氏たち、ニイナは父親への不平不満を、そのスペースに監禁している男へとぶちまける。戸惑うナツミだったが、ニイナたちにつられて彼氏への文句をぽつぽつと、段々とその勢いは大きくなりながら発露していく。
「同じ目に合わせてやりたい……」
「同じ目じゃ足りひん!」
「「足りない!!」」
「足とれろ!」
「髪禿げろ!」
「チ〇コもげろ!!!!……あ」
我に帰るナツミ。あまりに過激な発言に笑い出す2人。
その大騒ぎを聞いて顔を出したフミエと、少し前に帰ってきていて大声を聞いていたアヤコ。アヤコは3人を寝かせ、フミエに接待の愚痴と3人が浮き足立っていることへの懸念を口にする。フミエはあまり気にしていないよう。むしろアヤコに、本当に家を買うのか確認する。フミエは本気のようだ。同じ時間、アヤコを怒らせてしまったかと不安げにするマイと心配するナツミ。巻き込んだのは私の方だからと。監禁した男はナツミの彼氏によく似ていたが別人で、ナツミとニイナがかなりの怪我を負わせてしまったらしい。それを公にされないために、ここに監禁しているとか。男を監禁しているという事実にわくわくしているマイはどこか恍惚とした表情を浮かべている。だが、ふと、ナツミに問いかけた。
「ねえナツミちゃん。本当に、あの男と彼氏のこと、間違えたの?答えてよ」
「よく……聞こえないです」
「そっか。もう、寝よっか」
ナツメとマイは改めて眠るために部屋に戻っていった。
アヤコとフミエはさらに話を続けていた。女の共同生活をフミエは誓い合ったわけじゃない。そして外に出ていってもやっていけないわけじゃない。だから、この話から降りればいいとアヤコは言う。
「同じこと言われたらどう思う?」
「あたしが結婚に向かない性格だって知ってる癖に。……でもま、子供くらいは作ってもいいかもね。」
その言葉に俯くフミエ。しまったと表情が固くなるアヤコ。
「ごめん、つい……」
「うん、いいよ」
床下のスペースの蓋を2人でしめ、アヤコは荷物を持って部屋に戻ろうとする。
蓋の上に立って、フミエはアヤコを呼び止めたが、なんでもないと何も言わない。数瞬の後アヤコは部屋へと戻り、フミエも、グラスなどを片付けて部屋へと戻った。蓋を避けるようにして。
翌朝、支度をはじめるフミエと、蓋を開けて男に触り、話かけるマイ。そんなマイのことをアヤコに伝えるニイナ。突然表情が固くなり、寝室のほうへと1人戻るアヤコ。みんなで先に魚肉ソーセージを食べ始めていたが、アヤコはマイの荷物を抱えて戻ってきた。出ていってとマイに告げる。
バイトの予定は本当は合コンが入っていることをアヤコはしっていた。泣き崩れるマイから目をそらすニイナとナツミ。マイは、逆上して暴露する。監禁している男はナツミとニイナがナツミの彼氏と間違えて暴行してしまったのではなく、無抵抗の男を2人で暴行して止まらなくなってしまった結果なのだと。それぞれ、父親、彼氏へ復讐しているようで止まらなくなってしまったと語る2人に、まとめて3人とも出て行けと告げるアヤコ。泣き叫び謝る3人に、アヤコは冷酷に告げる。
「男に搾取される生活に戻ってください」
「彼氏に殴られる生活に戻ってください」
「父親に死ぬほど愛される生活を送ってください」
「さようなら」
言葉も出ずに俯く3人。
そんなアヤコに平手打ちをするフミエ。
「あんた、最低だよ」
そんなフミエに軽く笑い、最初からこうしていればよかったと、魚肉ソーセージをあけるために使っていたカッターナイフを取り出して男を殺そうとするアヤコ。そんな状態でも笑みを浮かべている男に馬鹿にするなと叫ぶアヤコ。けれど、その刃が男に届くことは無かった。カッターナイフを引き剥がすフミエ。そして、そんなアヤコを見かねたのか、突然出汁をとる用の骨を大量に持ち出してきて男に投げつけはじめるナツミ。たんたんと投げつけていたナツミだったが、途中から箍が外れたように笑い出す。マイとニイナ。アヤコもわらいながら骨を投げつけ始める。呆然とするフミエだったが、アヤコから差し出された骨を手に取った瞬間、共に笑いだした。
5人の女たちの共犯を歌う歌謡曲
曲名:共犯レディ
笑い転げる女たち。一体感に満ちていた中でアヤコが言う。
「これで全員、共犯者だね」
再び笑い出す女たち。朝ごはんを再開し、魚肉ソーセージを男に見せつけるように食べ始める。
「あ」
「え?」
「動き、止まった」
4人はあまり意に介さず、後片付けを始める中、取り残されたようになったフミエは、夜の歓楽街へと足を踏み入れていた。
お話的には申し訳ないことに、1番共感も何も出来ませんでした。私は高校から現在進行形で周りは男性ばっかりな空間にいますが、男がめんどうとか嫌だとかそういう被害にあったことが無いので、彼女らの恨みとか憎しみとかが本当に理解できなかった。想像するのも難しい。性別でものを見たり判断したりする生活をしていないからなおのことなのかもしれない。わざわざ部屋に囲うくらいならもっと別の方法が有るんじゃないかとか。その上でわざわざご飯食べながらそのゴミを捨てるのが本当に意味がわからないとか。なんかの暗喩だったとしたら汲み取る力が足りないってなるだけなんですけど。
