自覚なき差別「マイクロアグレッション」って知ってる?
皆さんは「マイクロアグレッション」って言葉を、聞いたことがあるでしょうか?私はつい先日、はじめて知って驚きました。
「こんな言葉があったのか……!」
日常生活の中でたびたび覚える「小さい違和感」の正体が言語化されていたことに、答えをみつけたような気持ちで興奮してしまいました。
「マイクロアグレッション」とは?
「マイクロアグレッション」は「小さな攻撃性」とも訳され、悪意なく無意識に現れてしまった差別的な発言や態度のことをいいます。
私がこの言葉を知ったのは、「心・体・性」のウェルネスを提案するオンラインメディア「yoi(ヨイ)」のYouTubeチャンネルから配信されている、『ツルリンゴスター×シオリーヌ×合田文「体・心・性のモヤモヤを希望に変えるNIGHT!」』の動画でした。
この動画の中では、レズビアンをカミングアウトしたとき「全然変じゃないよ!」と言われたことにモヤモヤする……というお悩みに対して、「マイクロアグレッション」という言葉が使われています。
この「レズビアンって全然変じゃないよ!」という一見すると肯定的な言葉の裏には、「レズビアンって、一般的には変って思われてるかもしれないけど」といった枕詞が隠れているということですね。その土台には、LGBTQの方々に対する無意識の偏見が潜んでいるのです。
このモヤモヤ知ってる……!
これ、日常生活の中でも頻繁に出くわすものですよね。私にも経験があります。「女子はまあいいじゃん、一生仕事つづけるわけでもないし」とか、「おとなしいタイプだから、引っ張ってくれる男性がいいんじゃない?」とか。「このメール、上のひとに書いてもらったんでしょ?」と含み笑いで言われたこともあります。
「女子はまあいいじゃん、一生仕事つづけるわけでもないし」
→ 「女性は結婚・出産したらリタイアするもの」
「おとなしいタイプだから、引っ張ってくれる男性がいいんじゃない?」
→ 「おとなしい=意思が弱い」「女性だから、パートナーは男性」
「このメール、上のひとに書いてもらったんでしょ?」
→ 「若い社員に難しいことがわかるわけがない」
こういう言葉を投げかけられたとき、私はいつも心に薄暗いモヤがかかるのを感じていました。それと同時に「相手に悪意はないのだから、私が過剰に反応しすぎてるのかも……」という思いもあり、相手に強く言えないまま受け流してしまうことがほとんどでした。こういった、言語化するにはぼんやりとした感情が、用語として定義されていたことに感動したのです。
そういう私も無意識に差別的発言・態度をとってしまっている場面は、きっとあるのだと思います。友人に「彼氏は?」「彼女は?」なんて気軽に尋ねてしまったり、「こういうところあるでしょ?」と決めつけてしまったり。後から振り返って、ああ、考えなしだったな、と落ち込むこともままあります。
「窮屈な世の中」ではなくて
多様性の時代といわれて、早数年が経ちました。窮屈な時代になった、という人がいます。ハラスメントやセクシャルマイノリティに関する用語ばかり先行して、その真意を理解しないまま「あ、今はこんなこと言っちゃいけないか〜」なんて笑っている人もよく見かけます。
だからこそ、やっぱり「私が過剰なのかも」と思ったとしても、それを流してしまわず都度「今のはよくない」と反論していくのが大切な気がします。私たちが目指すべきは「気にすることばかり増えた窮屈な世の中」ではなく、むしろ「窮屈な価値観を打破した先にある開放的な社会」だと思うのです。
私たちが変えていかないといけないのは、言葉や態度のような表面的なものではなく、その根底にある価値観なのだと思います。自分の言動に「マイクロアグレッション」が潜んでいないか、一人ひとりが、毎日少しだけ気にかけてみれば健やかな社会に一歩近づくのではないでしょうか。
名前がついているだけでほんの少し、自分の中の意識がくっきり輪郭を持った気がします。皆さんにとっても、この記事がきっかけとなりますように。