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カメラグランプリ2020を総括する
今年もカメラ雑誌やメディアの団体であるカメラ記者クラブが主催する「カメラグランプリ2020」が今週初めに発表されました。
大賞はソニーα7R Ⅳ
おめでとうございます。さらにソニーα7R Ⅳは「あなたが選ぶベストカメラ賞」も獲得し二冠となっています。
昨年は1位~5位までミラーレス一眼が占めており、その中でもα7の成功を引きづり下ろそうと、パナソニック(S1)、ニコン(Z7)、キヤノン(EOS R)がそれぞれフルサイズミラーレスを出していましたが、王者α7はその間も着実に進化し続け、今年は目新しさが無い中でグランプリを獲得しました。
2020年は意外な機種がグランプリに?!
カメラグランプリの結果は大賞発表だけでなく、選考委員の投票結果が全てオープンになっています。まずはこちらをご覧ください。
まず大賞のソニーα7R Ⅳ(116点)から5位のシグマfp(74点)までの点差が42点しかないのに対して、シグマfpから6位のオリンパスOM-D E-M1Mark III(19点)の差は55点ありますから、1位から5位までのカメラが2020年を代表するカメラと言うことができます。
さらに持ち点(10点)を全てを一つのカメラに入れる熱狂的な評価対象となったのは、2位のキヤノンEOS1DXMark III、3位のニコンZ 50、5位のシグマfpの3機種だけで、大賞のソニーα7R Ⅳはありませんでした。(最高得点は7点です)
ところがソニーα7R Ⅳが凄いのは56名中35名(63%)の委員が得点を入れていることです。それほど高くない点数(平均得点は3.3点/人です)を多くの人が入れたと言うことです。さらに各委員の配点でソニーα7R Ⅳを一位に押したのは8名(同率一位は除く)だけでした。つまり48名の人は意外な結果となった訳です。
これはα7シリーズが長期に渡り存在しているもので飛びぬけて2020年を象徴するカメラとは考えられていない一方で、半数以上の委員が点数を入れずには居られないほど完成されたカメラと考えることができます。
これだけ長期的に安定して進化し続け評価されるボディがあれば、そのマウントのレンズに投資をしていけるようになり、良いレンズが開発できるのは必然ですので、レンズ賞グランプリにソニーFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSが輝いたのも納得の結果です。
ソニーはカメラボディでの選定委員とユーザーによる2冠だけでなく、ボディとレンズの2冠も達成しました。(合わせて3冠)またレンズ賞に関しては2年連続の受賞です。他のカメラメーカーにとっては益々高い目標になってきた感じがします。
多彩なカメラスタイルが今年の特徴
写真家、雑誌編集者からなる選考委員の方のそれぞれの投票結果も発表されていますので、それを見ながらそれぞれのカメラに対する価値観や、流れのようなことを考えるのが楽しかったりします。
1位 ソニーα7R Ⅳ (フルサイズミラーレス、EVF)
2位 キヤノンEOS1DXMark III (フルサイズ一眼レフ)
3位 ニコンZ 50 (APS-Cミラーレス)
4位 富士フイルム FUJIFILM GFX100 (ラージフォーマットミラーレス)
5位 シグマSIGMA fp (フルサイズミラーレス、EVFレス)
得点の高い1位から5位のカメラを見ても、まさに2020年を象徴するように多彩はカメラスタイルが並んでいることが分かります。
それぞれのメーカーの機種がそのメーカーを代表するカメラという訳ではなくたまたまこのタイミングで出た機種ですが、これまでカメラ界を引っ張ってきたニコン、キヤノンがそれぞれ3位2位にいて、それをひっくり返すように昔は家電メーカーと呼ばれていたソニーがその上にいるというのは大変象徴的です。
去年もパナソニックが同じフルサイズミラーレスでニコン、キヤノンを抑えて大賞に輝いたことの再現を見るようです。(家電メーカーと呼ばれていたこの2社が!)
さらに4位5位に、新しいカメラの価値を提案する富士フイルムとシグマが入っているところも象徴的です。カメラメーカーにとって新しいカメラスタイルや撮影スタイルの提案が重要であるかを感じます。
カメラ業界を長年見てきたものとして、この順位を見ていると楽しくなってしまうのは私だけではないでしょう。来年ははたしてどんなカメラがグランプリを取るのか楽しみにしておきたいと思います。
参考までに、昨年の投票結果もリンクを貼っておきます。