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【レポート】坊チェラー#01「怒る人から怒りを観る人へ」

こんにちは、七万寺のこうゆうです。苦悩渦巻くこの娑婆世界のなかで、お坊さんとして悩み苦しむ方に寄り添いたいと願い、『坊チェラー』を開催しています。今回は先日開催された『坊チェラー#01』の様子をレポートします。

進め方

『坊チェラー』は「人間むき出し、相談サバイバル」。匿名で複数人のお坊さんへ、リアルなお悩み相談・人生相談ができるオンライン番組です。

1回1時間程度の番組で、下記の順番で進行していきます。
1)相談者は、リアルな悩みを打ち明ける
2)お坊さんは、相談に対する深イイ言葉をフリップに書く
3)相談者は、気になる言葉を3つ選ぶ
4)選ばれた3人のお坊さんは、その想いを語る
5)相談者は「最高の坊主=MVB」を選ぶ
〜番組終了後〜
6)相談者は、七万寺にOFUSEを使ってお布施
7)相談者が特定できない形に編集して、後日動画配信(許諾者のみ)

レポート

今回の参加者のみなさんは下記のとおりです。
▶相談者:むろさん
▶聞き手:ならんちゃ
▶回答者(お坊さん):こうゆう、じきどう、だいち、ゆい、ちしょう、ズイキ、いっせー

自己紹介・進行の説明
回答者であるお坊さんたちと、聞き手が簡単に自己紹介します。番組の進行が説明されます。

お悩み相談
相談者のむろさんが聞き手のならんちゃに相談事を打ち明けます。一通りお話ししてもらった後に、お坊さんが相談者に質問します。

むろさんの相談内容
「怒りの瞬発力が低いのが悩みです。瞬発力を上げるべきでしょうか?それとも私はこのままのほうがいいんでしょうか?」
「気に食わないことを言われたことに気づくのにタイムラグがあります。先輩に「遊びで仕事やってんじゃねーよ」と言われましたが、その場で怒ることができませんでした。」
「気になったことがあっても、その場で怒るのではなく、そのことを人に相談することで、後から怒るべきだったと思うことがあります。」
「ただ、気に食わないことをいってきた人を怒りたかったと思う反面、怒ってその人のことを嫌いにってしまうことにも抵抗があります。嫌いになって、交流が減って学ぶことが減るのは嫌だなと思います。」
「怒れなかったことに後悔した経験もあります。職場の人が、人間関係で理不尽なことに巻き込まれていましたが、そのことで怒れなかったことを後悔しています。」
「怒れる時には怒りたいと思うんです。」
「自分に対しての理不尽は、すぐその場ではなく、後から誰かに話すことで怒りに気付くことがあります。ただ、現状は、自分は周囲の人たちから守られていると思うし、周りの人たちを信頼できています」

お坊さんたちの一斉回答
むろさんの相談内容を受けて、回答者であるお坊さんたちはそのお悩みへ答えるひとことメッセージをフリップに書き、一斉に披露してもらいます。お坊さんたちの回答は下記のとおり!

こうゆう「自分を愛する」
だいち「怒る人から怒りを観る人へ」
ズイキ「無理に怒らんでええねんで」
じきどう「そのまんまがステキ」
ゆい「相手の言動の根源は何か?見極めるコツを持つべきかな」
ちしょう「怒ると腹が減る」
いっせー「所詮怒りは道具」

気に入った回答を3つ選ぶ
むろさんがお坊さんの回答の中から、特に気に入った回答を3つ選びます。今回はこの3人のお坊さんの回答が選ばれました。

だいち「怒る人から怒りを観る人へ」
ゆい「相手の言動の根源は何か?見極めるコツを持つべきかな」
いっせー「所詮怒りは道具」

選ばれた3人のお坊さんからのプレゼン
選ばれた3人のお坊さんは、回答に込めた想いを語ってもらいます。

だいち「怒る人から怒りを観る人へ」
「むろさんの場合、無理にすぐ怒ろうとすると、結局後悔しそうな気がします。もっとこう怒れば良かったとか。」
「仏教は自分の気持ちや感情を観察し、コントロールすることを大事にする教えです。」
「すぐに怒らずに、人と話して思い返してから怒りを持つことのできるむろさんには、この観察・コントロールの素質があります。」
「その素質を活かして、すぐに怒りを表明することにこだわるよりも、自分の怒りに向き合うこと、怒りを掘り下げてみることを大事にしてみてはいかがでしょうか?」
「「なぜ自分は怒っているのか?」「自分は本当に怒るべきなのか?」自分の感情を観察し、向き合ってみて、それでもやはり怒るべきだと思えたのなら、そのときになってやっと相手に怒りを表明してもいいのです。あの日、あのときの、あなたの言ったこと、したこと、こうだから、私は怒ってるんです」というように」