でも、魚肉ソーセージって男性()の暗喩ですよね。嫌いだったのにマイがそっちのほうが好きって言い出してるあたりとか。なんか、それぞれの男性に対しての感情みたいなのが食べ方に出てるのかなーとか思うと、もう1回見たくなるなー。アヤコが仕事から帰ってきて魚肉ソーセージ食べてるのとかもそんな感じしそう。あと、フミエこと長谷さんがかわいくてほんと好きになりました。サイン頼めば良かった……。朝はパン♪の歌が好き。アヤコこと中村さんとの「「だって年だもーん」」(低音)が好き。
肆話
フミエは歓楽街の裏路地で缶ビールをあおっていた。そこから階段を登って景色を見るが、顔は浮かない。景色は最低だと現れた流しの女に愚痴る。
そうして告げなかった名前を流しの女に告げた。
私の名前は「二重」だと。
怒涛の勢いで、3話が繋がっていく。
セイコは生まれた頃から10数年、冒険王の父と共に冒険しながら過ごしていた。「生子」どんな逆境の中でも丈夫に生きる子になってほしいという願いを込めた名前だという。そんな父親は毒蛇からセイコを守って命を落としたという。
フミエは二重と書いてフミエ。カナタが、セイコとの「命を繋いでいってくれ」という約束のために生まれた子供。だが、フミエは15歳のころに子宮が正しく機能しないために子供を作れないという宣告を受けていた。父親はそうそうに躓き転んで死んでしまい、母親からその約束を言い聞かされて育ったフミエは、もう約束はまっぴらだと。そう思うようになってしまっていた。
「約束した方はそれを簡単に放棄することが出来るわ。でもね、された方は、ずっとその呪縛に苦しみ続けるのよ」
「……そういうことも、あるのかもね。あなたは、そうなの?」
流しの女、歌子はタロットカードを取り出す。
昔引いた審判のカード。
「正位置なのか逆位置なのか、決めるのはあなた次第よ。生み出すことだけが、繋いでいくことなのかしら?」
言葉を残して去る歌子。
我に返ったように走り出し、フミエは床下のスペースから、男を解放した。
男、死ぬ思いを1500回して報いを受けようとしているチョウチョウ先生を。
早く逃げてくれと告げるフミエを後目に1500回達成したことを喜ぶチョウチョウ先生。
「お礼にいいことを教えてあげましょう。にじゅうさん」
「なんで、私の名前を……!」
「カナタくんが、あなたにフミエとつけた理由です」
父親が自分に「二重」と名付けた理由。二重には、腰が曲がるくらいまで長生きするって意味がある。「俺みたいな死にたがりになるんじゃなくて、たくさんの希望を胸に、長生きして欲しい」
そんな父親の真意を知ったフミエは、マイ、ニイナ、ナツミが出ていった部屋で1人、涙していた。
アヤコに謝ると、アヤコは力なくもういいよと告げる。
「安心して。あたしは、ずっとここにいるから」
「……約束しないたちの癖に」
「いいよ。約束、してあげる」
「え?」
「だからもう、1人じゃないよ」
小指を差し出すフミエ。そこに自分の小指を絡め、泣きじゃくり、フミエに抱きついたアヤコ。
この話は、ここで、おしまい。
まさかチョウチョウ先生が捕まってたとは思いもしてませんでした。1番驚いたのはそこ。監禁されてる間の雑談とかで、チョウチョウ先生はカナタくんの子供に監禁されてるのに気づいたってことなんだよなぁ。流石なのかなんなのか……器がでかいのかなんなのか……。
あと、歌子さんが短編開始前にタッチする女性3人(リカ、セイコ、フミエ)はなんらか黄色い服やアイテムを身にまとってるんですが関係あるんですかね。
これを書いてて思ったんですが、少女ちゃんはもしや、子宮が機能しないって宣告された15歳のフミエなのかなー。だからある意味自暴自棄で酒とか持ってたのかなー。
審判のカードの意味とかは調べてないのでおいおい調べていきたいです。
アヤコとフミエのEDは、フミエがお腹にアヤコの頭を抱えてるあたりで、繋がったってことなのかなとか思いましたよね書いてて。アヤコ自体は子供欲しいって言ってるわけだし。精子バンクとかで買ったりするのかもしれない。血の繋がりはなくても、子供引き取って育てたりするのかもしれない。色々と考えちゃいますね。
その他細々と思い出
雑踏のシーンとかも、細かくおっていけば色々と面白そうだなって思いました。
主に加藤さん見てたんですけど、増田さんと最初ぶつかってたり、3話終わったあとの準備のときには、佐河さんとなんかやりあってたり。三嶋さんと待ち合わせっぽいお芝居して指切りしてたり。
改めて
はぶ談戯さん、20周年おめでとうございました!
昭和歌謡短編集。昭和って響きに、平成生まれの私は楽しめるのだろうかと、見るまでは不安になったりもしたんですが、すごく、すごくすごく楽しむことが出来ました。
素敵な物語と、素敵な歌謡曲をありがとうございました!
早くも次回を楽しみにしてます!