複雑なことを「フクザツ」として扱う、シンプルなことについて
「はしょる」って皆さん言いますか? 一部を省くという意味で、端折ると書きます。
最近いろいろなところで、スピードが重視され、そのためにものごとをシンプルに扱おうとする方向に向かっているようです。
コンセプトとしては理解できますが、製品開発などのプロジェクトにおいては、シンプルにすることでかえって状況が複雑になり非効率になっている場合があるということに気づきましたので2020年の最初の記事はそのことについて書いてみます。
2つのシンプルにする方法
シンプルを実現する一番簡単な方法は、要素を捨てて数を減らすことです。つまり端折る訳です。要素の数を半分にすれば、組み合わせのパターンはそれ以上に減っていきます。
不要な要素が混ざっていて、それを適切に取り除くことができれば効果が大きいのですが、削除した要素が主要素に間接的に影響を与えている(つまり孫関係がある)場合には削除してしまうと問題が起きます。
もう一つの方法は、ものごとを分類し整頓することです。分類できればそれを抽象化・モデル化して扱うことができます。
整頓するためには、分類コンセプトを持たなければできませんので、プロジェクトなあ(あどを進める前に一仕事をおこなうことになりますが、一度全体の要素を俯瞰しておくことができるため無駄な作業になることは少ないと思います。
混沌が複雑の原因
「複雑」というのは混沌とは違います。整理されていない複雑が混沌であり、整理されている複雑は単なる「フクザツ」です。整理されたフクザツは手間は掛かるかもしれませんが、計画をすることができ、それを進めることができます。ジャンボジェットを作るプロジェクトマネージメントなどがこれに当たります。フクザツではありますが混乱している訳ではありません。
ダイバーシティとサスティナビリティ
なぜフクザツが必要なのでしょうか。フクザツを扱わなければならないのでしょうか。物事を小さな単位で考えて、そのことだけを扱えばシンプルに進められます。ところが物事は色々な環境と繋がることで成り立っており、また影響を与える存在となります。
一つの価値観や一部の人だけが良い思いをするだけでは、世界が上手く回らなくなってきました。また短期間は上手くいったとしても長期的にはやはり上手くいかないことになります。
そのために、世界のフクザツを扱っていかなければなりません。これは世界単位の話であり、私たちが日常で使うさまざまな製品でも、企画、開発、製造、流通、販売、利用、廃棄といったライフサイクル全体で考える必要があります。それによってブランドが評価される時代なのです。
アジャイル開発やプロトタイピング
アジャイル開発やプロトタイピングを、良いアイデアに出会うための「確率的活動」として無計画に手を動かしながら考えると理解している人もいますが、しっかりとしたビジョンがなければ手を動かした中から想定外の何かを見つけることはできません。想定内がなければ想定外も見つからないからです。
ビジョンを共有する前に「とにかくやってみましょう」というのは、時間もお金ももったいないことになる可能性が高いということです。
もちろん、計画が完全にできるまでアクションに移さないことも問題ですが、無計画というものまた遠回りになってしまいます。勢いだけの人がリーダーになっても、計画が完成しないとスタートできない人がリーダーになっても、組織やプロジェクトは不幸なことになってしまいます。
フクザツを想定したプロジェクトマネジメント
無計画にアジャイル開発を始めてしまったり、一度要素を端折って物事を進めてしまうと、後からそれを加えたときに指数関数的に複雑さが増してしまいます。一度決定したことを変更する労力は組織やプロジェクトの規模が大きくなるほど巨大になってしまいます。
もちろん不確定な部分は在っていいのですが、それが想定された不確定なのか、後から想定外に見つかった不確定なのかによって、混乱の規模が違ってきます。フクザツや想定した不確定をプロジェクトマネジメントに積極的に取り入れていかなければなりません。
2020年の抱負
去年もシンプルとフクザツのことを考えなければならない一年でした。いろいろなものがデジタルになり、インターネットと結びついてきた20年前からずっと考えている状態です。今年はモデルベース開発、プロトタイピング、ドキュメント管理によってフクザツなことを扱っていく活動が始められそうになっています。
noteでも報告していくつもりです。今年もよろしくお願いいたします。
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