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今年のCP+は「画作りで深化」が熱かった
本日28日がイベントとしての最終日となるCP+ですが、カメラのUXとして2020年そして2021年に何が起きているのかが見えてきたように思います。
特に印象に残ったのが連写性能、AF性能といったことではなく、動画のルックやグレーディングを含めて「写真/映像の『画作り』に個性を持たせたい、世界観を表現したい」という想いに応えるメーカーの姿勢です。カメラの価値を高め、ブランドのイメージを作り、ユーザーコミュニティとの話題にしていきたいと考えていることでした。
手間のかかる表現を楽しむ「画作り」
リアルイベントが中止となりそれに代わって動画によるプロモーションやライブ配信が一気に広がっているようです。
動画への流れは、コロナとは関係なくデジタルカメラの高性能化の成果として進んできた技術的なものとしてありましたが、それがコロナ禍で一気に進んだ印象です。
もう一つ見えてきたのが、静止画・動画の両方に言えることですが、作品表現の中で「画作り」に手間を掛け自分の表現を見つけていこうという流れが確実にできてきました。
カメラメーカーがフィルムシミュレーションやピクチャーモードとして提供したものを使うだけでなく、その上にさらに設定をカスタマイズして自分が感じた心象を表現していきたい、独自のルックを作り出したいということが出てきています。
PENTAX Jlimited 01
これまでもフォトグラファー独自の画作り文化があったPENTAXが、ファクトリーカスタムモデルという位置づけではありますが「フォトグラファーセッティング」という形で、写真家の瀬尾拓慶さんと吉村和敏さんの撮影設定がプリセットとして搭載されています。
もちろんこのまま使っても良いのですが、本当の狙いはノーマルモードと撮り比べ「自分の世界観を表現する」ということを感じてもらい、ユーザーが画作りのカスタマイズを楽しむ文化としてブランドとユーザーとのコミュニケーションの中心にしていこうとしているように感じます。
FUJIFILM GFX100S
富士フイルムといえばフィルムシミュレーションであり、今月発表されたラージフォーマットのGFX100Sに「ノスタルジックネガ」という新しいフィルムシミュレーションが搭載されました。
メーカーのプロモーションコンテンツの一つとして開発者のトークビデオが公開されており、その中でフィルムシミュレーションはフィニッシュのためのエフェクトではなくベース設定であり、その上で撮影設定をおこなえることが強調され開発者が考えるより強調した表現設定が紹介されています。
写真家の内田ユキオ氏がノスタルジックネガをどのように使いこなして表現に変えていくのかが良く分かる動画もお勧めです。
Panasonic LUMIX S1/S5
パナソニックはCP+コンテンツの中でかなり動画にウェイトを掛けています。ライブコンテンツなのでアーカイブされない可能性がありますが、27日の「動画を、はじめよう。」の中で~色を意識した撮影方法~と題してカラーグレーディングやルックアップテーブル(LUT)の話などを聞くことができます。
28日時点では終了したライブ配信は見ることができないみたいですので、本日の配信のリンクを貼っておきます。テーマは
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今回「画作り」という面で感じたのは、これまでメーカーが決定し提供するものであったものが、個人または写真家を含めたコミュニティの中でそれぞれの画作りを工夫し自慢し合い共有するものへ変化し始めるかもしれないという期待でした。
コロナ禍という状況の中で、これまで以上に手間を掛けて自分の作品をつくっていくことができるようにれば、それはこれからの映像文化に大きな影響を与えるレガシーになっていくのではないでしょうか。
ビジネスの世界でオンラインが今後も残っていくように、画作りを表現の一つとして楽しむ文化が残っていって欲しいと思います。
2番目のテーマは「機動力」
動画の撮影機材がミラーレス一眼に移行することによって、オールインワンシステムとしての圧倒的な小型化、手振れ補正による手持ち撮影の可能性など映画を含めた映像の撮り方の変化が多くのメーカーが招待した映像クリエーターの口から聞かれました。
ボディではちょっと前にソニーがα7Cを出し、シグマのfpと共に小型化の流れを作ったかと思えば、富士フイルムのGFX100S、パナソニックのLUMIX S5という風に既存機種より小型化した機種が登場し好評となっています。
またレンズの世界でも、フルサイズミラーレス一眼登場初期のハイエンドレンズによるマウント優位性のアピールが一段落し少しスペックを日常的なものにすることで描写性能を維持したまま小型化したレンズの製品ラインが今年の特徴となっています。
オンライン開催という新しい方式になり、タッチ&トライができないという状況の中で、オンラインの主役である「映像/動画」へのクリエイティブの拡大、「画作り」という深い領域への提案という新しい面が強く出たことは良かったと思います。
レンズ、ボディというハードウェアでは小型軽量による「機動性」が大きな流れとなり、高度なクリエイティブを一般の人にも現実味のあるものにしていってくれるはずです。
来年のCP+では今年蒔いた種がどのように育っているのかを楽しみにしたいと思います。