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ティラノサウルス

 僕は小さい頃、恐竜図鑑を読むことが好きだった。恐竜は単純に見た目がカッコよくて、迫力がある。それだけで僕は恐竜図鑑に釘付けになった。

 小学生の頃に恐竜の博物館に行ったことがある。色々な展示がされていたが、特に興味を持ったのはティラノサウルスの全身骨格だった。
 まず何と言ってもその大きさに驚いた。両手を目一杯広げてみても足のサイズには到底及ばなかった。そして、鋭く尖った、なんでも噛みちぎってしまいそうな歯。もし、この全身骨格が少しでも動いたら恐怖のあまり棒立ちになってしまうだろう。でも、動いたら動いたでそれは男心を擽ると言うか、ロマンがあると言うか、そんなに平静を装うことはできる気がしないがそんな気持ちも少しは芽生える可能性がある。

 幼少期の僕の心を掴んだティラノサウルスは今では姿形を変えて僕を魅了している。歯は端正に整えられて荒々しさが無くなり、頭を前後させないと歩くことができなかったのが今では前傾姿勢を保ったまま歩くことができている。

 現代のティラノサウルスは時代に伴って進化を遂げてきた。しかし、歩き方は白亜紀となんら変わらない。

 そんなこと考えながらも、目の前を通るティラノサウルスから僕は目を離せない。

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