
【ST-Bridge連携で、〇〇できました】構造モデルからプレゼン用資料を作る
建築構造分野におけるデータのやり取りに使われるファイル形式の中で、ST-Bridgeファイルの知名度が高いのではないでしょうか。
最近、ST-Bridgeファイルは情報伝達フォーマットとして注目を集めています。多くのソフトが対応し、その有用性が広く認識されてきています。
効率的な情報伝達を実現し、様々な分野での応用が期待されています。
例えば、異なる構造計算ソフト間で、あるいは構造計算ソフトからBIMソフトに建物形状を受け渡す際に使われています。
ただ、ご自身の業務に生かす場が見つからず、
「ST-Bridgeファイルは知っているけど、誰かと連携しないから使わない」
というお声もいただきます。
使い方によって作業をスキルアップさせる便利なファイル形式であることが、あまり知られていないようです。
そこで、お一人でST-Bridgeファイルを使って作業されている方の例をお届けすることにします。
今回は構造モデラーと、建築BIM加速化事業の補助対象ソフトウェアi-ARMを使ったST-Bridge連携をお見せします。

ST-Bridgeファイルのデータ構成
ST-Bridgeファイルとは
日本国内の建築構造分野での情報交換のための標準フォーマット
構造計算に必要なデータの内、ST-Bridgeファイルに含まれる/含まれない情報を見てみましょう。
含まれる情報(2024.12現在)
・建物形状
節点、軸、層
・部材配置
柱、はり、床…等
・部材形状
断面リスト
含まれない情報(2024.12現在)
・荷重条件
外力、積載、特殊荷重…等
・計算条件
剛域、断面性能…等
ST-Bridgeファイルには計算データ編の仕様があるので、荷重条件や計算条件も含むことができます。ただし現時点(2024.12)で、計算データ編の読み書きに対応している製品はありません。
ST-Bridge XMLファイル仕様書 計算データ編(ver.2.1)
今回は、構造モデラーで計算した建物からST-Bridgeファイルを作成しますので、構造モデルから荷重条件、計算条件を抜いた建物形状がi-ARMに渡されることになります。
i-ARMで何をする?
今回は、提出資料で使う構造図の他、プレゼン用の3Dモデルを作成したいと思います。
ST-Bridgeファイルを読込むソフトに、構造システムグループ 建築ピボットの多機能設計支援ツールi-ARMを選びました。
実験としてi-ARMでST-Bridgeファイルを読み込んでみたところ、読込み時間が比較的短く、3Dモデルをスムーズに回転表示できたことが理由の一つです。

建物概要|構造種別:RC造,階数:35,スパン:8×2
PCスペック|CPU:Intel Core i7-11800H,メモリ:32G,ストレージ:950GB
(画面:i-ARM)
プレゼン資料の作成、法規チェックが得意ということなので、今回やりたいことに丁度良いですね。
ST-Bridgeファイルを出力する(構造モデラー)
構造モデラーはST-Bridgeファイルの読込み、出力の両方行えます。
今回はST-Bridgeファイルの出力に使います。

建物概要|構造種別:RC造,階数:5.スパン:3×5
(画面:構造モデラー)
「ST-Bridgeファイルの作成」コマンドを選択して出力条件を設定したら、
あっという間に作成されるので、コマンドを押すだけで作成できるという印象です。

(画面:構造モデラー)
ST-Bridgeファイルを読込む(i-ARM)
それでは、i-ARMでST-Bridgeファイルを読込んでみましょう。
i-ARMは、ST-Bridgeファイル形式 Ver.2.0.2に対応したバージョンをご利用ください。
新規ファイルを作成したら、先ほどのファイルを開きます。
ファイルを読込むと、3Dモデル、平面図、各階の3Dモデルが表示されます。

パースまたは平行投影表示を切り替えられます
(画面:i-ARM)

読込んだ段階で全階の表示ビューが作成されているので、階の切替表示がすぐに行えます
(画面:i-ARM)

雑壁など内壁が確認しやすそうです
(画面:i-ARM)
軸組図/プレゼン用3Dを作成する(i-ARM)
ST-Bridge連携において構造設計者にお勧めできる作業の展開として、構造図のCADファイルを作成すること、プレゼン用3Dを作成することが挙げられます。
まずは、軸組図をCAD出力します。
構造モデラーシリーズでも行えますが、今回はi-ARMを使ってやっていきましょう。
始めに通り芯を作成します。

(画面:i-ARM)

(画面:i-ARM)
次に軸組ビューを表示します。

(画面:i-ARM)

(画面:i-ARM)
表示されたX1通りの軸組図をCAD出力します。

(画面:i-ARM)
保存ファイル形式(2024.12現在)
DRA-CAD、AutoCAD、Jw_cad、SXF形式のファイルに対応しています。
対応ファイル形式:mpz, mps, dwg, dxf, jww, jwc, sfc, p21
これで、軸組図のCADファイルを作成できました。
情報ごとにレイヤ分けされているので、編集しやすいです。

(画面:dracad 2025)
プレゼン用の3Dは、部材のテクスチャ、背景画像を設定して作成します。

テクスチャや画像がすぐに表示に反映されるので、作業がスムーズに進みます。
3Dモデルの太陽光は日時を指定できるので「一番きれいに見える時間帯や季節を選びたい」といった欲が出て色々試したくなります。
ちなみに今回は秋の日差しを設定したので、背景に紅葉した樹木の周辺写真を使いました。

(画面:i-ARM)
ST-Bridge連携の活用として、構造図、プレゼン用画像の作成をご紹介しましたが、いかがでしたか?
ソフト間のデータ連携に取り組み始める時はソフト習得の手間がかかりますが、そのハードルを超えると作業の効率化だけでなく業務の幅を広げることができます。
ST-Bridge連携に挑戦してみませんか?