韓国の田舎を旅する方法プロローグ②~WWOOFのホストになる-2
ウーフを希望するウーファーには事前に細かな仕事内容とスケジュールを送っていました。
平日は主に農園の仕事、週末はレストランの仕事。
合間でゲストハウスの清掃など。
休みは基本水曜日と相談でもう1日。
忙しい時は6時間を超えてしまう日もあるかもしれないが、予め了承して欲しい旨などを事前に伝えていました。
ホストになり間もなくして韓国人の男の子が一人ウーフをしに来る事になりました。
歳は18歳で高校を卒業したばかり。独学で勉強したと言う日本語はとても流暢。
口数は多くなく、読書と古い音楽が好きでSNSは一切やらないと言う渋い若者。
実家は韓国の田舎で酪農をしていて、本当は大学に行きたいけど実家を継がなければならない。
先に軍隊を済ませてから実家を継ぐので、高校を卒業をし、まずは入隊するのだが、その前に3ヶ月自由に日本を旅する時間を与えてもらった、と言う話を毎日一緒に仕事をする中で教えてくれました。
まずは九州に降り立ち、南からウーフをしながら色々なところに立ち寄り北上する旅。
私たちの場所は彼にとって最後のウーフ場所だったのです。
彼が滞在していた5月は平日、週末関係なく1年で最も忙しい時期。
ご飯が遅くなってしまっても文句一つ言わず常に全力で仕事をしてくれた彼に私達は本当に感謝していました。
感謝と言えば、もう一つ。
その頃私は韓国の野菜を栽培していたのですが、その中の一つにエホバッと言う韓国のカボチャがありました。
韓国系スーパーに行くと日本でも売っているのですが、ズッキーニの様に長細いカボチャです。
長細いのには理由があって、まだ小さな芽のうちにビニールに入れて形を整えているからなのです。
この袋はどうしたって日本では手に入らないし韓国でもどこで売っているものなのか分からない。はてどうしたものかと考えている私の姿を見て「地元の村にあるからあげましょうか?」と提案してくれました。
私は半年に1度食材の買い出しで韓国に出張していたので、そのタイミングでソウルのホテルに送ってもらう事になりました。
そして出来上がったのがこちら↓
最後の日、ささやかな送別会の最中、無表情の彼が「ここでウーフが出来て良かったです」とぽそっと言いました。
「結局最後まで名前を覚えて貰えなかったホストもいたので。」
色々なウーファーがいて色々なホストがいる。こればっかりは相性だ、と言っては元も子もないけど、少なくとも私達と彼は相性が良かったのでしょう。だって、私達もあなたが来てくれて本当に良かったと思っているから。
翌日彼は新潟へ向けて旅立って行きました。
日本文学が好きな彼は、川端康成の「雪国」の舞台を目指して。