勤路記52.透明な不穏

スエードっぽいジャケットを着て秋が盛り上がる。

空は青く高く、長男の着ている赤いTシャツがよく映えているのを追いかけ歩いた。

隣の町内会掲示板に不可思議かつ不穏な張り紙がしてあり、こんなに美しい空の下、地べたではいろんなことがあるもんだなぁ、ほんと、この地も彼の地もこの空の下だもんなぁと思い巡らせた。

先日の夜、次男が珍しく「怖くて寝れない」と私の布団に入ってきたことがあり、何が怖いかを話の中で探ると漠然とした世の中への怖さと不安だったようだ。そりゃ連日ニュースでおそろしいものが流れ、親が眉を顰め時には涙しながら「世の中どうなるんだ」と嘆いているのは子には不安だろう。

世界には、お父さんやお母さんにもどうしたらいいのかわからないことはたくさんあるが、とにかく何があっても守ってやるつもりでいると伝えた。

そのうちスースー寝だして私は押し出されたので、ぬいぐるみに占拠された次男の布団で寝た。

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