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雪にならなかった日のケーキ

「また降ってきたよー。」
「大雨じゃないけれど、結構 よく降るね。」
「都心は初雪だったんだって!」

こざるカフェがある地域は雪にはならず、寒い雨の一日となりました。
そんな今日も りこちゃんと こざる達は、いつものように 皆で夕飯を楽しく食べて、
いつものように お茶を飲みました。
りこちゃんは、もうスースーと よく寝ています。
そして こざる達は いつものように コーヒーを飲みながら のんびり おしゃべりタイムです。

「さっきのケーキ、美味しかったねー。」
皆、うんうん頷きます。
夕食後のデザートに 皆で食べたチーズケーキが とても美味しかったのです。

「もし雪が降ってたら….。」
こざるちゃんは そう言って、一冊の本を持ってきて 読み始めました。

「『雪とケーキ』
遠い町まで レッスンに出掛けたが
雪のためにバスが遅れ
いつもの町で雪の日、
ということになった。
ケーキが並んだガラスケースと
ガラス窓いっぱいに、
コーンフレークのような大粒の雪が
降っていた。

何かがだめになることで
もたらされるものがある。

熱いコーヒーの後に温かい朝食をとって、
雪を見ていた。
瞳だけでなく顔にも手にも
セーターにも映っていた雪。
ガラスの棚にならんだ
ケーキといっしょにずっと
雪を見ていた。
ケースの中にも、
粉砂糖の雪が少し積もっていて。

空気をたくさん含んで柔らかくなった
丁度よい甘さのケーキ。
ひとつひとつがべつべつに
「おいしい」
とささやかれて
夜までにはみんな
すっかり
きえてゆくケーキ。

ケーキといっしょに雪を見ていた。
灰色の空から降ってくる
真っ白い雪を見ていた。」

「片山令子さんの『雪とケーキ』だね。」
「うん、そう!」
「何かがだめになることで、もたらされるものがある。」
「その通りかもしれないね。」

ラジオからは、コロナ関連のニュースが ずっと流れています。
日に日に感染拡大が広がっていっています。

「これから、どうなっちやうのかなぁ。」
「今はずっと感染者が増え続けているけれど。」
「感染拡大を広げるのも、食い止めるのも、僕たち皆の行動次第なんじゃない?」
「誰かはやるけれど、別の誰かは あまりやらないとかじゃくて、皆でやらなくちゃってことだね。」
「日本だけではなく、世界の全ての国々でだよ。」

先進国だけ食い止めても、同じ地球上の国々全てでないと 感染病はまたどこからか入ってきます。

「今は とにかく感染を収束に向かわせないとならないけれど、コロナをきっかけとして、たくさんの問題が浮き彫りになったよね。」
「皆の生活が もっと楽にならないと!」
こざる達、うんうん頷きます。

無理して頑張って何とかしてきた人達、とても多いと思います。

「日本は経済大国のはずなんだから、もっともっと 皆の生活が楽になって、豊かにならないと。」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
よい毎日でありますように (^_^)

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