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たった1時間の新入社員オリエンテーションで離職率は激減する
新入社員はしばしば、「早く会社に貢献できるようにがんばります」と宣言し、会社もその姿勢を歓迎します。しかしこれは間違った態度であるだけでなく、組織の競争力を低下させてしまうことがあるのです。
特に新入社員オリエンテーションでは、気を付けなくてはいけません。
2種類の異なるオリエンテーション
ロンドン・ビジネススクールの組織行動学者ダニエル・ケーブルらは、新入社員に行うオリエンテーションが、その後どのように従業員に影響を与えるか調査しました。
ダニエル教授らは、インドにある大手IT企業「ウィプロ」のコールセンターに勤務する新入社員をランダムに2つのグループに分け、それぞれ異なるオリエンテーションを行いました。
1つ目のグループは「組織重視」と名付けられ、ウィプロの幹部社員が1時間にわたり、次のようなオリエンテーションが行われました。
「ウィプロの特徴や強みはなにか、なぜウィプロが傑出した組織なのか。会社の価値についてじっくり考え、自分がウィプロの一員であることに誇りを持つのは、会社のどんな状況か思いを巡らせるように」
そして社名が入った制服とバッチが手渡され、研修期間中はできるだけ身につけるように指示されました。
もう一方のグループは対照的に「個人重視」と名付けられ、オリエンテーションでは次のようなことが強調されました。
「ウィプロで働けば従業員一人ひとりに自分らしさを発揮する機会が与えられ、各自が成長する好機が生み出される。自分独自の能力や特徴についてよく考え、そうした資質をどうすれば新しい仕事のなかで発揮できるか検討するように」
そして、個人の名前が記された制服とバッチを研修期間中は着用するよう言われました。
「個人重視」が離職を減らし、業績をアップさせる
それから7か月後、離職率を調べてみると、「個人重視」の離職率は「組織重視」と比べてなんと60%も低かったのです!それだけでなく、顧客満足に基づく業績評価においても「個人重視」のほうがあきらかに優っていたのです。
人がある組織に属するときに、その決定を自分の個性と強みを発揮する“手段”としてとらえたほうが、組織のために自分の資質を投じようとするより、結果的に組織に貢献することができるのです。
企業が新人社員に早く貢献してもらおうと、組織への同質化を強調するのではなく、新入社員の個性を大切にし、個々の成長を促すよう働きかけることが大切なのです。