
オンライン写真体験と未来のCP+
今年のCP+も結局オンライン開催のみになってしまいました。去年から今年にかけてオリンピック向けのハイエンドのカメラやレンズがたくさん発売・発表されたので、それらを直接触って撮影してみたかったのですが本当に残念です。
会場での展示準備をしていたメーカーとしてはコロナ前のようなユーザーとの双方向の触れ合いを期待していましたが、いまはオンラインでいかに実機の魅力を伝え、またユーザーの熱気を伝播させられるかを一生懸命考えているところだと思います。
そもそもこの状況に対してカメラや写真体験がオンラインと相性が良ければ悲観する必要は無い訳ですので、現在どこまでオンラインに親和性があるのか、また更にオンラインが写真体験の中心になるビジョンを考えてみます。
カメラとオンラインの相性は上がってきている
フィルムカメラの時代はPCで高精細な映像を扱うことが簡単では無かったためほぼ完全なアナログ的な世界でしたが、デジカメの登場によってその状況は大きく変わりました。デジカメから直接TVに出力したりメモリーカードからプリントすることもできましたが、やはりPCが無ければ活用できない世界になりました。
一方でカメラメーカーは、スマホカメラとの差別化を意識してSNSなどデジタルコミュニケーションとの融合までは進まず、あくまでも独立した機器として独自の世界を保とうとしてきました。
ただ最近ではユーザーの映像体験がYouTubeと急激に融合しており動画に強いカメラが売れているという現象も起きてきています。今は何かのアクティビティを撮影するためにカメラを使っていますが、近い将来に撮影行為そのものがコンテンツになってくるはずです。
写真家の動画が一つのジャンルになっていたり(岩合さんはその中のカリスマです)、ドローンレースやゲーム実況のように誰かが楽しんでいる姿を観て楽しみむ文化ができています。ミラーニューロンのおかげなのかどうかは分かりませんが、他人の楽しみを一緒に楽しめるのは人間らしい感情といえます。
技術の準備はできている
撮影の多くは野外でおこない移動もあることから、PCとの接続よりもやはりスマホと一緒に使えるものが理想です。スマホとデジカメとの接続は技術的には十分なレベルに達しており、後は活用方法を作っていくだけです。
具体的には撮影後のデータをスマホに渡すだけでなく、撮影前(カメラ設定)や撮影中(スルー画、映像調整)の情報もリモート撮影のためにスマホ側にリアルタイムにやりとりできています。
ただ現時点ではそれをオンラインで直接発信することは想定されていませんが今後それもできるようになるはずです。
未来のCP+
オンラインと撮影行為との融合が進めば、イベントもまたオンラインがメインになってくると考えられます。一ヶ所に集まるのではなくタイミングを合わせて様々なフィールドに出かけてイベントに参加するアマチュア無線や釣り大会のようなものになっていくかもしれません。
アイテム入手はイベント本番に向けた事前準備のようなもので、数カ月を掛けてメーカーがプレゼンテーションしてユーザーが購入したり、インフルエンサーへの貸し出しがおこなわれ、イベント本番ではそれらを使って撮影体験を楽しむという風になるのではないでしょうか。
未来のCP+がどんな姿になるのか、リコーイメージング(PENTAX/GR)が不参加になった今、メーカーとユーザーの双方で色々と考えていかなければならないと思います。