憑依探偵④
場面54 ドンっというすごい音がしてライブハウスが一瞬揺れた。
霊魂 「じっ地震⁉︎」
カオリ 「もう、イライラするのが早いからこの人苦手なんだよ!説得する気まるでゼロ!」
おばあちゃん 「まあまあ、しかし今日は何時にもまして速いねえ。」
場面55 祖母が黒いハンドバックからゴソゴソと丸い石ころをとり出した。
場面56 祖母が取り出して手のひらにのせた石をタケルがつかもうと手を出た瞬間、タケルは石を触る直前に手をひた。
タケル 「あっ熱い‼︎」
場面57 石を触ろうとしたタケルは、右手を抱えてうずくまる。霊魂とKEIGOは驚きながらゆっくりと祖母とカオリから距離をとろうと背後に下がろうとしたが、一歩以上足が下がらない。
霊魂 「いっ一体、何なの?」
カオリ 「その子をかして」
場面58 石ころを手に乗せた婆さんと手を繋ぎながら進むカオリが霊魂の抱える人形の箱に手を伸ばしてくる。
場面59 霊魂はとっさに人形の箱を背後に隠そうとした時、横に居たKEIGOが人形の箱を霊魂の手から半ば強引に受け取る。
KEIGO 「なんでこんな物に執着するんだ!これは一体何なんだ?」
場面60 人形の箱を抱えたKEIGOが肩をビクッと震わせた。
おばちゃん 「その箱を貸してくれないかい?いくらお兄さんでもそいつを抱いていると危ない。もう、苦しくなっているだろう?」
カオリ 「KEIGOさんその子を落ち着かせるだけなの。今のままの方が危険だよ。」
場面61 カオリが人形の箱に手を伸ばしたその時、地鳴りのような男の呻き声が響き出した。
場面62 大きな地鳴りのような声を聞こえる中、立っていられるのはKEIGOとカオリと祖母の三人だけで、後の者は頭を抱えて地面にうずくまってしまった。
KEIGO 「何この音!待って、子供の鳴き声が聞こえる!」
カオリ 「KEIGOさん、この子の声が聞こえるの?おばあちゃん、待って!まだ飲まれてない私、やってみるから!」
おばあちゃん 「ばか!余計な事を よしな!」
場面63 カオリはKEIGOに向かって正確にはKEIGOの持つ人形の箱に向かって飛びついて来た瞬間、突差にKEIGOはカオリの手をはらおうと手を伸ばした。
場面64 KEIGOとカオリの手がふれた瞬間2人はバッタリと床に倒れた。
おばあちゃん 「あ〜やっちまった!」
タケル 「ババア!カオリに何したんだ!」
場面65 祖母が後を振り向くと地面で頭をかかえたままタケルが祖母をにらんでいた。
おばあちゃん 「ふ〜ん兄さんにも協力してもらうかね、おっと」
場面66 祖母がつまずきかけて足を一歩踏み出すと、タケルは頭をかかえのたうちまわり失神してしまった。
タケル 「うわア〜」
おばあちゃん 「やれやれ、やっと寝たかい。今日は、クロの出番はないと思ったんだが、黒を呼ぶかい、クロ〜」
場面67 KEIGOは気がつくと火事でごったがえす渋谷の雑踏に立っていた。火事に向かって走ってくカオリを反射的にKEIGOは追いかけていた。
KEIGO 「待って、待って!君!」
場面68 KEIGOの声に誰も反応しないことで、KEIGOはすれ違う人たちや野次馬が自分が見えていない事に気がつく
KEIGO 「ここは何なんだ?渋谷じゃないのか」
場面69 KEIGOの声に雑踏の中のカオリが振り向き驚く。
カオリ 「えっKEIGOさん、えー!タケルなんで?」
KEIGO 「へっ?タケル?」
場面70 KEIGOが後を振り向くとタケルが坂を下ったくる。
タケル 「KEIGOさんここ変ですよ!て言うかあのババアが、あ痛たた。首が痛え〜なんか大事なこと忘れているような?カオリもどこに行くつもりなんだ?」
KEIGO 「そうだあの子を追ってきたんだ!」
場面71 KEIGOとタケルはカオリを追いかけて火事現場に向かって走って行く。
KEIGO 「ここに来るまでの記憶がハッキリしないんだ。それなのに君たちを知ってる。とにかく覚えているのは、あの子を止めないとって言うことだけだ。」
タケル 「俺も気がついたら走っていてKEIGOさんここ渋谷なのにおかしいですよ!有名人が堂々と走っているのに振り向くヤツもいないなんて!ていうか、カオリあんなに足速かったか?」
場面72 KEIGOとタケルが火事現場にたどり着くと、消防隊などはおらず燃えている。
タケル 「どういうことだ?誰も消してない!」
KEIGO 「とにかくあの子を止めないと多分僕たち帰れないぞ!」
場面73 「火事の中にカオルが入って行こうとする。」
タケル 「行くな!カオル」
KEIGO 「危ない!」
場面74 KEIGOがカオリの腕をつかみ引き戻そうとした。同時にタケルがKEIGOの反対の腕をつかんだ。
場面75 カオリが悲しそうな顔で振り返った。
カオリ 「なんできたの?」
KEIGO 「一緒に帰ろう。」
タケル 「こっちが聞きてえよ!KEIGOさんぜってー離さないでくださいよ。俺も死んでも離しませんから。」
つづく
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