『なぜ寄付の求めを続けているのか(セクシュアリティ考10)』
寄付していただけるにせよ、していただけないにせよ、返信をいただいた人たちとのやり取りから考えたことについて、です。
まず、一つはバウンダリーというものに関わること、もう一つは信頼というものに関わること。
1 バウンダリー
まず、通常、お願いしないようなことをお願いして、それについて対応するというやり取りは、互いのバウンダリーに関わる。
私は、なるべくオフェンシブにお願いすることにならないようにメッセージを書くようにしていた。なぜなら、その人の何かを分けてほしいとお願いするのは、その人の領域に、ある意味で踏み込む行為だからだ。
だから「あなたならしてくれるはずだと思った」とか「社会正義のためにするべきなのに」みたいなことは、書かない。それは、断ることをしにくくさせる行為であり、また相手のバウンダリーに食い込んでいくものであり得るからだ。
それに対して、無理ならノーと言うのが、やり取りとしては適切である。そのノーをなるべく言いやすくするが、しかし、お願いが可能な辺りに調整をする。それが、私がバウンダリーに関して試みていることだ。
ごめんねと返事をくれる人も沢山いる。理由を添えてくれることが多い。そうすると、私はノーと言って理由を教えてくれたことに感謝し、その旨を伝えて終わる。その後に続けて、お願いを重ねることもできるが、先に書いた理由で、今は自粛をしている。
さて、ここで、私のお願いに返信をしないことが何をすることになっているのか、を考えてみたい。何もしないこととは、何もしないという活動だ。つまり、何もしないことを「すること」だというのが、私の会話分析的な理解だ。何もしないことは、不在を作り出す、という意味の行為でありえる。行為としては「無視」にあたるだろう。
それは、頼みにくいことを何とか頑張って頼んでいる、加えて、オフェンシブにならないように試みている私にとっては、極めてオフェンシブに感じられる行為である。無視を突きつけられることになるからだ。
しかも、メッセージの中で起こるそれは、遅延と区別がしにくい。人によって返信をする速度が様々なせいだ。すぐ、のことも、1週間後のこともあり得る。そのため、私は「待つ」という行為を継続して行い、ある時点で「諦める」必要がある。それらを不当に思うことを解消しようと試みる中で行わなくてはならないから、余計に不当だという思いが募ってしまう。そうすると、それは私にとっては、更なる侵害として経験される。
だからこそ、ここでの無視というのが人を殺すことがあるし、そのために、敢えて選択される制裁でありえるのだ。
まさに、その制裁に対するアンチが、私にドネーションの要求を継続させている。私にとっては、日本社会への不当性の訴えに、無視により更に制裁を加えられたことによるファイトバックが、更なるドネーションの要求になっていると思う。つまり、私は日本の人たちについて、ある種の運動を継続して展開してしまっているわけ、ですね。
バウンダリーというものの管理について、日本では、そのものとして考えることがメジャーではないので、適切な処理の仕方が、みんなわかってないのかもしれないし、そのために傷ついついる私みたいな人は沢山いそうだ。
そういう傷ついた経験ゆえに、意識していなくてもバウンダリーキープをするのに、きちんと無理だと返信をしてくれる人たちのために、そして、無視という制裁を加えてくる人たちから身を守ってほしい私みたいな人たちのために、次の展開について考えたいと思います。
2 信頼
人を信頼できないという感覚は、傷つけられた経験から生じるのだと思う。なので、バウンダリーキープに失敗して、あるいは「無視」という形でも別な形でも、オフェンシブにバウンダリーを侵害されて傷ついた結果、人を信頼できなくなるということが往々にしてあり得る。だから、信頼を培うためにもバウンダリーをキープするための実践、練習、教育は重要だ。
これは、性的合意の文脈でならカナダでは理解は難しくなさそう。それを日常生活全般に応用すれば良い。しかし日本では、性的合意というのが極めて蔑ろにされており、その疎かにすること自体が、発情装置として極めて一般的に利用されている。嫌がっているのに性行為をするポルノが一般的なのに代表されるように。
この点を、まずは何とかしないといけないだろう。つまり性的合意への理解、その徹底が必要だということだ。そうして、この話はセクシュアリティ考というシリーズで書いていることの一つになる得る。
以上のように、性的合意の理解が日常生活全般で役立つ基礎的なものになり得る、バウンダリーを尊重するという考え方によって。ということを指摘して、今回は終わりにしたい。
活動の支援に、ぜひドネーションをよろしくお願いいたします。
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