【米国株3/20~3/24まとめ】FOMCでは25bp利上げ決定。市場の利下げ織り込みとFRB「年内利下げなし」の乖離
こんにちは、Kojiです。
今週の3ポイント。
①銀行問題に対しては、流動性供給と預金者保護で対応
②FOMCで25bp利上げ決定、パウエルはインフレ退治に向けて金融政策を続行する意思
③パウエルは年内利下げなしと言明するが、市場は利下げを織り込む
金融システム不安に関しては週末のドイツ銀行で不安再燃したが、とりあえずは落ち着きを取り戻しそうだ。インフレ高止まりで金融政策進めたいが、先行き不透明で利上げが続けられるか舵取りが難しい環境になりました。
ニュースとチャートを振り返っていきたいと思います。
マーケットサマリ
3/20(月)
流動性供給について6中銀(FRB・ECB・日銀・英・カナダ・スイス)が協調行動。
UBSが守られるが、投資家が守れないことに不安が募りリスクオフ。
ラガルド総裁が発言。
・インフレが長期にわたって過度に高い水準で推移すると予想
・ユーロ圏の銀行セクターは強固である
・必要に応じて流動性を提供するために準備
3/21(火)
中古住宅販売件数は予想上振れ。
前回 400万件 予想 420万件 結果 458万件
前月比 前回 -0.7% 予想 5.0% 結果14.5%
イエレン財務長官
・小規模な金融機関が預金流出に見舞われ、それが伝染のリスクをもたらす場合、預金者を保護するための同様の措置が正当化される可能性がある。
・預金者を保護するための措置は、米国の銀行システムを保護することを目的としたもの
3/22(水)
FOMCは25bp利上げに決定。
パウエル
・われわれは物価安定の回復にコミットしている。われわれがそうすると国民が信頼していることは、あらゆる証拠が示している
・必要に応じて一段と金利を引き上げる用意がある
・米国の銀行システムは健全かつ強靱だと強調
・金融安定を維持するため、金融当局にはあらゆる手段を活用する用意がある
・いくらかの追加引き締めが適切となる可能性を見込む
・年内の利下げは見込んでいない
基本的にはメインイシューだったインフレ退治と経済については金融政策を続行する方向。「いくらかの」「可能性」との文言で、利上げ停止が近づいてきたことを示唆。
イエレン財務長官
・全面的な預金保険を提供することを規制当局が検討していない
・破綻した銀行の株主や債券保有者を政府が保護することはないと明確にしておくのが大事だ
3/23(木)
3/24(金)
ドイツ銀行はTier2劣後債を早期償還すると発表。同行のCDSは上昇。
欧州時間帯に金融不安再燃で指数は下げた。
ブラード総裁
・インフレ率は高すぎるが、マクロ経済データは予想以上に強い。
・米国の銀行システムは依然として非常に強く、弾力的であり、非常に良い状態にあります。
・2023年末の金利を25bp引き上げ、5%から5.75%の範囲
➡報道ではブラードは5.625%予想で以前の予想より25bp上方修正。
銀行問題はイエレンを始め個別対策を行い、FRBは主題のインフレ退治に向けて金融政策を行う方針が見える。
PMIは予想上振れで強い。
「銀行セクターの現状を議論し、一部機関はストレスを受ける状況になったが、米銀行システムは引き続き健全かつ強靭」
「FSOCは金融動向を監督するために加盟機関が現在進めている取り組みについても議論」
FRBはバランスシートを減らせない
銀行問題への対応でFRBは資金供給したため、QTを打ち消し。バランスシート拡大の流れは今週も続いています。
FF金利予想は利上げ停止➡4.75%を6月まで維持➡7月から利下げを織り込む
市場は銀行問題に対して現状の対策では解決できないと考え(?)、利下げを織り込む。Fed高官は銀行問題は現状対策、インフレが高すぎるから金融政策やるよ。今年は利下げしないよとメッセージング。
市場の織り込みとFRBの金融政策に乖離が出ています。指数株価は下げきらず金利織り込みでレンジ推移しているが、乖離した状況から歩み寄るタイミングが来たときに変化が起きるかもしれない。
10年金利は一時3.285%に低下で、前回安値を下回った
今週も利下げ織り込み・債券への避難。2年金利主導で低下。この先、金利低下が続く場合は、3.25%で反発するか下抜けるかはテクニカルでは重要ポイント。
実質金利も1.16%に低下
最新の3/24数値は1.16(チャートは1~2日遅れ)
先週末に比べ期待インフレ率が上がっていて、実質金利の低下に拍車をかける。
ドルインデックスは下落継続
先週から続けて下落は続いてる。木金で反発。
ドル円は週足で見ると三尊の右肩を形成中である。
このまま三尊完成するか?!
