熱帯にかけたい
森見登美彦さんの大ファンである私は、日々友人に魅力を語り尽くしています。
その甲斐あって、一人の友人が「熱帯」を貸してほしいと言ってくれました。
当時まだ文庫本は発売される前で、分厚い単行本を私は友人に貸しました。
あまりにも私が森見さんの魅力を語っていたので、友人は借りた「熱帯」を絶対に傷付けてはいけないと思い、外には持ち出さず、家の中だけで読むようにしていたそうです。
3ヶ月ほど経ったある日、友人から電話がかかってきました。
「ごめん、借りていた熱帯が返せなくなってしまった」
全力で謝る友人をよそに、私は「なんだか面白いことになったぞ!」と一人高揚していました。
「え!熱帯みたいにどこかに無くなったの?」と私。
「実はね、、、猫を飼い始めたんだけど、その子が粗相をしてしまって、、。」
トイレトレーニングのままならないその猫さんは、バッグや仕事道具などがある中、「熱帯」めがけて一直線におしっこをかけていったそう。
外にも持ち出さずに丁寧に読んでいた友人と、ほこらしげにおしっこをかけた猫さんを想像すると面白くて私はもちろん許したのですが、友人は貸した「熱帯」に加えて新品の「熱帯」も買って返してくれました。
そんなわけで我が家には単行本二冊、文庫本一冊の三冊の熱帯が肩を並べています。(少し異臭を漂わせながら)
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