ロボットに写真を撮らせる <ドリーユニット実験>
今年は「ロボットに写真を撮らせる」を目標に、クラウドファンディングでロボット購入したり、サーボの動きでカメラのレリーズを操作する実験をしたりして着実に作業を進めています。
最初に描いたイメージ
今回は、ロボットとカメラを乗せて写真のフレーミングを変えるドリーユニットを作ります。
「ドリー」はカメラスライダーとも呼ばれ、主に動画を撮るときに用い、正確な軌道を移動させながら撮影するためのものです。
本来は動力を持たない台車を指すようですが、自動で動くものもドリーと呼ばれているみたいです。
今年の目標として、ロボットに写真を撮らせようと考えている一つには、長時間の撮影をロボットにやってもらい、時間と空間の両方をダイナミックに映像に収めるアイデアを試してみたいと考えているからです。
一方、最近は「ジンバル」と呼ばれるスタビライザー付きカメラグリップが高性能化してきており、手持ちで空間を自由に移動し、ブレの無い動画を撮影する方が主流になっています。
ドリーとジンバルが撮影しようとする映像は全く別のものですが、その大きさや設置の容易さに大きな差があり、観光地などで見かけるのはジンバルばかりとなっています。
ドリーにももっと活躍の場があっても良いと思い、今回ロボットに自動撮影をさせるための専用ドリーを作るにあたり、ドリー自体もこれまでにない小型で気軽に使えるものにしてみることにしました。
撮影軌道を設計する
平行に1m移動するドリーを造ろうとすれば、シンプルな構造であれば1mのレールが必要になります。
それに対して、パノラマ撮影用の回転雲台のように回転運動だけであればコンパクトに作ることができますが、特定方向にある被写体を捉えつづけることはできません。
この中間の軌跡を設計できれば、コンパクトなドリーが設計できそうです。
「左右の移動と回転を組み合わせて、大きく空間を変える」
そこで、ある程度同じ方向を向きつつ、回転をすることで移動感を作り出すアイデアを試してみることにしました。
映像のイメージとしては、朝日/夕陽や広大な山並みなど、ある程度同じ方向を向きつつ、ダイナミックな移動感があるものを想定しました。
横幅200mmに対して、後方200mmのところに回転軸を設けることで、約60度の撮影方向変化を作っています。
今回の実験では、この移動仕様に対して、OLYMPUSのフィッシュアイ ボディーキャップレンズ BCL-0980でどのような映像になるか探ってみました。
連続移動と間欠移動
最近のデジカメは動画カメラでもあり、動画から静止画を切り出したり、タイムラプスのように静止画を束ねて動画にすることで、その境目がきわめて曖昧になってきています。
ドリーの動きとして等速連続移動であればモーターに一定の回転をさせて、適度に減速すれば実現できますが、今回は「星空」も撮影対象にしたいきたいため「移動→停止→静止画撮影(長時間露光可)→移動・・・」という間欠移動をおこなうことにしました。
映像確認
今回は初めての実験のため、200mm水平移動、60度、3秒間隔で微移動を約9分で動かしました。
ハードウェアとしては、安定して動いており、大きな問題はありませんでした。
映像には、超広角レンズの分をプラスして 全体としては160度分くらいの範囲が写っていました。これは私たちが風景などを少し首を振って見る範囲に近いものです。最初と最後でも正面の中央部分は写り込んでいることから、主要被写体を映し続けることも可能です。
あまり広すぎると余計なものが写り込んでしまい主題が分かりにくくなるため、最大でこのくらいの角度があれば十分だと分かりました。
移動時間については、朝焼け夕陽がダイナミックに変化する30分から、星空が天空を移動する数時間まで、撮影間隔を調整しながらさらに伸ばしていこうと考えています。
この記事に出てきたカメラを動かす装置【参考】
ドリー
ジンバル
回転雲台
赤道儀