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読書月報

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親の仇のように本を読む。その記録、報告書。実際敵討ちなのである。高校時代鬱で読めやんかった分を取り返すように。一冊の本は自殺の遅延である。
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2024年1月の記事一覧

2023年9月に読んだ本

2023年9月に読んだ本

1 ダニイル・ハルムス『ハルムスの世界』増本浩子、ヴァレリー・グレチュコ訳★★☆☆☆

ハルムスは20世紀前半のロシアの作家で、スターリン政権下において弾圧を受け、獄中死、ソ連時代は当局によって長らく禁止されており、アメリカ、ドイツなどに遅れて、ペレストロイカ後に再発見された。一篇一篇は非常に短く、一言で言うとナンセンスな作風。非常に風刺的であるのは分かるし、解説が合間に複数挟まれているのもよい構

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2023年8月に読んだ本

2023年8月に読んだ本

1 市川沙央『ハンチバック』★★★★☆

人生が賭けられている、故にヒリヒリする。どこかで言われていたポリコレをなぞるような記述が、誰にも文句を言われない誰も傷つけることのない何も言っていない文章が、氾濫する中、これは魂。金原ひとみを連想した。

2 藤本哲明『attoiumani_nizi』★★★★★

第一詩集、始まりはセブンイレブンで、第二詩集は出立のあと、120年完成しないローソンを見遣る

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