ゆい「相手の言動の根源は何か?見極めるコツを持つべきかな」
「その場ではなく、人に話すことによって後から怒りが芽生えるということですが、人に話すという事は、やはり何かひっかかることがむろさんにあったという事なのだと思います。」
「そのひっかかったことについて、相手は悪意でそれを言ったのか?それとも良心から、むろさんを思っての言動なのか?相手はむろさんに何を分かってほしいと思っているのか?そうやって相手に想いを馳せてみることによって、その出来事に対して理不尽以外の面も見えてくるのではないでしょうか。」
いっせー「所詮怒りは道具」
「その怒りには学びがある?それとも自分を押し通すためだけの道具?」
「『嫌われる勇気』で知られるアドラーは、怒りは「道具」であると言います。道具とは、何らかの目的のために用いられる手段です。アドラーの主張によると、怒りとは「自分を優位に立たせることや、自分の主張を押し通すといった目的のために用いられる、出し入れ可能な道具」なのです。」
「例えば、喧嘩をしていた夫婦が、お互いに怒号で不満を言い合っていたとします。しかし、そこに突然電話がかかってくると、妻はその怒りをすぐに引っ込め、何事もないかのようにトーンの高い明るい声で電話の相手と話すことが出来ます。このように、怒りというものは、相手に自分の主張を押し通すための道具に過ぎないという考え方もあります。」
「その怒りは、相手に自分を押し通す為の道具に過ぎないのか?それとも、学びが得られるような、意義や価値のあるものなのか?むろさんが怒るか怒るまいか迷ったときは、このように考えてみてはいかがでしょうか。」

MVBの決定・発表
3名のお坊さんの想いを聞いた後、相談者は最終的に最も有難い(ためになった)回答をしてくれたお坊さん(=MVB)を選びます。

今回のMVBは!
だいち「怒る人から怒りを観る人へ」

むろさん
「だいちさんは、無理にすぐ怒ろうとすると後悔するのでは?と言ってくれましたが、まさにそういった経験がありました。一時期、すぐに怒ってみようとしていたのですが、後悔してしまって。私のことを見抜いてくれていて、回答も受け入れやすかったです。でも、お坊さん皆が私の悩みを真剣に聞いて、回答をしてくれて、とてもうれしかったです。だいちさんの仰っていた、自分の感情や気持ちを観察する、掘り下げるという仏教の考え方に興味があるのですが、何かおすすめの本はないでしょうか?」
だいち
「おすすめの本というか、今日お話しした仏教の考え方は、テーラワーダ仏教のマインドフルネスなどでも言われることなので、そのあたりから学んでみるのも良いと思います。あ、仏教入門でいうと、稲田ズイキさんが『鬼滅の刃』を仏教の観点から読み解いているレビューはめっちゃおすすめです!是非漫画と一緒にご一読ください!」


番組終了後の流れの説明
相談者の方には、番組終了後七万寺にOFUSEを使ってお布施をしてもらいます。OFUSEは1文字2円として感謝の気持ちを贈ることが出来る、ファンレターサービスです。

最後に記念撮影して終了!

名称未設定のデザイン (1)

後日談

相談者のむろさんから心あたたまるOFUSEをいただきました!

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次回案内

苦悩を吐き出しその苦悩との向き合い方をお坊さんたちと考えてみる。その向き合い方は、きっと同じように苦悩する誰かのためになるはず。
相談内容は、誰にも打ち明けられない切実な人生のモヤモヤから、日常の些細なささくれまで、なんでも問題ございません。ご自由にお話しください。

七万寺について

京都・二条城のそばにある共創自治区「SHIKIAMI CONCON」。そのつみあげられた19基のコンテナのなかに、七万寺は誕生しました。お坊さん、クリエイター、この場を必要とするすべての人とともに、世界一小さな"あなた"のお寺をつくっていきます。

WEB:https://70000temple.themedia.jp/
Twitter:https://twitter.com/70000temple


レポート執筆:なかがわまな

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