『推し(オートエスノグラフィックな何か22)』
しんどくなると、聞ける音楽がクラシックのみになる。クラシックの交響曲の作曲家で一番好きなのは、ベートーヴェン。ピアノならショパン。王道。
私の世代の田舎の少女の強い味方は、FMラジオだった。私は『FMファン』というマニアックな雑誌を購読していて、毎月やってる表紙に載ったCDジャケットのプレゼント企画で、3枚くらい当てた。一枚は、マイケル・ジャクソンだったけど、後何かは忘れた。
テレビならNHK。クラシックの長ーい番組も、夜中のブロードウェイや映画の放映も、よく見ていた。アンドリュー・ロイド・ウェーバーも、中学の時には、一通り見終わっていた。ジュリー・アンドリュースが、めちゃ可愛いくて、女優の中で唯一好きになった人。でも、当時のイチオシは、ジーザス・クライスト・スーパースター。
大学院に進学して、レズビアンコミュニティに出入りするようになった当時、みんなの「推し」と言えば、西本智実だった。宝塚みたいに、役柄が男性とかではなく、ホンマもんの男装の麗人。美形。燕尾服を着て、シャギーに切った長めのボブを乱しながら、タクトを振って、オーケストラを率いるんである。痺れないわけがない。
クラシックのコンサートだから、静かに聞いているけれど、心の中で、みんな黄色い歓声を飛ばしていた。
もちろん、チケットを譲ってもらえる時は、お金がなかったなりに、なるべく私も参加して、一緒に並んで、握手して、CDにサインしてもらった。今も弱ると、カラヤンのではなく、西本智実のベートーヴェンの7番を聞く。
短いスカートを履いた中華系の人気ピアニストとかより、よっぽどエロかった。
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