落ち目の時に挫けるな(髀肉の嘆)
人間、よい時ばかりはない。むしろ、日のあたらない苦しい時のほうが多い。そして、よい時は誰でも張り切るが、落ち目になると意気消沈して活力を失ってしまうものだ。しかし、落ち目の時をどう過ごすかが、その後の人生の消長を決める。絶望したり自暴自棄になったのでは、チャンスが訪れても摑むことはできない。じっと我慢し、次の出番に備えてコツコツと実力を蓄えた者は、やはり日のあたる時に一気に大きく飛躍する。
中国・三国時代の初め頃、後に蜀の王となった劉備は雄飛の機会に恵まれず、荊州の劉表の所に身を寄せていた。ある日、劉表と酒を飲んでいた劉備は厠に行き、戻ってくると涙を流していた。劉表がわけを聞くと、「昔はいつも馬に乗っていたので股の肉(髀肉)が削げていた。ところが今見ると股に肉がついている。月日はどんどんたって年をとっていくというのに功業は立たない。それが悲しい」(三国志・蜀志)と嘆いた。
だが、劉備は志をますます固くし、やがて名参謀の諸葛孔明を得て天下に大きくはばたいていく。髀肉を嘆かないようになってはおしまいである。サラリーマンも、一度や二度の失敗で左遷させられても降格させられても、そんなことでへたばってはならない。「よし、五年先十年先を見ていろ」というくらいの大きさと気迫を持つことだ。
『ビジネス戦略を支える 中国名言の智慧』(窪島一系)より
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