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七夕の思い出/りこちゃんと魔法の傘 11

今日もまた朝から雨が降ったり、止んだり、傘が手放せない空模様です。

「ずっと前、七夕飾りを持ち帰って来る時に、傘を忘れちゃって、それで降られたことがあったよね。」
「そうだ、そんなこともあったね。」
こざる達、うんうん頷きます。

「りこちゃんと 僕たちで デパートに出かけたことがあって、あれは何でだったっけ?」
「お中元を送ろうって、デパートに行ったんだよ。」
「そうだったね。」

まだネットで商品を送るなんてことがなかった時代です。
りこちゃんと こざる達は、お中元の品物を選んで、送る手配を無事に済ませました。
そして、デパートの出口へ向かっていって、

「ちょうど七夕前で、イベントをやっていたんだよね。」
「綺麗な七夕飾りや、あちこちの地方の綺麗な和紙や、手紙セットや、そういうものが沢山あったんだ。」
「僕たち、そういうの大好きだから、わーいって見入っちゃって、それでいくつか買ったんだよね。」
「そしたら、笹もあって、大きいものは持って帰れないけれど、小振りなものならいいんじゃないって買って…」

りこちゃんも こざる達も、ワクワク、何だか嬉しくなりました。

「それで僕たちが笹を持って帰り道、電車に乗っている時は晴れていたのに、地元の駅についたら雨雲が空を覆っていて…」
ポツポツ雨が降り始めました。

「えー、傘持ってないよーって慌てたら、りこちゃんがパッと傘を差したんだよね。」

りこちゃんは、ちゃんと明るい水色の傘を持っていました。

「それで、りこちゃんの傘に笹を入れてもらって、それほどザーザー降りにはならなかったから、僕たちは ちょっと濡れたけど」
「りこちゃんと 笹は無事に濡れずに家に着いたんだ!」

りこちゃんの傘があると、何だか楽しくなるのです。
そして 大したことでなくても、いい思い出となります。

話は続きます。


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