はじめて愛されて、パニック障害になりました。②
ある日突然、大学に行けなくなってカウンセラーに言われた一言は
君の彼氏が引き金をひいたんだね
でした。今日は彼と私の出会いのお話。
彼と付き合いだしたのは、大学一年生の6月でした。その当時彼は大学四年生。周囲からは随分の大恋愛だとでも思われていることでしょう。
でも実際、付き合うまで実際にあったのは2回。そもそも出会ったのが付き合う2週間くらい前という、スピード感でした。
大学入学後、私にあったのは圧倒的な実家からの開放感と、誰かといなければならないという焦燥感でした。
小学4年生から家を出たいと思い続けてようやく掴んだ自由と、人といるのが正義だという周囲の価値観の2つの熱に浮かされるような気持ちで、入学して2ヶ月後には、すっかり疲れ切っていました。
自分を押し殺して、キラキラした大学生を演じていた私に言い寄ってくる男性は、どこかみんな高圧的で、
『私が好きなのではなく、大学一年生と付き合いたいんだな』
とわかるような人ばかりでした。
それでも誰かと一緒にいたい。でも片想いなんていう曖昧な関係をもつ体力も気力も残っていない。
そんなときに声をかけてきたのが、彼でした。
産まれてこのかた
『いい子じゃないと、優等生じゃないと愛されない』
と思ってきた私に彼が言ったのは
どんなあなたでもいい。
ただ一緒にいられれば本当にそれだけでいい。
随分なキレイゴトだと、よくある口説き文句だなとそう思いました。
こんな私を愛せるわけがないでしょう?
半ばヤケだった私は、傍若無人に振る舞いました。
彼が家に来るからと言って、家を掃除することはない。
彼の好きなご飯をあえて作ることもない。
彼のスケジュールに、自分のスケジュールは合わせない。
他にも誰にも言わなかった自分の歪んだ部分、どろどろした部分をさらけだしました。
ほら。結局口だけでしょう?
いい子じゃない私を愛せるわけがないでしょう?
そう言ってやるつもりだったのに、彼は怒った顔も、悲しい顔も一つもせずに
関係ないよ。
俺が好きになったのはあなた全てなんだから。
と笑うのです。
はじめて、人といて『安心する』という感覚を理解した瞬間でした。
全てがいい方向に向かいそうな出会いでしたが、その後私を襲ったのは言い表せない不安でした。
それはもう自分では、抑えきれないほどの。
シンデレラストーリーでも、精神疾患の指南書でもない完全ノンフィクションの私の軌跡です。誰のためでもなく、私が忘れないために。それでもその過程で誰かをほんの少しでも勇気づけられたらなと思います。
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