コロ日記最終.おかえり
夫が退院してきた。
朝9時半に病院からタクシーに乗って帰ってきた夫は、ヒョコヒョコしていて声があまり出ていなかった。
人は2週間近くあまり食べずに寝ているとこうなるのだな。
7キロ痩せていても顔の大きさは変わらないので、体だけトリミングしたムク犬みたいだった。
白髪混じりのもみあげがモシャっとしていて北大路欣也みたいになっていた。
長男がお父さん!と抱きついて、次男は恥ずかしいのかチラ見してニヤニヤしていた。
二者二様。
そう、長男は家にいる。
陽性無症状者の家庭内隔離が無事終了し、予定では昨日から登校して良いのがコロナガイドラインのはずだが、また別のガイドラインが教育委員会には存在するらしい。
感染するとかしないとか、科学とか根拠とかではない「濃厚接触者がいる家庭の子どもは登校させない。万が一他の児童がコロナになった場合、その子が原因でじゃないかという偏見、イジメ、仲間外れなどの恐れ(※実例もあるらしい)があるため」とのこと。
「へーそうですかー」と無温度で担任からの連絡に答た。
ワカライでもないが、児童生徒の勉学機会を奪うには理由が情けないではないか。差別にイジメに仲間外れって、そこは教育者のあんたらが頑張らなあかんとこちゃうの?と思う。
まぁいいけど。
そんな訳で、夫が帰ってきて我が家は今週末まで家に全員集合していることに。
夫が入院していた病室には常時5名がいて、退院した人がいたら新しく入院する人が来ていたとのこと。
カーテンで仕切られた広めの空間に、たしかに人はいる気配はして、日々の看護師との検温のやりとりなどは聞こえてくるのに、一度しか同室の人を目で見なかったらしい。
フクヤマさん(仮名)という推定60歳ぐらい?の人の体温と酸素濃度が中々よくなっておらず、心配だと言っていた。
明らかに年配の人の方が治りが遅いのがよくわかったと。
うちの夫はレムデシビルと生理食塩水の点滴で快方し、無事に帰ってきたのですでに忘れそうになっているが、新型コロナウィルスはこわい。
高熱が続いていた夫は体内水分が経口摂取では追いつかないぐらい消耗していて、点滴で水分を直接体に入れることでようやく追いついた気がすると。あと、レムデシビルってエボラ出血熱の治療薬ってすごない?副作用で気持ち悪かったらしいです。
あと、ご飯が辛かったと。
入院初期は「どんぶりに、なみなみとつがれたお粥」が出てきたそうで「そんな人間な、お粥、腹一杯食える?」と言っていた。
爆笑した。
病院で食べて美味しいな、と思ったのは「カレー」と「シチュー」だそうで、味の濃い粘度の高い汁物の強さを思い知る。
ただしカレーについていた福神漬けがめちゃくちゃ不味くて、あんなもん不味く作ろうとする方が難しいやろうに「コピー用紙再利用して作ったんかと思った」と言っていた。
食べ物の例えにコピー用紙という言葉が使われたのを聞いたのが初めてだったのでまた爆笑した。
昼ごはんは夫のリクエストで豚カツ。キャベツとソースと辛子で食べたいと言うので叶えてあげた。
退院してきたばかりの人の胃腸に良いか悪いかは置いといて、人間いつどうなるかわからないのだから、頑張ってきた人が食べたいと思うものを食べさせてあげたい。
美味い美味いとしみじみしながら全部食べられていてよかった。
午後から4人でリハビリのため公園に行った。
人のいない公園で子らは水風船の投げ合いをしてびしょ濡れになりとても楽しそうだった。
まだやりたいというのを、今風邪引いたらややこしすぎるから打ち止め、と帰り風呂に入れた。
夜ご飯が決まらず、暑くてクーラーを入れた部屋でキムチ鍋をした。
みんなで同じ鍋の物が食べれる幸せよ。
明日からはまた、ちょっと変形ではあるけれど、日常がはじまる。
ご心配おかけしました。
いろんな励ましなどなどありがとうございました。
おわり。
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