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腐ったリンゴがチームのパフォーマンスを下げるのは科学的にも本当だった!
なにをするにしても文句ばかり言う人が、あなたの周りにもいるかもしれません。そういうメンバーが一人でもいるチームは、まさに「腐ったリンゴ」のごとくチーム全体の生産性を低下させてしまうことが、研究からも証明されています。
腐ったリンゴがチームのパフォーマンスを下げる
サウスウェールズ大学の行動科学者ウィル・フェルプスは、実験参加者をチームに分け、マーケティング戦略を立てるという課題にチャレンジしてもらいました。
そのチームのなかには俳優が混ざり込んでおり、「腐ったリンゴ」の役を演じてもらいました。彼は課題に関心を持たずテーブルの上に足を投げ出すと、スマホをいじり、「本気で言ってるのか」「これまで経営学の授業を取ったことがないのか」などと、他の参加者をバカにするような態度をとりました。
また別のチームに送り込まれた俳優は、「課題が難しすぎる」「このチームにできるわけがない」などと、悲観的な発言を繰り返しました。
すると、たった一人でも否定的なメンバーがいたチームは、そうでなかったチームに比べて成績が30~40%も低下してしまったのです。
実験はわずか45分の間でしたが、負の影響はあっという間にほかのメンバーに伝わり、やる気は失せ、最初は意欲的だった者まで「こんな課題はどうでもいい」などと言い出すほどでした。
まさに「腐ったリンゴ」のごとく、チーム全体を汚染してしまったのです。
腐ったリンゴからチームを守る
ところが何度か実験を繰り返すと、そんな攻撃に関係なくパフォーマンスを下げないチームがあることに気付きました。それは腐ったリンゴを無効化するあるタイプの人間が存在するチームだったのです。そのタイプとは、ニコニコ話を聞き、それでもブレずに目標に向かう人でした。
彼は、腐ったリンゴが悪態をついても動じることなく、ニコニコと話を聞きます。
「じゃあ、どうしようか」
「ところで、どうしたら目標が達成できると思う?」
そんなふうに大変穏やかに接しながら、課題に向かい続けます。それによりチームの緊張はやわらぎ、チームの雰囲気は悪化しなかったのです。
攻撃的な言葉をメンバーの誰かが言い出しても否定せず、それをポジティブな言葉に変え課題に向かうは、簡単なことではありません。ある意味大人な対応といえるでしょう(私ならすぐにカッとなってしまうかもしれません)。しかしそういった対応が腐ったリンゴからチームを守るのです。