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憑依探偵③

場面35 イベントは、霊魂とKEIGOの軽快なトークで観客席から笑いが起きて、最初のハプニングは無かったかのように過ぎていった。

場面36 イベントが終わり観客が外に出ると、渋谷の街は焦げ臭い匂いで充満し、駅の方から赤い火が見え、何台もの消防車が渋谷駅に向かっていた。街は騒然とし、駅まで距離のあるイベント会場付近でも、遠い火に向かい携帯をかざす沢山の野次馬達で駅への道は閉ざされていた。

タケル うぉ、すごい火事だぞ!電車動いてないよなぁ、よりによって駅が火事って、最悪‼︎

カオリ タケル先に帰ってて、今なら地下鉄は動いているよ。

タケル えっ、カオリどうすんだよ!どこ行くんだよ。

カオリ 私、ちょっと用事!

場面37 カオリはタケルを置いて走り出した。

場面38 人垣をかき分けライブハウスの裏口にカオリが着くと、シルバーカーに黒猫を乗せたおばあちゃんがニコニコした顔でて立っていた。

場面39 そのおばあちゃんを見てカオリはげっという表情になる

カオリ もう来てたの!
あ〜、おばあちゃんが来るって事は、やっぱりあの子消しちゃうの?
 
祖母 カオリちゃん久しぶり

カオリ 一昨日会ったじゃん

 祖母 またママが心配するよ。今回の相手もあまり良くないよ。

 カオリ しょうがないじゃない、私のこと気にしないの探すとこうなるの。タケル全くに気にならないから。そもそも信じてないし。

 祖母 へぇそうかい!全くわからないかい。カオリちゃんが側にいて見えないって相当だ!

 カオリ ある意味特異体質。逆にすごいかもよ⁉︎

 祖母 さて、先に終わらせてからカオリちゃんの話は聴くかね。

場面40 火事の煙のせいでますます月も見えなくなった空

カオリ まぁ仕方ないかぁ、これだけ大騒ぎしちゃったら、穏やかになってもらわないと!

おばあちゃん あれぇまぁ、カオリちゃんでも納得するほど大暴れか、まったく。

カオリ で、今日は誰連れて来たの。

おばあちゃん それが今日は誰も行きたくないっていうんだよ。

場面41 まるで手にカエルをのせられたようなカオリの表情。

カオリ げっ、じゃあもしかして!

おばあちゃん そんな顔しない!

カオリ だって絶対まとまらないよ〜 あの人すぐ怒るし!

場面42  おばあちゃんの穏やかな納得した顔にカオリは不思議な表情になる

おばあちゃん それで良いんだよ。

カオリ えっ、いつもと違うじゃん?どうして⁇

おばあちゃん まぁ、見てなっせ

場面43 それまで物影から2人のやりとりを盗み見ていたタケルがびっくりした表情で動画を回し出す。

場面44 祖母が扉に手をかざすと、内側の鍵が開く音がする。

場面45 2人が中に入って行くと後ろからタケルも隠し撮りしながら着いていく。

場面46 突然現れた怪しい客と老女に明らかに狼狽した霊魂とKEIGO

霊魂 わぁ!なに、なに、何、どこから入って来たの?

場面47 KEIGOが起点をきかせてスタッフを呼んだ

KEIGO あ、すいませんちょっと

スタッフ だー!どっから入って来たの!ダメ‼︎

場面48 2人を押し出そうとした瞬間、スタッフの腰がふっと尻餅をついた。

場面49 そっと祖母の手がスタッフの肩に触れると、スタッフは脂汗をかき出し何かブツブツ呟き出した。

場面50 ジリジリと老女とカオリが霊魂に近づこうとする。正確には霊魂の持っている箱に近づいて行く。

場面51 立ちすくむ霊魂と近づく2人の間にKEIGOが割って入った

KEIGO スタンガンでしょ!危険な物はやめて!警察呼ぶから‼︎近づかないで、ストップ!

場面52 老女は、KEIGOを見て優しい表情になる

おばあちゃん あれぇ!驚いた。男の人には珍しいねぇ引っ張られないのは心にやましいことがないってことだよ。
後ろの隠れてるにいちゃんと大違いだ!

KEIGO いや、ルミさんは女の人だし、とにかく帰ってください!

場面53 その時後ろで何かにつまづいたタケルがつんのめってスタッフの前に出てきた。

KEIGO なんなんだ一体!

タケル 痛っー、このばあさんとカオリが裏から勝手に入るの見たんで止めに来たんです。

霊魂 さっきからなんなの!スタッフは怪我させるし、変な3人組で押しかけるし、一体何‼︎

つづく

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