【副業家とはずがたり】 実業と虚業の使い分け方
ふだんはサラリーマンをしている小塚井なので、取引先の社長さんとかから、人生のいろいろな知見を話してもらうことが多いのですが、とある社長さんが
「実業と虚業」
についてわりと哲学的に語っていたのが、印象的でした。
その社長さんというのは、元銀行員で、親が建築関係の仕事をしていた関係で、のちに地元に戻ってきて家業を継いだのだそうです。
でも、その娘さんは、今度は東京へ出てクリエーターとしてH報堂やらDN通みたいなところで働いているのだとか。
その社長さんは、
「うちの娘がやっとることはわからん」
と常々言っています。もちろん元銀行員なので、H報堂やDN通が何をやっている会社かは知っています。もっと奥深い話で、
「わしらが一軒一軒、家作り・モノ作りをして数十万とか、数百万もらうのは実業だけれど、あいつらは街頭ビジョンになんかよくわからん映像を何ヶ月か流せば、億が動く。うちの娘はクリエータと言いながら、何一つモノを作らず、億単位の金を動かしている。あんなのは虚業だ」
とおっしゃるのです。まあ、娘さんをディスっているというよりは、地方の実業で仕事をしている人と、東京の虚業で仕事をしている人の住む世界は違う、ということを言っているのです。
とまあ、↑のような文脈なので、わたくし小塚井もH報堂の人の仕事が偽りだとか、虚であるとか、そういうつもりは全然ありません。それはそういうセカイなのです。
穏便な言い方に直せば「直接モノ作り」をすれば、社長の言う「実業」であり、「直接モノ作りをしない」のであれば「虚業」というニュアンスで捉えればいいのではないかしら。
オンラインゲームを作っている会社も、批判的な意味では「虚業」のように言われることがあります。創造的クリエイションはたしかに行っているのだけれど、現実世界になにひとつ「モノ」を作り、「ブツ」を生み出していないのではないか?という批判です。デジタルデータは、モノなのか?という不安からの言説かもしれません。
ですが、副業家として小塚井が活動する際には、この「実業」と「虚業」のしくみと使い分けをしっかり考えるように気をつけています。
ネガティブイメージをなくした状態で、「実業」と「虚業」にはそれぞれ特徴があります。
◇「実業」 実体のあるモノを介するので、有機的に取引できる。
◇「実業」 実体があるがゆえに、物理的な制約を受ける。
◇「実業」 目で見てわかるので、収益につなげるのが早い
◆「虚業」 実体がないので、複製が利く。レバレッジが使える。
◆「虚業」 実体がないので、空間的・時間的な制約を受けない。
◆「虚業」 わかりにくく、当初は収益がでないが、バズればドカンと大きい。
「実業」の例では、何かノウハウをワープロで打って、印刷物として頒布しようとする場合を考えてください。コミケに持ってゆく薄い本でもいいし、コピー本でもいいです。必要な人のもとへ提示できれば、即座に買ってもらえたりします。しかし、物理的な冊数や、輸送手段など、制約も受けます。
サイン本などがいい例ですが、ただ書かれている内容のやりとり以外にも、売り手と書い手のつながりを深くすることもできます。
「虚業」の例では、同じ情報物をPDFで頒布する場合を考えます。複製にかかるコストがゼロで、このnoteのように、自動的に収益を集めることもできます。
しかし、情報商材を買うときのように、中身がわかりにくいので当初はあまり手にとってもらえないかもしれません。でも、その内容によってはヒットすればどこまでもダウンロード数は増えるでしょう。
このように、自分が副業をやっている、あるいはやろうとするときに、それが「実業」か「虚業」かを意識して、選択的に仕事をすることを戦術に取り入れれば、その収益をもっと増やすことができます。
本業のあとに、アルバイトに行っているような「実業」の場合は、時間数がどんどんとられてゆきます。しかし、実業は「早い」ので、明日からでもバイトの面接にいけます。
ブログで稼ごうと思っても「虚業」なので、かなりの間は現金になりません。しかし、当たればレバレッジを利かせることもできる、というわけです。
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