ちょっと難ありに福がある
「ななちゃんからの荷物、届いたよー。」
雨がずっと降り続いている寒い土曜日です。
こざるカフェに、りこちゃんの昔からの友人の ななちゃんから宅配便が届きました。
ななちゃんは、りこちゃんよりもずっと年下の 若いお嬢さんです。
昔、りこちゃんがツアー旅行に参加した時に出会って、仲良しになりました。
「ディズニーランドに行ってきて、お土産を送るってメールに書いてあったけど、開けてみようよ。」
こざる達は早速、開けてみます。
「わぁ、ディズニーの袋だ!」
「もうこの袋だけで、嬉しいよ!」
「あー、クリスマスのお菓子だ!」
ミッキーマウスたちの可愛いクリスマスのお菓子缶が出てきました。
「わぁ、嬉しいねー。」
「うん、りこちゃんも大喜びするね!」
皆、うんうん頷きます。
「あ! ミッキーだー!」
こざるちゃんが違う袋の中を見てみると、ミッキーマウスのぬいぐるみが入っていました。
「かわいいねー!」
「いいね!」
「ななちゃんが、よく見ないで買ってきたら、ちょっと足のところに難ありで、ってメールに書いてあったけど、そんな風に見えないよね。」
「うん、言われてみると、右足はちょっと角っぽいけど、左足は丸いかな?」
こざる達は、ミッキーの足をよく見てみます。
「左右対称じゃないかもしれないけど、でも全く問題ないよね。」
「うん、ちっとも"難あり"じゃないよ。」
ななちゃんからのメールには、ちょっと左右が違う感じだけれど、でも りこちゃんにと思って買ったので送ります、とありました。
「全く問題ないよね。」
「うん、りこちゃん、またまた大喜びだよ!」
「ななちゃんに、ちっとも問題ないよって連絡しよう。」
皆、うんうん頷きます。
「ぼく達、ぬいぐるみを選ぶ時に、もし"ちょっと難あり"があったら、そっちを選ぶよね。」
「うん。」
「だって、皆が普通のものを選んで買っていったら、その子が最後まで残ってしまうかもしれないからね。」
「そう、売れ残っちゃうと可哀想だから。」
もちろん、明らかに不良品というものは、店頭には並びません。
「でも可哀想だから選ぶんじゃないよね。」
「そう! ぼく達、なんとなく、そういうものに愛嬌を感じるんだよね。」
「うん、二枚目よりも、三枚目だよ!」
ラジオから元気よく歌が流れてきます。
「ぽくらのクラブのリーダーはミッキーマウス ミッキーマウス
ミッキー ミッキーマウス
強くて明るい元気者 ミッキーマウス ミッキーマウス
ミッキー ミッキーマウス」
『ミッキーマウス・マーチ』です。
「 りこちゃんに見せに行ってくる!」
こざるちゃんが嬉しそうに歌いながら りこちゃんの部屋へ向かいます。
「みんなで楽しいジャンボリー
ミッキーマウス ミッキーマウス
ミッキー ミッキーマウス」
「りこちゃーん、ななちゃんがプレゼント、送ってくれたよー! りこちゃんにって送ってくれたよ!」
こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。
読んで下さって、どうもありがとうございます。
残り物には福がある、です。
よい毎日でありますように (^_^)