「エリザベート ガラ・コンサート」、“25年後の奇跡”に夢の配役も!
島田薫です。
“宝塚トーク”続きます!
4月5日の大阪公演で幕を開けた宝塚歌劇団OGを中心とした「エリザベート TAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサート」は、予定どおり、今月5日に東京公演で千秋楽を迎えました。
とはいえ、4月28日~5月5日は緊急事態宣言により公演中止。結局、上演できたのは19公演で、あとはライブ配信5本となりました。
当初から舞台仲間と「チケットを取れる気がしない」と言いながら何とか一日分を手にしていたのですが…。宝塚のチケットは手にするまでに気力・体力を人一倍使うので、中止のお知らせは落胆も大きいのです。
しかし、今回、私には配信という強い味方ができました。前回も「配信の楽しみ方」について少し書きましたが、楽な服装で好きなワインを飲みながら、気になるところをメモしたり、調べたり、自由にできるのもよきことかなと、このGWは配信ざんまいでした。
また、これまではアーカイブは残してほしい派でしたが、“生”しかないからこそ、集中して観られるのだと思うようになりました。ステイホームで比較的時間があったからこそではありますが。
前置きが長くなりましたが、私はこの「ガラ・コンサート」を4月28日と5月5日の2回、観劇しました。
まず、4月28日は「'96 星組ver.」です。
『エリザベート』は1992年にウィーンで生まれ、1996年にウィーン初のミュージカル輸出作品として世界に先駆け、宝塚歌劇団雪組で初演(トート役は一路真輝さん&エリザベート役は花總まりさん)されたもの。
同じ96年に星組で再演されたのですが、驚いたことに今回、トート役の麻路(あさじ)さきさん、エリザベート役の白城(しらき)あやかさんをはじめ、大方が当時のメンバーで再現されました。これは、25年経っての奇跡!これだけの年数を経ているので、容姿や声の出具合など変化があるのは当然ですが、それぞれが重ねてきた歴史や作品に対する思いなど、グッと来るものがありました。
その中でもひときわ目を引いたのが、白城さんです。中山秀征さんと結婚して4人の息子さんの母親であり、どちらかというと家庭を優先して表舞台にはあまり出てこない印象だったのですが、現役感バリバリでびっくりしました。いまだにスリムで声がかわいらしく、あすにでもまた舞台に立てそうです。現在星組の愛月ひかるさんの憧れであり、伝説の存在だけありますね。
一方、5月5日は「アニヴァーサリースペシャルver.」。
スペシャルにふさわしく、トート役は先月退団したばかりの望海風斗(のぞみ・ふうと)さん。エリザベート役には、昨年退団し、「おちょやん」や「コントが始まる」などドラマで活躍中の明日海(あすみ)りおさんと夢咲(ゆめさき)ねねさんが扮します。3人を含め、89期生率が高いです。
特に、望海さんと明日海さんは、雪組と花組の元トップスターで、夢のような配役。望海さんは今回が初のトート役で、トートを務めてきた明日海さんが相手役という、本当にスペシャルな企画です。
望海さんは今までトート役をしてこなかったのが信じられないほどのハマり役でした。稽古は2月から始まっていたそうですが、コロナの影響で4月まで退団公演があったため、遅れての稽古参加。にもかかわらず、見事に初トートを演じていました。
『最後のダンス』で、「お前は俺と踊る運命さ~」とニヤリと不敵な笑みを浮かべ、「俺さ!」で拳を振り上げて握った瞬間は心の中で大拍手でした!
明日海さんのエリザベートも、凛としていて、強さを感じられるものでした。よく卒業した男役のOG同士が「高い声が出るようになった」などと話していますが、明日海さんもあんなに高い声が出るとは。今回、数日前までトートをやっていたとは思えない振れ幅です。
この2人、身長はほぼ同じ(169cm)、同期であり宝塚音楽学校の寮では同室だったという家族のような関係。10代からともに学び、生活をし、隆盛を極めて一時代を築いてきただけに、退団後に共演している姿は、魂でつながっているような感動があります。
そして、終演後のあいさつにタカラジェンヌの魅力が詰まっていました。望海さんがとにかく謙虚で、全てにおいて感謝の気持ちを持っていることがよく分かります。
後列のメンバーにも話を振るのですが、話し出すと前列の先輩たちが一斉にさっとしゃがみ、見せ場を作ります。舞台上にいたオーケストラの指揮者を紹介する際にも、同時に全員がしゃがみ、少しでも見えやすいように気を配る。この動作が機敏で、シンクロしていて美しいのです。この精神と素早い行動力が、舞台上の魅力と並んで、私の最も好きなところかもしれません。
※写真は、東京公演の劇場となっていた東急シアターオーブから撮影した渋谷の街並みです