リアルよりリアリティ
プロレスを見ないあなたへ
皆さんはプロレス見ますか?
僕は好きなので結構見るんです。今年は平日で仕事との兼ね合いがつかず行けなかったですけど、「プロレスファンの初詣」こと新日の1.4東京ドームはここ数年欠かさず行っていますし、毎週のワールドプロレスリングも必ずチェックしています(とは言え、新日以外はなかなか見れてないのですが…)。
なぜプロレスを見るのか?それは、誇張抜きで、生きていく上で大切なことがたくさん詰め込まれているからです。
こんなことを僕が言っても、プロレスを批判する人はよく「本気でやってないんでしょ?八百長なんでしょ?」と言いますね。たしかに、ボクシングや柔道のような競技性の高いスポーツとは異なるエンターテイメントではあります。ただ、だからといって劣っているとはちっとも思いません。
プロレスとは「信頼のエンターテイメント」である。
「受けの美学」で成り立つプロレスは、相手がその攻撃を受けることができると信頼した上で、技を繰り出します。例えばですが、場外に空中殺法を仕掛ける場合、それがかわされてしまったら大怪我を負ってしまいます。
彼らは「相手が受けることを信頼」して空高く舞い上がる。敵だけど、ある種のパートナーなんです。これってすべての仕事に通じるものですよね。相手を叩きのめすことが仕事ではない、win-winな関係性になることこそが仕事ですよね?相手の良さをきちんと出させた上で、それ以上の良さで自分が勝つ。プロレスとはそういうエンターテイメントです。
リアルよりリアリティ
そして、プロレスが最も大切にすることの一つが「リアリティ」です。好き者の間では「説得力」と言いますが、痛そうな技・効きそうな技、まさに説得力がある技こそが大切であって、その技が本当に痛いかどうか、つまりリアルはどうでもいいわけです。
これって、今とても大切なことなんじゃないかと思うんですよね。今の世の中はリアルを求めすぎている気がします。別にいいじゃないですか、少しくらい騙されていたって。キレイな嘘にこそ、「美」があり「感動」があり「救い」がある。「ほんとうのこと」ってそんなに大切ですか?突き詰めたリアルには、悲劇や傷しか残らないんじゃないかと思ってしまいます。
世の中全体がもう少しプロレスを見る目を養って、リアルよりリアリティだと感じてもらえれば、いろんなことに優しくなれるんじゃないかな。信頼とは許すということでもあるわけですから。
ちなみに、Baba O'Riley(The Who)なリフに乗せたこの曲で、何度も何度も「リアルよりリアリティ」と繰り返すこの人。日本最高の詩人、甲本ヒロトもやはりプロレスファンです。最高。
14才/THE HIGH-LOWS