S&P500(週+1.39%)
週足
今週は先週より出来高が減少したが、高値切り上げ・安値切り上げの陽線。3/6週の高値を目指したが、長めの上ヒゲで跳ね返された。
Fedピボット期待の金利低下で上げ続けているが、銀行銘柄も含むS&P500は上値が重い。結果としては4,000前後での上下動で終始している。
日足
今週の振り返り
【月曜】
金融不安が一服して安心感が醸成されてきた。トレンドライン(赤色直線)からは上に離れ、SMA200の上に乗った形で引け。
【火曜】
水曜のFOMCの結果を待つ日となるが、イエレンが預金者保護表明で金融不安後退。S&P500は節目の4,000を上回り、EMA200に到着。
【水曜】
FOMCの政策金利の発表とパウエルの会見がありました。一時はフィボナッチの61.8%近くまで上昇したが、EMA200を実体で上抜けられず。レジスタンスラインから反落スタートでSMA200まで下落。FOMC前後で反応は違うことも多々あるので、木曜の値動きを捉える必要がある。
【木曜】
水曜の高値を目指すかと思われたが、1段下のフィボナッチ50%ラインから反落を始めて、FOMC後は下落の小波を形成している。
【金曜】
SMA200を大きく下回るほどの下落余地なく小波の下値となっている。金曜はフィボナッチ23.6%まで下がることなく反発して、38.2%の上まで上昇できた。上値も下値も限定的な動きで終了した週でした。
次週のシナリオ
①金融システム不安が落ち着く場合
ドイツ銀行が次の標的のように市場の動揺を誘われていたが、週末には指数の落ち着きを取り戻していた。
銀行問題が落ち着いてくるならば、再びEMA200超え→レジスタンスラインをテストする可能性がある。ただし10年金利の急な上昇がないことは前提。
②悪材料が出てきてリスクオフの場合
銀行問題の悪材料が再び出てリスクオフになる場合は、SMA200を実体で下回るかを確認したい。下回る場合は、下のサポートライン→前回安値3,808の順でテストとなる。
MA200より上にあるS&P500銘柄
先週末37.37%➡今週末40%(+2.63pt)
横ばい。
ナスダック100先物(週+2.26%)
週足
Fedピボット期待の金利低下・メガテック主導のリバウンドは継続。S&P500と比べ相対的に好調なチャート。今週はレジスタンスラインを上抜けて、高値切り上げ・安値切り上げの陽線。8月高値~10月安値までで引いたフィボナッチの78.6%をあと少しで取り返せる位置まで来ました。
ただし、上昇したものの9月高値付近の紫色のボックス圏が2022年から続くレジスタンスゾーン。このゾーンを上抜けられず上ひげで反落した形となっている。次週以降も上がるとしても、このレジスタンスゾーンを抜けることが条件となる。
日足
今週の振り返り
【月曜】 下ヒゲをつけてレジスタンスラインへのテストを試す形。
【火曜】
レジスタンスラインを試したが寄り天で一時反落。イエレンの預金者保護表明後、レジスタンスラインを上抜けて上昇。
【水曜】
S&P500と同様、FOMCの政策金利の発表、パウエルの会見を受けて、9月高値・2月高値を超えたが、その後反落し火曜の上昇を打ち消した。ローソク足は長い上ヒゲとなった。
【木曜】
9月高値を上回ったところまで上昇するがまたも上ヒゲをつけて一服。レジスタンスゾーン(紫色のボックス)は上値が重くなる場所。
【金曜】
一時は下ヒゲをつけて下がったが、小幅に上昇で終了。レジスタンスゾーンを試すほどの上げ幅はつくれなかった。
一週間を通しては上昇気流が終わらずにEMAは上向きで進捗している。
次週のシナリオ
①上昇が継続する場合
現在は中途半端な位置にいるので、最低でもレジスタンスゾーン(紫色のボックス)=3/22高値を実体で上回ることを確認してからポジションを取ったほうがいい。
※レジスタンスゾーンは上値が重くなり反落しやすいポイントなので値動きに注意。
上抜けできると次の狙い目は8月高値≒13,750付近となる。ここまで上がる好材料は前提として必要に思う。
また押し目を作るときは3/22安値付近で値が止まるかを確認。止まらない場合は、フィボナッチ61.8%→50%と値が止まるポイント探しとなる。
②悪材料でリスクオフとなる場合
フィボナッチ50%で止まらないとなれば、EMA200付近が下げ止まりとなるかが最初のテストポイント。
EMA200を下抜けると23.6%ラインが見える。ただしかなりの値幅があるので相当な悪材料がないと実現しない。
①②いずれも上下するためには現状は材料不足。次週どんな材料が出てくるか見届けたい。
MA200より上にあるナスダック100銘柄
先週末57.42%➡59.4今週末%(+1.98pt)
微増。
セクター
メガテックを避難先にした逃避買いが継続か
ただ金曜はディフェンシブがアウトパフォーム。
銀行はまだ下落中。
各種指標
Fear&Greed Index
Extreme Fear→Fear(前週25➡今週33着地)
Put/Call Ratio(Equities)
週初めから週末にかけて上昇しているが、水準は安定ゾーン。
機関投資家センチメント NAAIM Exposure Index
前々週 60.11➡ 前週 41.92 ➡ 3月22日時点 53.21(+11.29pt)
炭鉱のカナリア ハイイールド債HYG
銀行問題で上下忙しいが、週末引けは横ばい。
個別株の決算発表
CSIQ カナディアン・ソーラー
ガイダンスミス
NKE ナイキ
クリア
決算発表予定
3/27週の予定
イベント
3月30日 GDP
3月31日 PCE
アノマリー
新月相場(3月22日~4月5日)
おわりに
今回のFOMCでは銀行問題があったので25bpに決定したが、インフレ退治は長期戦になりそうで不透明感が強まりました。しかし銀行問題が要因で利上げがしにくい状況にもなったと言えます。
市場の「利下げ期待」とFedの「年内利下げなし」がどこで歩み寄るのか。10年金利が3.25%を下回るかどうかが次週以降の注目ポイントと見てます。
次の記事を書く励み、定期的に更新するモチベーションになっています。 サポートしていただけたら、投資・チャート分析のインプットに役立てたいです。