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デジカメUIマスターは世界で10名!?
前回の記事で、デジカメUIの読者の数について書きましたが、もう少し視点を絞り込んで仕事でデジカメUIに関わっている人数について考えてます。
デジカメが登場して20年。その間にデジカメUIのデザイナーはどのくらいいるのでしょうか?
狭い意味でのデジカメメーカーを数えると大体10社ちょっとくらいになる。
ニコン、キヤノン、ソニー、富士フイルム、オリンパス、ペンタックス(リコー)、パナソニック、カシオ、三洋(ザクティ)、サムスン、シグマ、ライカなど
製品としてのデジカメのGUIデザインに関わっているデザイナーは100~1000名程度だと思います。(アイコンやパーツづくりも含めて)
その中で実際に新しいUIを担当(UIアーキテクチャを拡張)したことがある人が100名~200名の間、
そして、業界全体や各社の基本的なUIアーキテクチャをデザインした人は10~20名程度ではないかと思います。
(数字はあくまでも私の想像です)
これは単純に各社1名ということではなく、デジカメの基本作法やメニュー構造の種類から考えると、このくらいの人がリーダーシップをとってデジカメに強い影響を与えたと思います。
この人たちは言わばジェダイマスターならぬ「デジカメUIマスター」です。
そのUIマスターのほとんどは初期の技術的制約、デジタル環境的制約がたくさんあった時期に関わった人です。
そのため思い描いたUIを直接実現する担当者ではなかったかもしれませんが、デジタルで起きる変化をいち早く感じ取り、ビジョンを描き、それが成長できる仕組み(枠組み)を作り上げました。
注)デジカメの前にはフィルムカメラやビデオカメラがありましたので、個々の新規UIの発明というよりは全体の体験設計とUIの「再編集」といった方が良いかもしれません。
その中で新しいカメラとユーザーとの関係を作り出していました。
幸運にも私もそのころにデジカメUIの成長に関わることができ、他メーカーから新しい製品が出るたびに、「あっ同じことを考えている」とか「急に方向を変えてきたぞ」とかワクワクしながら競争していました。
最初の5年で骨格になる部分が固まり、あとは拡張と部分の変化が続くことになっていきます。
画素数を増やし、価格を下げていくことが開発の中心となり、UIデザインのドラスティックな変化はなくなっていきました。
そして最近では、スマホの登場によって、カメラの存在意義が「より高性能・高機能」になり、さまざまな機能拡張によってデジカメUIはあちこちにほころびが出てきています。
2020年、再びUIアーキテクチャーを見直す
2020年の東京オリンピックは、日本のカメラメーカーにとって特別な意味を持っています。
カメラの内部処理が飛躍的に向上し、AIや画像認識技術、さらにスマホ連携によって外部との通信手段やUI拡張を手に入れ、オリンピックで大々的にデモンストレーションするために、これまでのUIアーキテクチャが対応できないほどの成長が起きるはずです。
そして、2020年以降、混沌としたUIを持つカメラが、知的機械として再定義される過程で、新世代のデジカメUIアーキテクチャを作るUIマスターが出てくると考えています。
若いデザイナーの皆さん! デジカメUIをしっかりと勉強してチャンスを手に入れてください。