『ニューハーフ(オートエスノグラフィックな何か 34)』
ご飯を食べる気力がなくて抜いたり、お金がなくて抜いたりする生活だけれど、日本語で日本の人たちにメッセージしても埒が明かないと、やっと諦めがついて英語に切り替えた。一歩一歩進んでいる。それもまた、プロセス。春にジュリアに懺悔してから一年。パブリックにアウトしてから7ヶ月。それなりのスピードで進んでいて、かなり頑張ってると思う。
ドラァグの皆さんは、一律に、とにかくショーを見に行き、誰とでも話せ、と、つまりショーアップせよと、アドバイスする。もともとそういうつもりだったし、今晩は、友だちのショーにやって来た。そして、トランスマキュリンなのに、まるっきりニューハーフみないなパフォーマンスをするドラァグに、また会った。
彼女のパフォーマンス中に、ボロボロ泣いた。この人を見て、去年こちらに引っ越そうと画策したんだった、と。部屋も見つけて、1ヶ月借りてみたんだった、と。
怒られると思うけれど、女だったら良かったのにと苦しむニューハーフになれたら、自分が、そんなトランス女性なら、どんなに良かったかと、思っていたのに気がついた。若い頃からずっと、ものすごく、ニューハーフに憧れていた。女として女であることに苦しむのは、辛すぎた。ハスキーボイスで、細身の、しかし骨格のしっかりした、背の高い身体を手に入れたいと熱望したんだった。
それに、ニューハーフって、バーレスクパフォーマーとして、めちゃイケてるんである。
私がドラァグではクイーンをやりたいと言うと、みんな???キングじゃなくて???ってなっていたけれど、既に居るんである!しかも、すごい上手が。理想通りの、完璧な、トランスマスクのドラァグクイーン。他にも居るのは心強い、弟子入りしよう、この人にドラァグチャイルドとしてアダプトしてもらおう、そう思ったんだった。
彼女は、泣いている私にもちろん気がついていたけれど、話しかけるのは今度にして、彼女に話しかけられても、ただ頷いて、ニコニコしただけにした。
彼女の友だちが手術するのに、チップとは別にドネーションを募って、バケツを持っていた。私は晩御飯を食べるお金もなくて、お腹ペコペコだったけれど、帰りのバス代だけ取っておかせてもらい、ありったけの小銭をバケツに入れた。
これが、私たちの金銭感覚。私たちの金回り。ドラァグは、衣装代とか、めちゃお金がかかるし、トランスは、そもそも高くつくんである。
帰りにバスを待ってたら、ド派手な格好をしているルーミーに会い、どこ行ってたの?と聞いたら、ちょっと薬局にって、買い物するのにショーアップしてる彼を見習わないと、である。
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