もう少しだけ
あんなに好きだった人をもう嫌いになるなんてことは出来ない。
ずっとその人のために行動していた。
その人の好きな服、好きな髪型、好きな色、好きな教科、好きな音楽、好きな本、好きな人
それだけを気にしていれば自分は自分で居られた。
頑張れば頑張った分だけあの人からの反応が返ってくる。
「その服いいね!」
「前髪切った?」
「俺もその色好きなんだ!」
「その部分なら教えられるよ」
「その曲好きなん?俺も!」
「あーその本はこの部分がいいよねー」
それが返ってくることが世界で1番嬉しかった
でも知っていた。
あの人の好きな人は私ではなく。
あの人は別の人が好きなことを。
それでも良かった。
いつかはいつかは
いつかはいつでも来ない。
私に似て諦めが悪い人だから、きっと好きな人のことを諦めはしない。
今は私は少しだけ諦めがいい人になった。
でもあの人の横顔を見る度に未だに恋をしている。
それでも傷つきたくないから、知らないフリをする。
愛していない、もう何も無い、何も無いはずなのに…
まだあの人は心の中に居座っている。好きなだけ居座っていていい。いつかはいなくなる人だから。